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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.33 PS2は同じミスを繰り返す可能性が有る。 前編

さて、ちょっとご無沙汰のコラムです。

今回のテーマは、PS2の今後について最も重要
だと感じる、オンライン展開について全3回に渡
って書き進めていきます。

では、第1回目スタートです。

去年の夏頃から、コンシュマー業界に一気に流れ
こんできた「オンライン」の波。

それは、2002年に入ると同時に、PS2ではFF
11のβテスト。
Xboxの発売間近による正式な仕様発表及び、あち
こちのマスコミに取り上げられ、ゲーム業界の話
題の5割はオンライン絡みになってきていると言
っても過言では無いでしょう。

そんな中で、PS2陣営とXbox陣営のオンライン
事業で大きな違いが有ります。

それは、ネット端末が別売りか、同梱かとかと言
う問題でなく、オンライン自体の仕様です。

Xboxのネットワークは同一端末のみで構築される
いわば、閉鎖されたネットワークという仕様です

これは、つまりXbox同士、またはXbox向けに用意
されたコンテンツワールドの中でのオンラインと
いうことになります。

この手法をここでは「LAN」と表現します。

「LAN」とはパソコンなどで機器同士を直接繋
ぎ、その機器同士のみでデータリンクを行なうこ
とを「LAN」と言います。

小規模な例で言えば、ゲームボーイで行なうケー
ブル対戦。これも、「LAN」と言えます。

中規模で例えると会社の中の全てのパソコンでネ
ットワークを構築し、外部と遮断をしてるケース

大規模になると、会社、及び本部から子会社、小
売店等とネットワークを構築し、外部のサーバー
にも直接アクセス可能な場合等。

取り敢えず「LAN」に関しては、もっと特異な
ケースが多数存在し、上の例えはあくまで一例に
しか過ぎません。

単純な話し、データリンクの相手が特定されてい
て、尚且つ、その特定されたネットワークのみで
活動するのが「LAN」って感じです。

先に書いたように、Xboxのネットワークはマイク
ロスフト社が提供するコンテンツサービス間のみ
のネットワークです。
(将来的に外部サーバとのリンクも可能性有り)

こういう風に書くと、「なんだXboxってインター
ネットやメール等が出来ないんだね。使い勝手悪
そう」と思う人も多いでしょう。
(メール等は出来る方向で進んでるそう)

しかし、そこに今回のテーマが隠れています。

日本のコンシュマー市場でのシェアNO.1である
PS2のオンライン展開はLANではありません

インターネットもメールも出来ます。

つまり、世界中に無数に存在するWEBコンテン
ツに即座にアクセス出来、更にハードディスクを
用いることよって、魅力的な音楽配信サービスや
動画配信なども受け取ることができます。
(無論、PS2では利用不可能なコンテンツも存
在しますけど)

こう、比較すると、PS2側の方に魅力を感じる
方が多いでしょうね。

でも、待ってください。

PS2のオンライン展開の方に魅力を感じた方。
どこに魅力を感じました?

インターネット?メール?音楽配信?動画配信?

ま、どれにしても・・・肝心な部分が抜けてます

PS2はゲーム機です。

ゲーム機に、メール機能はともかく、インターネ
ット機能、動画、音楽の任意ダウンロードが必要
でしょうか?

それは、付加価値としては有効かもしれません。

しかしです、今のゲーム市場で付加価値を他のメ
ディアに依存するのはあまりにも危険です。

PS2とHDDを用意すれば、ゲームを買わなく
ても、それらの機器を使いインターネットが楽し
める。

これは、ゲームを買わなくても、PS2&HDD
が活用できるという意味になります。

これが、危険なのです。

コンシュマーゲームというメディアは、メーカー
問わず、一様に赤字でハードを売ります。
そのハードを売って発生した赤字は、各メーカー
のソフトをユーザーに買って貰うことで、純粋に
売上から、又はサードパーティーからのロイアリ
ティ等で補填していくわけです。

ハードを沢山売れば、赤字も大きいですが、その
分、ソフトの売り上げ幅の許容が大きくなるので、
結果、黒字を計上出来るという仕組みです。

これが、家庭用ゲーム機の大前提です。

しかし、先に書いたように、ゲームソフトを買わ
なくても、所有しているハードが活用出来てしま
うと、ソフトの売上から赤字分を補填しようにう
も、ソフト消費の減退が発生し、ハードメーカー
自身、苦しくなります。

さらに、そのソフトの消費減退は、中小規模ソフ
トメーカーにも被害を与えます。

ハードだけで、楽しめてしまえる環境を持ったユ
ーザーに対して、ソフトを売るのが難しくなるか
らです。

ユーザーは大手のソフトメーカーが出す、ビック
タイトル位にしか目を向けなくなるからです。

すると、どんどん、実験作や野心作などは、リリ
ースされなくなり、安全に売上の最低保証を見込
めるような「有りがち」な内容のソフトばっかり
になります。

ドリームキャストの不振に、上記の理由も含まれ
ていたと、私的に感じています。

確かに、ドリームキャストは素晴らしいハードで
した。
(以下、DCと表記)

買ったその日から、周辺機器を1つも用意しなく
ても、インターネットに繋げられ、ほとんどのイ
ンターネットコンテンツにアクセス可能で、世界
中に無数存在するインターネットコンテンツのサ
ービスも、問題無く受ける事ができます。(現在
では、DCだと動作しないコンテンツも増えてき
てます)

しかも、そのインターネットに繋ぐ上で必要不可
欠な初期登録作業も、非常に簡単に出来るので、
誰にでも受け入れ易いハードでした。

しかし、DCだけで、インターネットコンテンツ
を楽しめる事が、ユーザーのソフト消費の減退に
明らかに影響していたと私は考えてます。

自分自身を基準に置くのは問題ですが、取り敢え
ず、自分自身の変化で考察すると、DCを購入し、
インターネットに繋ぐようになってから、私自身
のソフト購入の数は激減しました。

DC&インターネット以前は、月に5本以上のソ
フトを買うことも珍しくありませんでした。

そう、そんなに購入するほど、ゲームマニアな私
が、DC&インターネット導入後は、月に1本買
うかどうか・・・という程度まで落ちました。
無論、私のケースでの話であり、統計的な趣旨で
の例ではありません。
(しかし、統計的な主旨で話しても通用するケー
スでもあると思っています)

何故、ソフトを買わなくなったか?

この最大の理由は、やはりインターネットですね

インターネットは、非常に便利です。
この『便利』は色々な場面で、色々な意味合いを
持ちます。

純粋に困っている時の助けになる『便利』の場合
もあります。
自分が必要としている情報を捜せる『便利』でも
あります。

そして、最大の『便利』は、自分の趣向にあった
『遊び』又は『ホビー&トイ』を探し出し、自分
にとって楽しいと思うことに没頭出来ることでし
ょう。

インターネットには、様々なコンテンツが存在し
扱う内容も多種多様ですから、インターネットを
扱うユーザーの趣向に合うコンテンツに容易に辿
りつけます。

その、没頭できるコンテンツは人によって、趣向
が違いますから、どんなコンテンツに神経を向け
るかは様々でしょう。
ただ、共通してるのは、自分が好む『遊び』を個
人が任意で捜せて、見つけた場所で、自分が求め
るままの欲求に応えてくれるという点でしょう。

これは、どんなゲームソフトにも勝る魅力を秘め
ていると感じます。

私の場合、DC&インターネット導入後、チャッ
トとHP制作関連の情報収拾と実践にハマりまし
た。

チャットは、テレホーダイがスタートする時刻か
ら、テレホーダイが終了する頃まで、ずーと話す
という時期が3ヶ月ほど続きました。
当時はDCしか所有していませんでしたので、マ
ルチウィンドウでの『ながらチャット』でなく、
終始、話しまくるチャットでした。

チャットに傾けていた好奇心が一端落ちついた頃
にHP関連の勉強を始めました。

それらのネット活動をしたことにより『時間』と
いう消費物の行き先が、ネットに集中してしまい、
ゲームソフトを買ってもプレイする時間が無いと
いう状況に陥りました。

結果、買ってもプレイする時間がないのなら、よ
っぽどプレイしたいゲーム以外は買わないという
結論になりました。

これは、DCユーザーの一人でもある私。そして、
ゲームを沢山買ってくれる、マニアの私。そんな
私から吸い上げれたはずのソフト利益が消滅した
という事になります。

ここでは、個人的な変化として書いていますが、
結構、似たケースは多かったのでは無いでしょう
か?

無論、DCの不振が上記のようなケースから出て
くる、計上損失が全ての原因だというわけではあ
りません。

ただ、実数は定かでないにしろ、こういったケー
スで、ソフト購入のサイクルに変化が生じた、D
Cユーザーは結構居たのではないかという前提で
の話です。

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まだまだ、話しの途中ですが、続きは次回の
『乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行
方Vol.33 PS2は同じミスを繰り返す可
能性が有る。 中編』でお送りいたします。

それでは、今日はこのへんで。

次回の更新でお会い致しましょう。

追記

次回の更新で『中編』をUPする予定ですが、事
情により、内容を差し返る場合もあります。
(時事ネタで取り上げたいものが有った場合等)

ただ、全3回分のテキストは完成してますので、
書く暇が無いとかという理由で延期することは、
ありません。

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