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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.29 Xboxの政策

今週発売のゲーム雑誌にXboxのオンライン戦略に
ついての特集記事が組まれていて、それを読んで
みたのですが、感想としては、面白い展開を達成
できる素材かもしれないなって感じました。

Xboxのオンライン機能の最大の注目点は、
インターネットブラウザとメールソフトを搭載し
ないという点でしょう。

これを聞いて「なんだよ!それ」って嘆かれる人
も居るでしょうが、私はこの「非搭載」について
有る意味で、面白いし効果的だと思えます。

そもそも、私も最近、ゲーム機にインターネット
の機能が本当に必要なのか?という疑問を感じて
いました。

ここで言う「インターネット」とは
wwwを機軸としたWEB観覧機能のことです。

オンラインゲームを実現するために必要な
ネットワークはこれに含んでいない上での話しです。

確かに、インターネット観覧機能が付いてるのは
機能的な面でのマルチポテンシャルとして有る意
味で、1つの姿として確立してるのかもしれませ
んが・・・

こと、そのホストがゲーム機の場合、
果たして、WEB観覧機能という性能はプラスに
働く要素なのでしょうか?

私は敢えて「否」と、ここで言っておきます。

その理由は、ビジネスとして、そのハードに
関連してる、ハードメーカーとソフトメーカーの
利益に直接跳ねかえらないとい部分があります。

現代の娯楽で、一番重要なのは消費者が負担する
費用よりも、消費者が消費する時間という財産を
いかにこちらに割り当てて貰うかが大きな要素だ
と思うのです。

昨今、娯楽は様々なメディアが生まれ、それらの
間でユーザーの獲得を争ってる訳ですが、それは
結果として、ユーザーの限られた余暇を奪い合っ
てるとも言えます。

いかに、効率良く、ユーザーの余暇を獲得し、
その獲得した余暇から利益を生み出すかが、
コンテンツメーカーの最重要課題だと言えるでしょう。

そういった中で、ゲーム機というメディアが、
WEBに繋がってしまうと、折角ハードを購入
してくれたユーザーの余暇をソフトコンテンツと
WEBコンテンツで食い合ってしまい、その結果
確かな数で、ソフトの売れ行きに下降の影響を出
していくと思うのです。

WEBコンテンツは無数に広がりを見せる、
まるで底無し沼のような様相をも持っています。

そちらに時間を裂かれてしまい、肝心のソフトを
プレイしてもらう時間がなければ、新作ソフトも
売上が伸び悩んで当然だと思います。

無論、そういうあらゆる外的素材を吹飛ばすほど
面白いソフトが出れば、問題無く売れるのですが
早々、理想論めいた状況は訪れません。

そういった意味で、DCのソフト売上不信は
このWEB観覧という機能が少なからず影響を
出していたのは疑いの無い要素ではないでしょうか?

無論、DCのWEB観覧機能が「愚」であったと
は思いません。

DCはDCなりのスタイルを作れたと思いますし
DCのWEB観覧機能があったからこそ、私はこ
うして、HPを持つことになったわけです。

ですから、全てのユーザーに無駄な機能であるか
どうかではなく、メーカー側の利益という観点か
ら考えて、余分な機能だったと思うのです。

さらに、DCではブラウザを用い、WEBに存在
する殆どのコンテンツにアクセス可能です。

これも逆に間口を高くしたと思えます。

ゲーム機には初めてインターネット機能を標準搭
載したのがDCですが、その初めてのわりに・・
ちょっと本格的すぎたと思います。

現在DCでインターネットをされてる方の多くは
DCの機能に不満を感じられてるでしょうが・・

初めてインターネットに触れるゲームユーザーと
いう視点で考えてもらうと私がここで書こうとし
ている要点が理解しやすいかと思います。

本来、ゲーム機は、ハードとソフトを揃えれば、
娯楽として完結します。

ですが、DCの場合、それだけでなく
買ったソフトによったら、DCのユーザー登録、
プロバイバー選択、プロバイダー情報入力、
プロバイダー決済、電話料金徴収と様々な段階を
通り超えなければいけません。

これって、その先にあるコンテンツの面白さを、
理解してない人にとって苦痛と面倒を与えている
と思うのです。

ただ、DCの一番優秀なところは、その初期手続
きの簡単なところです。

この点は多いに評価できる点だと思います。

ですが、その簡単な(ある意味で強制的手順)
手続きを終えただけで、多種多様な知識が
混在してるWEBコンテンツに入って行けてしま
うという部分に問題があるのです。

私達、インターネット体験者にとっては
当たり前の知識も、ゲーム業界の利益を生み出す
大きな担い手のライトユーザーにとっては、
まったくの未知の世界なのです。

インターネットを使う上で必須なキーワードで、
「テレホーダイ」「タイムプライス」
「マイライン」「ブラウザー」「検索」
「メール」「BBS」「HP」「DL」
「UL」「URL」「著作権」「肖像権」
「無料」「有料」「商用」「接続料」
「サービス利用料金」「従量制」「定額制」
などがありますが・・・

これらの事を最初から知識として持ってる方は
非常に少ないでしょう。

現に私も、DCを購入するときに悩んだのが、
電話料金関係のことです。

幸いにも、私は何事も知りたがりな正確なので、
予備知識やある程度必要と感じる知識が得られて
ない状態で新しい物に触手を伸ばすタイプでは
無かったので、事前に色々調べ、納得した上で
DCの購入を決断しましたが・・・

私と同じ様に、事前にハローページのNTT割引
サービスの説明や、接続料と電話代の違い、
それらを元に計算した1ヶ月の支出予想等を
行なってから、ネット端末を購入する
コンシュマーユーザーは居るでしょうか?

居るでしょうが、その数は少ないでしょう。

そして、肝心なのが、常日頃からネットに興味を
持ってる人なら、私の様に自分の求める素材とし
ネットのことを知りたいと思うでしょうし、
そう思えば、事前に色々と調べるでしょうが、
衝動的にネットに入ってきた人や、それを目的と
しないで、ハードを購入した人が気紛れでネット
に入ってきた場合、事前の予備知識は皆無です。

そして、現在コンシュマーネッター予備軍は
そういう無知な人が大多数でしょう。

そういった無知な人を受け入れる素材として、
DCは手続きこそ簡単でしたが、その手続きを
済ませたあとが問題だったと思うのです。

いきなり、wwwの全てにアクセス可能なわけで、
それは、間口を高くしているとしか思えません。

その結果として、大きく別けて3種類のユーザー
に別れると思います。

wwwを機軸とした世界に傾倒していく人。
wwwベースに活動し、オンラインゲームに傾倒する人。
wwwを去り、しいてはオンラインゲームも避ける
人。

2番目のタイプが唯一、メーカーに利益をもたら
す存在なのですが、オンラインゲームに飽きたら
wwwに帰ってしまうという性質を持ってるために
他のソフトの顧客に中々なり得ないという難点も
生まれます。

つまり、DCでは、色々出来過ぎるのが
利益の食い合いになってしまったということです

一方、Xboxはネットワークに特化した機能を
標準装備していますが、ブラウザもメーラーも
搭載してませんし、戦略上入れないという方向で
進めていくそうです。

これは非常に面白いスタイルだと思うのと同時に
有効な手法だと感じました。

Xboxだけが認証される専用のサーバーだけで、
ネットサービスを展開していくいうのは、
メーカーの目的もハッキリとユーザーに
提示出来るし、ユーザーも無知のままでも
安心してソフトコンテンツが指示する手順だけ
行なえば後は余分な知識を入れなくても
オンラインゲームというコンテンツを
活用出来るわけです。

これだと、ハード購入ユーザーの獲得した余暇を
ソフトコンテンツに集中させることが可能な為、
各ソフトメーカーにとってもプラスとして働くでしょう。

それに、XboxはHDDを標準装備してますから、
このスペックで無知のまま、wwwに放り出すのは
あまりにもリスクが高いですしね。

ですから、Xbox専用サーバのみのネットワークは
優秀な決断と戦略的に長けていると感じます。

ゲーム機なんだから、ゲームだけで良いではないか!っという潔い姿勢なわけです。

1990年代中期に呪いのように世の中に蔓延し
数々の悲惨な結果を残した「マルチメディア」と
いう実態の無い亡霊から、ゲーム業界もそろそろ
完全に抜け出さないといけないと思いますし・・

XboxやGCのように、コンテンツを限定した形で
戦略を立てていくのは、まるで先祖返りのように
も見えますが、今だからこそ、有効な手段だと言
えるでしょう。

そもそも、ゲームユーザーは対してネットに
強い関心を持っていません。

なぜ関心が無いかというと、簡単な話しです。
「その面白さが解らない」からです。

ネットワークの世界に転がってる面白さは
実際に体験してみないと、実感として感じられません。

オンラインゲームにしてもそうです。

TVの向うに人が居るっと言っても
「だから?」って感じなんですよね・・・。

だってそうでしょう・・・
長年、ゲームは一人で遊ぶか、友人と一緒に
TVを覗き込んで遊んでいたメディアです。

それをいきなり、TVの向うには人が居るのよ
って言っても、それから生まれる面白さを
即座に理解出来る、非ネット体験コンシュマーユ
ーザーなんて、極小ですよ・・・。

そのシステムが「凄い」という所までは誰でも
感じられるでしょうが、実際に体験したあとに
感じる面白さを事前に理解出来る人なんてね・・

それに、非ネット体験ユーザーにとって
ネットゲーム云々って言われても、
ソフトを購入してから、さらに追加で料金を
支払わなくてはいけない重荷の方しか意識が
向かないんですよね・・・。

これは、当然なんですよ。

だって、それら非ネット体験ユーザーは
日頃、OFF専用のゲームで遊んでるわけです。
大体価格は5000~7000円で1つのソフトが買え
その出費だけで、そのソフトを遊び倒せる訳です

で、そのOFF専用ゲームでも十分楽しめる。

なのに、ネットゲームになれば、面白いと人は
言うけど、それらの人には同じゲームなのに
追加料金は取られるし、電話代はかかるし・・・

それだけの追加支出を払うなら、新作ソフトを
1本余分に買えるじゃないかっていう印象を
持つんですよ。

非常にもっともな意見なんですよね、これ。

ただ、なにかのきっかけでネットゲームを
体験した途端、あれほど、気になってた
月々の支払いが、気にならなくなる。

そう、体験したからこそ、その面白さと
支出のバランスが取れてると判断できるわけです

そこで、肝心なのは上で書いたとおり
「きっかけ」なんです。

この「きっかけ」をいかに単純明解にユーザーに
提供させることが出来るかが、ハードメーカの、
次の時代のキーポイントでしょうね。

重要なのは「考えさせない」
「選択肢を与えない」の2つだと思います。

DCみたく、プロバイダーの選択余地や、
割引サービスの選択などをユーザーに任せない。

ハードメーカーか各企業と提携し、
専用のサービスパックを用意し、そのハードの
全ユーザーに同じ環境の元で動いてもらう。

こうすれば、無知であろうが無かろうが
全ての人の環境は同じなのでメーカーサポートも
十分な役割を果たせますし、諸問題も出にくい。

ユーザーも選択する必要がないので、迷わなくて
済みます。

コンシュマーユーザー相手にはこういった
閉鎖された世界で提供していくのが一番ベスト
だと思うんです。

私や、このテキストを読んで下さって頂いてる人
が予想する以上に、コンシュマーユーザーの
ライトな位置に属する人は凄く無知なのです。

で、Xboxはまだ詳細は発表してませんが、
NTTと何か悪巧みを(笑)している様なので
もしかしたらXboxユーザー専用の回線契約パック
というような物を準備しているかもしれません。

ブロードバンドになれば、尚更、知識が必要に
なりますから、その知識を必要としない接続形態
を用意できれば、面白い素材になると私は感じます。

発売前ということもあり、今、私的にXboxは
非常に面白い存在として私には映っています・

出る前は、可能性無限大だすしね(笑)

では、今日はこのへんで終わります。

また明日お会い致しましょう。

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