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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.30 変わらなければならない流通

皆さんは、ゲームを購入する時は、どういう流通
で購入されていますか?

恐らく、殆どの人が小売店で購入なさってるでしょう。

現在では、インターネット通販と言うものが、
徐々に普及してますが、ゲームの流通に限っては
まだ、ソフト購入者の10%程度がネット通販を
行なっているにしか過ぎません。

そこで、今日は、流通の仕組みと現状の落とし穴
について、話しを進めていきます。

まず、小売店購入者のメリットとはなんでしょう

・割引率が高い
・スタンプやクーポンなどの金券サービス
・商品の店頭デモなどが購入の助けになる。
・中古ソフトが買える
・支払いが簡単

などでしょう。

逆にデメリットはなんでしょう?

・売り切れからの再入荷が商品毎にまちまち。
・タイトルによっては売り切れたら再入荷が無い
・営業時間と自分のタイムテーブルが合いにくい
・定番ソフト以外では、店舗によって価格が違う
・既発売のマイナーソフトを探すのに苦労する。

といった感じでしょう。

そして、ネット通販のメリットは

・24時間、好きな時に買い物が出来る。
・マイナーソフトでも検索で探すのが楽。
・店に行かなくてもいい。
・大抵、クレジットカードが使える
・複数のネットショップを瞬時に移動でき楽。

ってくらいでしょうか?

デメリットは

・手数料や、送料で余分な出費がかかる
・決済システムが面倒。
・割引率が低く、大抵定価販売。
・中古品を買う場合、状態程度が見極め難い。
・商品が届く日を考慮して在宅しなければ駄目。

等が妥当でしょう。

さて、これらの良く有る、デメリットとメリット
を選択し、現状の流通を使い分けておられるのでしょうが・・・

ハッキリ言います。

小売店にしろ、ネット通販にしろ、
それらの流通は現状では全然、消費者側に立った
流通システムを構築してません。

まず、小売店。

大手のチェーン店などは、ほぼ、メーカーからの
吐き捨て場になっているのが現状です。

メーカーから、提示された出荷数を各店舗に対し
割り当てて、再出荷はメーカー次第。

消費者が、店頭で「注文したいのですが」と
申し出ても、「入荷は未定」ですっと完全に
受けて丸出しの解答が帰ってくるのがしばしば。

そして、メーカーの予想を多いに裏切る形で、
売れ行きが芳しくない商品がでても、それは小売
店まかせ。

極端に、商品がデッドストック化する可能性が、
高くなった場合、メーカーの営業の方が小売店に
現れ、販売に関してのアドバイスや対策をしに
やってきますが、それは時既に遅し・・・で、
小売店側とすれば、売れないと判ってる商品を、
メーカー側の「ブランドを守る」という面子の為
厄介な荷物を背負わされるだけ。

つまり、小売店がメーカーに対して発言力を
持ってないのです。

これでは、消費者のニーズに対応した在庫管理は
出来ようはずはありません。

さらに、小売店は(一部量販店除く)問屋を通し
て、商品を受け取ってるので、価格は無駄に吊り
上がってます。

正確な仕入れ値をここで出すのは問題が有るので
書けませんが、店頭で割り引きされている商品で
「これ!すげ~~安いよ!」って商品でも、赤字
で販売してるものは殆ど有りません。

そうです、その値引いた分は余分な吊り上げ価格
だったのです。

無論、破格の赤札商品もありますけれどね。

そして、最近増えつつある「オープンプライス」
というシステムがありますが、現状の日本の流通
システムでは、1次問屋、2次問屋が間に入るの
で、価格自由設定OKの「オープンプライス」が
まったかく意味を持っていません。

こういう、消費者のニーズと間逆のシステムで、
小売店は営業していて、少しでも集客するために
金券サービスなのどやっていますが、それでも、
結局、仕入れ値で釣り上がってる状況が変わる訳
ではありません。

そう、目先、小手先で誤魔化されてるだけです。

これらの問屋問題を無くすのが一番なんですが、
極端に言ってしまえば、小売店がある限り、問屋
はその存在を消すことは有りません。

ですから、唯一、問屋の問題から抜け出せる商法
がネット通販です。

これは、問屋が関係していません。

ですが、ここに大きな落とし穴があります。

問屋から小売店という仕組みで作られた価格が、
一般的に認知され過ぎている為、それを利用して
荒稼ぎしてるのがネット通販の現状です。

ネット通販は、基本的にメーカー直売が主です。

商品を開発、販売しているメーカーの直売店な訳
です。

ですから、問屋を通してない。

なのに、価格はどうです?

店頭で購入する価格と、あまり大差ないですよね

言い方は悪いですが「ぼったくり」なんです。

小売店形式で存在する、メーカー直売店も
ネットショップと同じやりくちです。

ということで、小売店はメーカーに依存。
メーカーの直売ネット通販は、小売店で形成した
価格帯を利用し、大幅な利益を受けてる。

どこにも消費者のニーズに応えた流通の仕組みは
入っていません。

キツイ言い方ですけど「腐ってます」

別に、ゲーム業界でデフレを推進せよ!と
ここで説くつもりはありません。
(既に低価格シリーズがデフレスパイラルを巻き起こしてるし)

ただ、もう少し自分が買っているゲームの価格や
流通の矛盾点に目を向けて欲しいのです。

適性価格という仕組みがもっと問い出されても
よい時代になってきてると思います。

メーカーの作った作品は、メーカーが責任もって
消費者に届けるという仕組みをつくれば、現状の
操作価格も消えて、各タイトルが適正な価格で、
私達に提供されるようになるでしょう。

簡単に言えば、1億の制作費をかけた作品と、
一千万の制作費をかけた作品が同じ価格で店頭に
ならぶ矛盾は、今の流通を壊さない限り続きます

ただ、その矛盾を受け入れるとするのも、
1つの形だと思いますが、それならば消費者の
ニーズに依存した店頭展開ができる仕組みに、
変わっていかないと、どんどん、小売店は
メーカーの吐き捨て場になってしまいます。

ネットショップというのが、今後のネット普及の
大きなキーマンだと思うのです。

ただし、現状の流通の操作価格の延長線上を
なぞってるような仕組みのままだと駄目です。

簡単に言うと、小売店で商品を買えば、
問屋が間に入ってるので割高。

ネットショップのメーカー直売サイトなら、
小売店市場で問屋を挟むことにより発生してる
価格の上昇分が省かれ、半値以下で買える。

こういう仕組みになれば、みんなこぞって
ネットショップを利用するでしょう。

そしたら、小売店も、対策を講じるのが当然で、
結果、それが、双方の競争となり、より消費者に
とって、消費欲を駆られる状況になり、業界全体
が活性化していくと思うのです。

ゲームに関して言えば、日々、テクノロジーが
成長し、進化した作品がリリースされてるのに
関わらず、その進化した作品を扱う流通は、固執
しきった、古い体制のままなんておかしいです。

凄く、誤解を招く表現ですけど・・・
結局、いつも消費者は無視され、上で談合してる
んですよね・・・。

ただ、その談合は、メーカーを中心にし、問屋が
それをあっせんして、小売店がしがみつくしか、
道が残されていないって感じでしょうね。

だから、常にメーカーが一番上で踏ん反り返って
上様気分だったのに、中古ソフト市場の急成長で
談合の一番格下であった小売店が設け始めると、
メーカーと問屋が怒り出した。

「俺達に利益が回ってこないじゃないか!」
「格下のくせに、生意気だ!利益わけろ!」
って事なんですよね・・・。

頒布権云々なんて、当然な方便・・・。

「俺達、今まで誰も損しないように面倒みてきて
やったのに、お前らだけで潤うとは何事だ!」
って・・・。

ま、談合っていっても、
メーカー:6
問屋:3
小売店:1の談合でしたから、小売店としたら、
独自利益に走るのも無理ないですよね。

で、案の定、中古ソフトの売上の数%を納める事
で決着ついたでしょ・・・。

頒布権・・・どこいったのさ?って感じ。

「中古があるから新作が売れなくなる」
「よって資金回収が困難になる」等という言い分
をだしてましたが、それが、どれだけ無理な主張
かは、主張した側が一番分かっていたでしょう。

別に、本気でそんなことを主張したいわけで無く
単に、中古ソフト市場の利益還元の仕組みに、
俺達も混ぜろ!って事を言いたいだけだったわけ
ですし・・・。

なんだかな~って感じです。

知り合いに、ゲーム店関係者がいるのですが、
その人が話してた事で強く印象に残っているのが
「今の流通は腐ってる、メーカーや問屋の前に、
一番無くさなければならないのが小売店なんだよ。結局、商品をさばく小売店が無くなれば、無茶
苦茶な談合も一気に崩壊する。例え問屋制度が改
革されても、すぐ、新しい談合の面子は揃うもん
さ。結局、利益を循環させるルートが変わるだけ
で、問屋が無くなっても何も変わらない。小売店
が無くなっちまえば、利益を循環させたくても金
の通り道が無くなるから嫌でも、流通は変わるだ
ろう」っという話しでした。

この話しをしてもらった時には、
それなりのきっかけがありまして・・・。

なんでも、売れないと判ってるソフトを
無理やりメーカーが本部に追加で出荷し、
各店で余りまくってるにも関わらず、その商品が
配送されてきて「売れ」という御達しが有った
そうで・・・。

それで、本音爆発しちゃって・・・

ま、確かにもう流通は変わらなければならない
時期にきてるでしょうね。

消費者の敵でもある、談合を消し去るには、
販売メーカーの自己責任での流通、ネット通販が
今後の鍵を握ってるでしょう。

ゲーム業界だけでなく、他の業界のどこかが
はじめれば、この現状の流通は一気に崩壊すると
おもいます。

それが、唯一価格を下げ、消費を活性化させつつ
デフレを起させない方法でしょう。

では、今日はこのへんで終わりとします。
また明日お会い致しましょう。

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