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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.28 Xbox・・・正気か!?

まず、皆さんは「Xbox」について、どう感じられ
ているでしょう?

ここでの問いの意味は「売れる要素」と
「売れない要素」と受けとって下さい。

以前、この日記でも書きましたが、
あたしはXboxを「面白い可能性を持つハード」と
表現しました。

あたしが思うXboxの強みと言うのは
オールインワン」である。
この一点に強い可能性を感じるのです。

コンシュマーユーザーは周辺機器や追加機器を
購入するのを嫌います。
っと、言うより、面倒のようです。

そして、何よりも追加料金として出費を要求され
るのが嫌なようです。
(これについては、国民性や消費者心理という別
問題も含まれます)

同等の性能やコンテンツを用意できる機器が
2つ存在し、片方は複数のユニットを買い揃える
タイプの機器構造。

もう片方は全て最初から揃ってるオールインワン
タイプでの販売。

どちらが消費者に受けるでしょう?

無論、後者ですね。

Xboxを語る上で外せない存在がPS2です。

現在、国内で700万台の出荷を達成している、
コンシュマーハードシェアNO.1のハード。
無論、それはPS2です。

しかしながら、このPS2は現実問題多数の欠点が
存在します。

・開発環境が悪くメーカーにかかる負担が大きい
・スペック性能上「欠陥」と表現しても良い位の
 RAM領域の使い勝手の悪さ。
・ピークスペックこそ高性能領域に達するが、
 アベレージスペックが貧弱過ぎる。
・独自言語仕様により開発の難度が悪戯に上がる
・ハードスペック上ハードディスクに依存しなけ
 れば市場寿命を保つのが技術的に困難。
・ハードディスクへの依存率が高い割りに高額の
 周辺機器としてユーザーに購入を迫る。

大雑把に上げると上記のような感じになります。

一例ずつ解説を加えつつ、Xboxの場合での見解を
含ませて記述を進めていきます。


開発環境が悪くメーカーにかかる負担が大きい

これは、多種に及ぶ要因が含まれていますが、
シンプルに開発する上でのメーカーが負担しなけ
いけない費用や技術的な難解さが足枷になってい
ます。

これらの問題を後に個別で解説していますので、
そちらを参照願います。


スペック性能上「欠陥」と表現しても良い位の
 RAM領域の使い勝手の悪さ。


RAMとは大雑把に言うと、データを貯めておく場
所です。

PS2は、このRANの使い勝手が悪く、汎用性も低い
のです。

その結果、どういった障害が起きるか?

1度にプールしておけるデータ量がすくなく、
多重圧縮のような開発側のセンスで調整できる
プール手法に対応してくれなく、汎用性が低い。

ですから、どうしても1度に処理できるデータの
量に大きな足枷がついてまわります。

無論、プログラムの段階でRAMにアクセスする、
タイミングを上手く調整し、その貧弱さをカバー
しているのですが、それも早くに限界に達してき
てます。

簡単に説明すると、バケツに水を擦り切れ一杯ま
で入れたとします。

入れ終わったら、出すのは簡単ですよね?
ジャバ~って出してしまえば一気に終わります。

そして、2回目の水をまた擦り切れまで入れると
バケツの前でボーと待っていなければいけません

それでは、待ってる人は退屈でしかたありません

しかも、次の水を待ってる人もイライラします。

そこで、まず、水を変えます。
1リットル辺り、2リットルの水に相当する
濃縮された水を作ります。

その水を、まず、バケツに半分まで入れて運びます。

水は2倍に濃縮されてるので、バケツ半分でも、
一杯分に相当する水が運べるわけです。

これで、バケツ一杯分の水を運ぶ時間が半分に
短縮されます。

しかしながら、元もとのバケツ自体が小さい為、
結局はそれでも足りないのです。

そこで、今度は4倍に濃縮された水を作ります。

これをバケツに半分入れて運べば、最初の水の
運び入れと比べて、量は倍、時間も倍になります

これを突き詰めていけば、どんどん運べる量が
増えるのですが、ここで落とし穴があります。

濃縮された水を元の水に戻すのには、濃縮率が
高ければ高いほど、時間もかかりますし、人手も
かかります。

ですから、元のバケツが小さいのが結局は一番の
ネックになるわけです。

そして、それら濃縮された水を一片に戻さず、
小出しで戻したり、4倍から一端2倍まで戻して
使うときに元に戻す時間を短くできるように準備
しておいたりっといった応用がPS2は苦手なのです。

これが、後に解説するアベレージスペックの低さ
に繋がります。

一方、XboxのRAMは開発側の応用を受け入れやす
い汎用性が備わっており、アベレージスペックも
任天堂のGAMECUBEに次ぐ性能を備えてます。

これは何を意味してるか?

それは、ユーザーに多種多用なコンテンツ開発を
見せつけられ、向上したグラフィック性能を、ゲ
ームに「見せる」以外の要素とし、存分に使える
という事です。


ピークスペックこそ高性能領域に達するが、
 アベレージスペックが貧弱過ぎる。


これがPS2最大の弱点と言っても良いでしょう。

PS2はスペック表上では高性能なマシンとして、
記述されてますが、それらはピーク性能時におい
ての「限界性能」の高さであることを認識してお
かなければいけません。

この「ピーク性能」というのは、いわば一瞬の輝
きにしか過ぎないのです。

この「ピーク性能」は、その名のとおり
限界性能に達した瞬間に発揮できる一瞬の性能と
いうことなんです。

このピークスペックを連続で常時出し続ける事は
理論上では可能ですが、現実レベルでは不可能で
す。

まず、開発環境で技術陣にかかる負担が甚大であ
る為、ピーク性能の常時発揮まで開発を熟成させ
ることは、制作費用の面からいって非常に困難。

さらに、ピークスペックを常時発揮するような
ソフトを動かしていれば、マシンがすぐ根を上げ
ます。

ですから、ゲームというメディアを動かすのに、
一番必要な要素は「総合力での高性能」なのです

これは、パソコンでゲームをプレイされる方なら
実体験で周知の事実でしょう。

いかに安定した一定水準の性能を常時引き出せる
かが、ゲームスペックに一番重要な事なのです。

この一定水準、つまりアベレージスペックが
貧弱なのがPS2なのです。

これが原因で、ドリームキャスト以下の
グラフィック処理しか達成できてないPS2ソフト
も結構有ります。

FFXのCGが神憑り的に表現されてるのは、以外に
簡単な仕組みが裏にあります。

ゲームデータを極力削除してるんです。

つまり、CGを流す動作に専念させてるので、
あのグラフィック動画が実現するわけです。

そういう点から、FFがゲーマーに疎まれる原因に
なるのかもしれません。

一方、Xboxのアベレージスペックは高いと言える
領域にまで到達していると言って良いでしょう。

しかし、難点もあります。

ハード側で制御する比重より、ソフト側からの
アプローチによって安定性が大きく変わるので
制作側のセンスが問われます。


独自言語仕様により開発の難度が悪戯に上がる

開発する側にとっての一番のネックがこの問題。

PS2は、その性能を引き出す上で独自言語の熟練
が必須条件になるので、限られた開発環境でしか
ハイクオリティのアベレージを実現出来ません。

独自言語と言われても??って方に簡単に説明し
ますと・・・

そうですね、独自言語=外国語だと思って下さい

私達、日本人は主に日本語を使い生活してます。

それが、突然、外国語を使う事を義務付けられ、
更に日本語の殆どを禁止されたらどうでしょう?

自分が今まで容易に表現できていた言葉も、
それと同じ表現に至る状態にするには非常に
苦労を強いられるでしょう。

簡単な挨拶や日常会話の基礎的な言葉なら、
数時間でマスター出来るでしょうが、日本語独特
の文法的感情描写など、複雑なコミニュケートは
かなり外国語に熟練しないと表現できません。

そして、その熟練に至れる人も全ての人が
同じ速度と結果を出せるとは限りません。

今まで、日本語で培った文法の応用などは
一切使えなくなり、新たな文法を学び、そこから
新しい応用を探していかなければなりません。

これが、独自言語の依存度が高い開発環境で起き
る、最大のネックです。

プログラマーの人達が今まで築いてきたノウハウ
を全部捨てた状態で、一から新しい言語を覚え、
なおかつ活用しなければいけない。

その結果、今までの開発環境では一人のプログラ
マーに任せられた仕事も分担作業で複数の人員が
必要になる場合も出てきます。

そして、独自言語依存の環境では今まで使ってい
た言語で作っていたプログラムも同じ時間で組み
上げるのは困難になってきます。

すると、人件費&制作期間の長期化が発生し、
その分、制作費がかさんでいくわけです。

これでは、小規模なメーカーでは中々気軽に
ソフト開発に着手できません。

そういう背景から、開発するにしても売れる規模
が読み易い「続編物」や流行のシステムに手を加
えた「流用物」に開発が偏ります。

しかし、このメーカーの採算防衛策(作)が裏目に
出ているのがPS2の市場です。

野心作や実験作など、業界に新たな息吹を生み出
すきっかけに成り得る作品達が登場せず、どれも
似たようなソフトばかりになり、新しい息吹どこ
ろか、空気は滞留し淀んでしまっています。

これが、タイトル数は有っても「遊べるソフト」
が見当たらないという現状の真相であると思います。

この問題に対してXboxはプログラマー寄りの、
開発環境を準備しました。

パソコンの基本システムソフトシェアNO.1の
「Windows」と言えば、パソコンを所有してない
方でも名前は聞いたことあるでしょう。

Xboxの開発環境はこのwindows環境をそのまま
流用できる汎用性を備えています。

これは、パソコンソフトの移植が容易に出来るだ
けでなく、Windowsでの制作ノウハウが生かせる
ので、作業も円滑に進み、技術陣にかかる負担も
非常に軽く済むのです。

その結果、PS2とは真逆の人件費の節約、
制作期間の短縮化に繋がり、小規模なメーカーも
比較的容易に開発に着手できるメリットがあり、
故に、野心作や実験作の色合いが強い、新鮮味に
溢れた作品の市場出現に繋がる要素になるわけです。

事実、Xboxの開発環境は多数のクリエイターの
注目を集め、続々とメーカーは参入の意思を
表明しています。

クリエイターに好まれという事は、メーカーに好
まれるという事を意味し、メーカーが気に入れば
その分多数のソフトが供給されることになり、結
果、ユーザーの獲得に繋がるわけです。


ハードスペック上ハードディスクに依存しなけ
 れば市場寿命を保つのが技術的に困難。


PS2は先にも説明したとおり、RAMに弱点を持って
います。

その弱点を補う形で存在するのがハードディスク
(以下HDDと記述)です。

しかし、このHDDの存在自体がPS2の欠点を浮き彫
りにする要素であるとも言えるでしょう。

メモリキャッシュという、大雑把に言えばRAMで
行なう作業をHDDにやらせるという感じです。

ただ、これで、PS2の弱点がカバー出来るかのよ
うに思えるかも知れませんが、ハード単体で完成
度を保てない環境って・・・
おそまつな環境と言っても良いでしょう。

一方、XboxはHDを標準搭載しており、HDDを含め
た上でのトータルスペックになるわけですから、
開発側も非HDD有HDDを意識せずに開発が行なえ
ます。

ハードディスクへの依存率が高い割りに高額の
 周辺機器としてユーザーに購入を迫る。


PS2では、今後HDDへの依存率はハードスペック上
否応なく上がっていくでしょう。

しかし、肝心のHDDが19000円と高価。
更にHDDが一番その活躍の場を与えられる、イン
ターネットに上がるには、別売りのモデムも必須

このモデムが約10000円。
これに加えてキーボード4000円。
マウスが3000円

合計36000円の出費に至るわけです。

現在のハード価格と併せれば61000円の投資に
なるわけです。

ま、キーボードとマウスは必ずしも必要なわけで
はないので、最低限の59.000円と計算するのが
取り敢えずの算出として適切かもしれません。

さて、ここからが本日の本題です。

Xboxは、発表当初は水面下で299USドルでの発売
では?と囁かれていました。

その時点であたしは、Xboxの存在が
「面白い可能性を秘めてる」と表現しました。

それに加え、日本人はブランド傾向に弱く、
マスコミが煽れば煽ったとうりに踊らされる性質
が、非常に高いので、「あのWindowsのマイクロ
ソフト社がゲーム業界に新風を!」とマスコミが
煽れば、踊らされるユーザーも多いと推察してい
ました。

事実、マスコミではそういう風な煽り文句が、
飛び出していましたし、非パソコンユーザーに
強くアピールしはじめていたのも事実でしょう。

更に最初に記述したとおり、Xboxはオールインワ
ンで発売され、ライトユーザーにも強くアピール
できる素材を揃えてるとも以前に書きました。

ですが、それらは全て299USドルでの発売という
後ろ盾があってこそ活きてくる要素なんんです。

だってそうでしょう。片や、59000円の高額な
環境投資を強いられるマシンと、日本円にして
およそ37000円の投資でオールインワン。
しかもブランド色も申し分なし。
ソフト開発環境もメーカーに好評で、
後に、多数のソフトラインナップが約束される。

ソフト開発に難点があるPS2に比べると、
Xboxの存在意義は非常に「面白い」存在でした。

一部では、Xboxの本体寸法の大きさに疑問を
投げかける人もいますが・・・

正直、あたしはそんな、本体寸法が売上に大きな
影響を与えるとは、全く思いません。

ゲーム機購入の選択が、本体寸法でって人って
かなり極小な部類でしょう。

事実、大きくて&小さくてが売上に影響を出した
ハードなんて、存在しません。

ゲーム機のハードが大きいといっても、TVより
遥かに小さいわけで、それが購入、非購入の
最重要な問題になるはずはありません。

恰好良いか、恰好悪いかという意見も
即、却下です。

ゲーム機はどれも恰好悪いです。

恰好良いゲーム機なんて存在しますか?

これは、美意識の差がでるので一概にこうだと、
言い切れませんが、個人的にコントローラーが
ハードからニョキニョキ生えてる時点で、スタイ
ル的にはアウトでしょう。

それに、ゲーム機を複数所持し、その都度プレイ
するハードが変化するほど、ゲームに精通してる
ユーザーであるならば、ゲームで遊ぶ為になら
置き場所の思案くらい苦に感じないでしょうし。

そうじゃない人。ゲーム機を一台しか所有してな
いひとならば、置き場所は余裕がありますし。

結局、だれも大きさが大きな問題になる人は
存在しないというのが実情でしょう。

それに、モデム&HDD標準搭載のモデルなわけで
その仕様から考えるに、常識を逸した大きさだと
は、思えません。

そういった事で、あたしは大きさについて
対して注目をしていません。

それよりも、開発環境の有利さ。
これが、一番大きな要素だと思っています。

で、先程書いたとうり、オールインワンで、
メーカーに好評な開発環境を準備。
その結果、多数のソフトラインナップの出現予感
等を踏まえた上での低価格なら、非常に面白い存
在になると思っていたわけです。

ですが・・・
先日、Microsoftは欧州でのXbox販売に関する
発表の席で3月14日に16カ国で同時に発売すると
発表したのと同時に、その価格も発表しました。

その価格は、479ユーロ,299英ポンド
(日本円で約5万3000円:10月17日時点)と
発表されたのです。

・・・・・高いです。

非常に高いです。

無論、スペックからして妥当な値段だとは、
個人的に思いますよ。

ですが、今の日本のゲーム市場において
50000円を超える価格のゲーム機を投入するなど
正気の沙汰ではありません。

無理です。そんな価格ではまともに勝負出来ません。

XboxがPS2と比べて優れてる面は、PS2よりも
低価格で市場に登場してこそ意味が出てくるのです。

確かに今回発表になった価格は欧州での価格で、
日本での価格はまだ未定です。

ですが、欧州で発表された価格と、日本の価格は
そう、大きな開きはないでしょう。

低く見積もって、日本での価格は49.900円位が
ギリギリのラインでしょう。

この価格ではヘビーユーザーにアピール出来ても
ライトユーザーにアピール出来る価格帯とは、
到底思えません。

よほど、ブームを起すようなソフトが登場しない
限り、Xboxが日本の市場で活発に動く時期は、
初動以外、訪れないでしょう。

既に絵空事となってしまいましたが・・・
仮に299USドルで販売されていたら・・・
かなり大きなうねりを作り出せる可能性を秘めて
いたんですけどね・・・。

この業界の滞留しきった空気をかき混ぜてくれる
存在としてXboxには注目していたので・・・・
正直、がっかりです。

ただ、まだ正式に日本での価格が発表されていな
いので、結論は早いんですけどね・・・

でも、限り無く正解に近しい予測はでてしまいま
したね・・・・。

Microsoft・・・・無謀だよ・・・。


さて、結構長くなりましたので
今日はここで、終わりとさせて頂きます。

それではまた明日お会い致しましょう。


追記:

スペック関係の記述は、わかり易いように
結構大雑把に記述しています。

よって、若干細かい点での突き詰めが甘いですが
それは、意図した上での表現です。

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