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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.44 ワンダースワンについての私的考察

既に各所で既報のとおり、バンダイは2月18日
に自社が販売、製造を行っている携帯ゲーム機の
現行期『ワンダースワン クリスタル』の販売形
態を完全受注生産制にシフトし、次世代型携帯ゲ
ーム機の開発を中止すると発表しました。

同社は今後もワンダースワン用ソフトの開発、販
売は継続していくと発表していますが、今年の秋
に任天堂のゲームボーイアドバンスソフトを発売
する予定であるとも発表しました。

つまり、事実上の完全敗北宣言です。

本体の受注生成制とワンダースワン用ソフトの開
発、販売の継続というのは、言ってしまえば方便
ですね。

事実、バンダイがワンダースワンをリリースして
から任天堂のGBAソフトは1作も出していませ
んでしたから、それを今後出すってことは、ワン
ダースワンを捨てると同義です。

ただ、今後発売される予定のソフトが6本残って
おり、それらのソフトは販売戦略的に発売中止に
するには惜しいタイトルばかりです。

ですが、大きな売り上げを出せるソフトか?っと
言うと、微妙な線です。

FF3と、ギレンの野望が上手く行けば共に10
万本を望めるかもしれません。

そういったソフトが有る以上、本体の生産中止は
公に発表出来ませんし、それら最後のソフト群で
市場在庫以上の本体売り上げが望めるのなら作り
ますよっという感じでしょう。

万が一、盛り返すことが無いとも言えませんから
、ちょっとした保険なんでしょうね。

ただ現実は厳しく、事実関係を冷静に観察すれば
ワンダースワンは今年一杯で終了するというのが
当然且つ、妥当な見方です。

で、いきなりですが、なぜワンダースワンは携帯
ゲーム機市場で存命出来得る程のシェアを獲得で
きなかった?について、coc的解釈で書いてみま
す。

cocが思うに、ワンダースワンの長所でもあった
版権物作品の多さが仇となったっと感じます。

確かに、ワンダースワンの今まで発売されてきた
ソフトのタイトルを見ると、大変魅力的なタイト
ルが並んでいます。

ガンダム作品は勿論、デジモンや、ワンピース、
犬夜叉など、人気TVアニメ作品のタイトルが
並んでいます。

これだけ見てると、売れなかったが非常に不思議
に感じるのですが、これら版権物を網羅したこと
がワンダースワンの命取りとなったcocは思うの
です。

まず、版権物の主なターゲット層でもある15歳
以下のユーザーは、確かにそれらの版権物に反応
は示すのでしょうが、いかんせんライバル機であ
る任天堂のゲームボーイ陣営にポケモンが存在し
こたが一番痛かったと思われます。

つまり、低年齢向きの版権物を売りたくても、そ
の販売ターゲティング層がモロにポケモン層で、
やはり子供達の一番はポケモンであって、そのム
ーブメントに入り込む余地が無かったというのが
原因でしょう。

子供が二代目の携帯ゲーム機を購入するにあたっ
て、何を基準に選ぶか?

ゲームボーイから次に携帯機に移る際、ワンダー
スワンか、ゲームボーイカラーかという選択にな
るわけですが、そこで子供達が選ぶ選択肢は大抵
がポケモンの遊べるGBCということになってし
まいます。

その後、GBAか、ワンダースワンカラー及びク
リスタルかの選択になるわけですが、やはりここ
でもポケモンの遊べるGBAという選択式は崩れ
ていなかったのが、先頃発売されたポケモンの新
作の驚異的な売れ行きで証明されています。

デジモンもワンピースも犬夜叉も好きなんだろう
けど、やっぱりクラスの皆が一様に好きなのがポ
ケモンで皆と遊びたいから任天堂にするという至
って単純な動向がWS陣営にとって大きな痛手と
なっていたと思います。

そして、もう1つ。
版権物のもう1つのお得意様が存在します。
所謂2次世代と言われる、成年層です。

これらの層にアピールする為に有効だと目された
ガンダム作品、スクウェア作品を筆頭に、他の据
え置き型からの移植作品などがリリースされてい
ますが、どれもパッとしませんでした。

その理由として、成年層は目が肥えてると言いま
すか、PS2をはじめ、高性能の据え置き型マシ
ンで遊んでる層に版権物や、世代落ちハードの移
植作品など出しても、わざわざ携帯機用にスケー
ルダウンした作品を遊ぼうと思ってくれる人って
少ないんですよ。

あの、20万程度の固定ファンが居ると言われて
るガンダムファンでさえ、WSのガンダムゲーム
に飛び付きはしなかったという結果が物語ってい
るのです。

PS2で、良質のガンダムゲームが何作もリリー
スされてる現状で、携帯機のガンダムは所詮、食
卓の隅に配膳される酢の物のような存在で、わざ
わざそれをメインの位置に持ってこようとする人
は少ないわけです。

よって、マニアには支持されるものの一般ユーザ
ーに対しては非常に弱かったワンダースワンとい
う事実が生まれたように思うのです。

cocは個人的にワンダースワンという機種につい
て、そのタイトルラインナップからして非常に魅
力的なハードだったと思ってますし、常に気にし
ていたハードでもあります。

ですが、それは結局マニア視点からの思いであっ
て、一般ユーザーレベルでは携帯機=任天堂とい
う数式は王道のままだったって感じですね。

ま、上に挙げたこと以外にもハードのスペック的
な問題、スピーカーの質の悪さ、ヘッドホン端子
が専用端子だったとか、色々有りますが、それら
は買ったあとの問題であり、今取り上げてる問題
は買ってもらえなかった理由の考察ですから、詳
しくは書きませんでした。

さて、これで事実上、携帯機市場は任天堂の完全
な独占市場となったわけです。

どうにもこうにも。ゲームボーイシリーズに対抗
しうるハードは出てきませんね。

こういった独占状態というのは、業界の発展とい
う観点から言えば、あまり好ましく無いのですが
いかんせん強すぎますね、任天堂が。

ポケモンが見向きもされなくなるまでは、こうい
った状況を崩すのは難しいでしょう。

しかし、その任天堂が圧倒的な強さを誇示してる
市場で4年も生き残ったのは非常に評価出来る結
果だとcocは思ってます。

後は、現ワンダースワンユーザーの為に、残され
た発売予定ソフトが無事に発売されることを祈る
ばかりです。

それでは今回はこれにて終了とさせてもらいます

次回の更新でまたお会いしましょう。

備考

関連サイト

●ワンダースワン公式サイト
http://www.swan.channel.or.jp/

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