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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.36 PS3開発中止!? 前編

SCEの社長、久多良木氏がPS2の後継機にあた
る『PS3』の開発は「しない」という考えを
朝鮮日報とのインタビュー記事の中で明らかにし
ました。

と、同時に氏はインタビューの中で
「テレビ・PC・ゲーム機の未来の姿として、秒速
15メガバイトのデータを転送できる高速通信網が
整備されれば、いまのような家庭用ゲーム機は、
無くなるであろう。そして、2005年以降に発売さ
れるゲーム機は、パッケージのソフトを購入して
楽しむのではなく、ゲームのデータをダウンロー
ドして楽しむという形式となっていくであろう」
と語っています。

更に『PS3』の話題に関しては「開発しない。
その役目をテレビが担う」という見解を出しまし
た。

これは、デジタル放送の普及と高速回線の普及で
テレビ画面とリモコンのみで、一般家庭における
全てのエンタテイメントが楽しめるようになる未
来という意味を指していると考察できます。

さて、この話しで、ひっかかるのは、大きな意味
でPS3の必要論です。

ただ、必ずしもPS3が必要かと言われれば・・
現時点では、きちんと回答できません。

それは、PS2に次世代機が必要と感じられる時
期はまだまだ先の話しだからです。

そのときに、PS2を取り巻く環境が、次世代機
を発売して、引き継ぐほど意味の有る市場として
成長を遂げているかは、分からないからです。

ただ、PS3という1つのハードに限らず、まだ
まだ、この国では、現状のコンシュマー市場の中
で流通し得る、次世代ハードという物が数年後先
であっても必要だと強く感じます。

朝鮮日報のインタビューであった
「15メガバイトのデータを転送できる高速通信網
が整備されれば、いまのような家庭用ゲーム機は
無くなるであろう」という話しと「005年以降に
発売されるゲーム機は、パッケージのソフトを購
入して楽しむのではなく、ゲームのデータをダウ
ンロードして楽しむという形式となっていく」と
いう点については、大きな疑念を感じます。

以前から、何度かここでも書いていますが、最近
の日本のエレクトニックエンターテイメント業界
の方向というか、目線がブロードバンド大国の韓
国、台湾を標準意識で見過ぎです。

韓国、台湾で成功した一大ブロードバンド戦略を
見て、日本でも!!って言う気持ちは判らなくも
ないのですが・・・この国で高速回線が各戸配備
される必然性が感じられません。

韓国、台湾では、家庭用ゲーム市場は皆無と言っ
ていいほど、その存在は受け入れられていません
でした

そして、韓国国内では、日本で言うゲームセンタ
ーが法で禁止されています。

すると、必然的に、韓国、台湾の若者がエレクト
ニックエンタテイメントへの好奇心と欲求を満た
す為の矛先は『パソコン』へと向けられました。

しかし、パソコンは韓国、台湾でも高価な品物。

気軽に家庭に導入出来るものではありません。

そこに目をつけて、韓、台の投資家や企業家が、
パソコンカフェなるものをオープンさせ、ゲーム
センターが存在しなかった韓、台では一気に人気
が集中して、一大市場に成長したのです。

やがて、パソコンの世界でも、ネットワークの時
代に突入し、インターネットが標準となると、パ
ソコンカフェはインターネットゲームカフェへと
成長し、潤いまくってるその業界の経済力を後ろ
盾にし、韓国は国家を挙げて、総ブロードバンド
化という政策を実施し、その政策が更に多くのイ
ンタネットゲームカフェの乱立とも言えるほどの
バブルを作りだし、一大ムーブメントになりまし
た。

台湾では、現在、月に500店舗という規模で、
インターネットゲームカフェが増え続けています
(無論、その中で熾烈な生き残り競争があり、4
0%程度が生き残れるという状態ですけど)

このような状況は、家庭用ゲームの市場が無かっ
た、又は、違法な海賊版の市場しかなく一部のマ
ニアだけの世界だったというバックボーンがあっ
たからこそ、成し得た、デジタル産業バブルだと
言えるでしょう。

そんな成功しきった状態を垣間見て、日本もそう
したい、いや、そうなるんだと、最近のデジタル
メディアのクリエイターや役職関連の人は言って
いますが・・・

それは、危険な妄想だと思います。

日本でデジタル産業を支えてきたのは、言うまで
もなく、コンシュマーゲーム業界です。

このコンシュマーゲーム市場というものは、有る
意味で、オンラインコンテンツ事業とは相反する
市場だとも言えるでしょう。

私的には久多良木氏が仰ってるような環境が標準
になるのを望んでいますが、それは、この国では
もっともっと先の話しだと思います。

大容量の回線云々以前に、既に日本ではネット産
業は衰退の一途を辿っています。

98年ごろに「ネットバブル」の到来という、当
時の不景気から抜け出せる切り札的な扱いをされ
て、ヤフー株の高騰なので一時はこの業界も活性
化しましたが、結局1年も持ちませんでした。

結局、日本でインターネット産業に目を向けたの
は、バブルの後始末で途方に暮れてる投資家だけ
が騒いだだけでした。
(その騒ぎで若干のユーザーの裾野は拡大しまし
たが)

しかも「TOPIX」銘柄にネット産業を加えてしま
った事により、証券市場の平均価格で落ち込み表
示を披露してしまい、投資家たちの不安を煽る結
果を招いてしまいましたし・・・
(この部分の解説は省きます。挿入しても構いま
せんが、してしまうとテキストの内容が大きくズ
レてしまうので割愛させてもらいます。)

そんな状況に加え、この国の消費者は未だにネッ
トに興味を持たれてる方が少ないのです。

あるアンケートでは、38%が興味無いと答え、
21%がよくわからない。16%が必要性を感じ
無いと答えてます。

そして、インターネットの代名詞であるパソコン
市場も、パソコンの売上が始めて前年を下回る結
果となりました。(国内)

これらの最大理由として私的に断定するのは、
やはり「必要性」でしょう。

新しいメディアである、ネット&PCが消費者に
訴える部分で足りないところは、生活に密着した
必要性が薄いのが最大の要因だと思うのです。

「パソコンが無いと、明らかに不便で、更に不利
そして、損」という焦りを、消費者は感じていな
いのです。

デジタルテレビの見事な伸び悩みと似てます。

民法は、まだ地上波を放送し続けるし、更に地上
波がメインで新番組を制作してる。

すなわち、好きなタレントの出演してる番組を見
るのに、地上波で事が足りているのに、わざわざ
デジタルTVを購入しようなんて大半の人は思わ
ないでしょう。

パソコンもそうです。

雑誌媒体、TV媒体と大きく差を付けられる程の
コンテンツが有る訳でなく、無くても何ら問題無
く生活できるって所で、興味を持ってくれません
(この場合の生活は現代的都市生活という意味)

ただ、中には、携帯電話が一気にあそこまで普及
した事例があるから、ネット&PCも同じように
って考えてる方も多いようです。

しかし、携帯電話の普及っていうのは、若者が中
心でそこから波及しました。

では、なぜ、若い層に普及したかですが、この携
帯電話のケースは「必要性」ではありませんね。

「偶像の実体化による達成感と優越感」と
「密社会からくる集団性」の相乗効果で一気に
普及したと確信しています。

「偶像の実体化による達成感と優越感」
これは、つまり「憧れ」の存在を自らに取り込む
事での達成感と、その達成による優越感のこと。

もっと分かりやすく言うと携帯電話が規制緩和で
安く使えるようになる前は、携帯電話って一部の
裕福な方か、もしくは芸能人とか、つまり身近に
存在しない人達が持つアイテムだったでしょ。

それが、電波法の規制緩和で格安で使用出来るよ
うになった時、言い方は悪いですが、用も無いの
に携帯電話を持つ人が急増したんです。

すると、それを見せられた身近な人達も、俺も!
俺も!ってことになり凄い速度で普及していきま
した。

この時期をタイムリーに過ごしていた方には、ま
だ記憶に新しい現象のはずです。

事実、あたしも、その規制緩和の時にタイムリー
で、その普及の波を見ました。

当時、本人の意思とは逆に、何故かバイト先のお
店で、店長をやらされる事になってしまい。その
関係で、会社から、携帯電話を持てと指令が来て
嫌々気分満開で代理店に出向き、契約したのです

そして、それから3ヶ月ほどしたころですね。
総勢で40人居たバイトの内、半分以上(25人以
上)が携帯も持つ様になりました。

それらのバイトのみんなは漏れ無く、私が持たさ
れた、携帯を見て、料金云々、契約云々を聞いて
きた人達です。

当時はまだ「ポケベル」という携帯呼び出し端末
が、まだまだ現役だった時代で、単純に連絡目的
であるなら、料金面からもポケベルの方がコスト
パフォーマンスは高かったのです。

しかし、何故か、学生であるのに携帯電話だった
のです。「何故?」という問いに「恰好良いし」
「みんな持ち始めてるし」という理由が圧倒的で
した。

つまり、みんな恰好良い物を持ってるから、自分
が持ってないと、イコール恰好悪いってことです

これが、馬鹿馬鹿しい理由で有ることは言うまで
もないことで、今では、有る意味で携帯は必需品
となっていてるので、現在、中学生や高校生の方
は、そんな感覚を持って、携帯を持ってる人は少
ないでしょう。

もう、持ってる事が普通になりましたしね。

でも、持ってることが、まだ普通じゃなかった頃
は、こういう、馬鹿馬鹿しい理由が蔓延していた
のです(笑)

なんか・・・歳バレだよ(笑)

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さて、今回は急遽、2回に渡っての連作にするこ
とにしちゃいました。

簡単に言えば、長くなってしまったので強引に
分割しちゃいますってことです(笑)

では、多分、この続きは明日にアップ出来ると
思います。

急遽、取り上げたいネタが有ったりした場合は、
差し替わる可能性も有りますです。

では、次回の更新でお会い致しましょう

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