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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.47 ゲーム業界はもっと悲惨な状況になっていく 後編

3回の分割アップのラストにあたる後編です。
完全な続きものですので、是非通して読んで頂く
ことを願います。


それでは、後編スタートです。


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これは映画に例えると判りやすいかもしれません。

ハリウッド映画が実写に匹敵するCGを使い始め
た頃の作品を見た時、それは凄い衝撃でした。
掘り下げて、どれが初めての作品かと辿っていく
のは勘弁してもらって、一般的にハリウッドCG
映画のスタートと定義しても良いと思われるのは
『ジェラシックパーク』ではないでしょうか?

スクリーンの中で動きまくるリアルな(厳密には
アンリアルなのでしょうけど)恐竜の姿に、CG
もここまできたか・・・っと溜息が漏れたもので
す。

しかし、それから約10年経ち、ハリウッド映画
にCGは付き物に成り、今では、どこまでが実写
でどれがCGなのか分からない程になりました。

それは即ち、実写で実現不可能、つまり映画では
不可能な世界の映像化が出来るようになったとい
うことで、それが当たり前になった今では、スク
リーンにどれほどアンリアルな世界が描かれてい
ようが、それが1つの仮想世界として大衆に自然
と受け入れられる時代になったことで衝撃は無く
なってるんですよ。

マトリックスリローデットなどのように『特撮』
を意識したCG多用映画はまだ見てる時に『CG
』という存在を意識させてくれますが『ロードオ
ブザリング』や、少し前の作品でいうと『ザ・コ
ア』や『タイムマシン』のような作品だと、そこ
で描かれてる世界はCGを用いらなければ映像と
して製作できない世界なのに、物語に没頭してる
と、ついそれがCGで描かれた世界だってことを
忘れてしまって、スクリーンの中の『当たり前』
として何の驚きもなく受け入れてる自分にフト気
が付く時があります。

つまり、CGで仮想世界を見せられるということ
が、当たり前になった今では、そこに驚きは無く
、単に『鑑賞』の1つとして消化されてしまうん
です。

それと同じ様にゲームでも、美麗な映像で作られ
ていても、それが当たり前になった今では、もう
視覚のSurprise Feelingを感じることは無いので
す。

例え、それがどこまでもリアルなCGに成ってい
ったところで同じです。単に綺麗なCGというだ
けで、一度CGの驚きを通り超えた現状からは、
二度とCGからの視覚の驚きは得られないでしょ
う。

これは、同時にcocの持論のビデオゲームの歴史
とは『Surprise Feeling』の歴史という部分での
視覚分野が飽和してしまったということになるの
です。

感覚に訴えてこないゲームってのは、正直先行き
は暗いと思います。

で、任天堂の岩井社長さんの発言に戻りますが、
『ユーザーは『もっと激しい刺激を』『もっとリ
アルなものを』と新しい刺激を要求してくるので
、それにメーカーが応えるのが黄金パターンだっ
た。しかし20年前、シューティングゲームが王道
であった時代、ファンの『もっと凝ったシステム
を』という要望に応えていった結果、シューティ
ングというジャンルは複雑になりすぎてマニアッ
クなものとなってしまい、市場は縮小してしまっ
た。対戦格闘も同様に縮小してしまっている。』

という部分、それを業界全体の状況に当てはめて
考えてるところは、coc的に共感するのですが、
岩田さんはその流れを『ミステイク』な流れだっ
たとい解釈してるんです。

でもcocは違います。
その一連の流れは、ビデオゲームがビデオゲーム
で有る以上背負っていくべき性質で、逆にその流
れがビデオゲームの発展の根本だと思っています


ですから、ゲームがこれから模索しなければなら
ないことは、どの感覚に訴えるか?って所に、重
要な鍵があるとcocは考えてます。

聴覚?嗅覚?味覚?触覚?
現実性の有るのが聴覚ですが、そういった常識の
定義を捨てて、もし嗅覚に訴えてくるゲームが出
たとしたら、どう思います?
確実に言えることは、そこにSurprise Feelingが
有る事です。

何も匂いを感知するゲームを作れと言ってるわけ
ではありません。

ただ、視覚が行き着いてしまった以上、別の感覚
に訴えなければ、これからもゲームは、一年前も
昨日も明日も変わり映えしないソフトが店頭に並
んでいくだけです。

個人的に、現状で現実味の有るものして提案出来
るのは『空間』ですね。

味覚、嗅覚っては飛びすぎてますけど、空間を感
知出来る遊びってのがゲームで実現すれば、すご
く新鮮だと思います。
つまり触覚へのSurprise Feelingですね。

3D『映像』でなく、3D『空間』にプレイヤー
を入り込ませて遊ばせるゲーム。
そして、日常では絶対に感知出来ない空間の中で
遊べるとしたら、それは確実に驚きになるでしょ
う。

例えば、重力が弱い世界とか、生身で空を飛ぶと
か、つまり仮想世界シミュレーターですね。

ま、そこらへんの話しの追求はまたの機会にして
、そういった新しいSurprise Feelingにチャレン
ジしてる作品が少ないから、どのソフトを買って
も、皆同じようなものに思えて売れないってのが
、cocが思う現状市場の縮小理由の一端だと思っ
てるわけです。

そんな状況で、コンシューマーにオンラインゲー
ムが落ちてきて、次のSurprise Feelingに行き詰
っていた業界は、こぞってオンラインゲームが救
世主かのように扱って、現状のスタンドアローン
の飽和を尻目に、見て見ないふりを決め込んでる
かのうような立ち振る舞いで、オンラインゲーム
ビジネスってのを餅上げてるけど、結局、ライト
ユーザーと称させる、業界顧客の流動層にはとっ
て、それは求めていた変化の形ではないってのが
現状じゃないでしょうか?

業界がどういう目測で動いてるのか定かでは無い
ですが、オンラインゲームと大衆性って、この国
では当分相容れぬ存在だと思います。

とにかくネットゲームは時間がかかる。
ハマれば、出口の無い迷路に入ったものと同じ。
数ヶ月~数年同じタイトルで遊び続ける可能性が
高く、市場全体から見ると、回転率の悪い商品。

そういった商品がこの国でスタンドアローンのビ
ックヒットタイトルの域まで成長するとは思えな
いんです。

そして、このままネットゲーム展開というものを
強めていくなら、その強めていく度合い分、マニ
アじゃない一般プレイヤーという顧客を業界はど
んどん失っていく気がします。


ネットゲームなんて遊ぶ時間もないし、そもそも
付いて行けない。だからってスタンドアローンの
タイトルも代わり映えしないし・・・っていう状
況が続いた後、気が付けばごっそりと一般プレイ
ヤーが業界から消え、結局、マニア相手の確実な
数字が見込める、決め打ちタイトルしかリリース
されなくなってっといった悲惨な状況も充分有り
得ると思うのです。


正直言って、今の状況を任天堂の岩井社長さんは
『飽和』と表現しましたが、cocは『末期』だと
思ってます。

今の流れで進んで、そうですね…例えばPS3やGC2
、Xbox2と位置付けされるハードが投入されたと
して、そこに期待感ってありますか?

PS2がPS3に成って、ゲームは何が変わるんですか


そういった点にcocは凄く危機感を感じてるのです。

今後の業界に不安を感じつつ、予想だにしない大
きな変化が起こる事を切に願っているcocです。


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さて、かなり衝動的に書いた物ですので粗が目立
ちますが、そちらは御勘弁を。

結局のところ、現状のゲームというものはユーザ
ーに飽きられてるんですよね。

ハードのスペックが上がっても新しい遊び、楽し
さが生まれて来ない現状を論理的に意識してる人
も多いですし。非論理的な人でも感覚で感じ取っ
て離れていっちゃうんですよね・・・。

ほんと、最近のゲームは『凄い』ゲームは有るけ
ど、それと同時に『退屈』なゲームも多いのが現
実。

クソゲーというものが絶滅したと言える現状で、
一番怖いのは、ゲームとして成立はしてるけど、
刺激が無い退屈なゲームです。

新しい刺激を作り出せないからといって、既存の
スタンドアローン作品を基礎としたオンライン化
に逃げるんじゃない!っと業界批判をして、ネッ
トゲーム好きだからこその警鐘コラムを終えると
します。

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