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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.55 来るべき近い将来に望む未来 #1

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・はじめに

昨日のテキストで予告したとおり、今回の【乙女から見る21世紀
のコンシュマー産業の行方Vol.55】は全4回に渡って掲載す
ることになります。

尚、この最新のDiaryページは最新の投稿が一番先頭に来る形にし
てるため、続き物を読む時は少々スクロールの手間がかかるのです
が、>>次月を選んでクリックしてもらうか、2005年過去ログのフ
ォームリストから7月を直接選んで頂ければ掲載順は1日からの古い
順となりますので、そちらで読み進めてもらうと比較的読み易くな
ります。

それでは、第1回目を始めます。

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私は、常日頃からゲームに必要なのは”サプライズだ”と唱えてま
すが、唱えれば唱えるほどに現実の市場は無個性、没新鮮味といっ
た流れで進み、先頃E3で発表されたPS3、Xbox360という次世代機も
、目を覆いたくなるほどの平凡且つ、全く驚きの無い、いや驚きを
作り上げることが到底出来なさそうなハードでした。

基本性能の向上を否定しているのではありません。
しかし、現時点で基本性能が足りないでしょうか?
基本性能が足枷になって実現出来ないコンテンツがあるでしょうか

いや、そんなコンテンツのアイデアすら存在するのかも疑わしいの
がcocが感じる現状というものです。

ファミコンから爆発的に始まった家庭用ゲームのムーブメントは、
技術の進歩と共に、様々なコンシューマハードを世に送り出してき
ました。

通説の域を超えて、確固たる現実となってきてる【殆どのゲーム的
アイデアはファミコンで出尽くした】という説が存在し、その説に
対して100%無条件で賛成という立ち位置ではないのですが、大きな
意味では賛成する派です。

しかしながら、ファミコン時代を経て、PCエンジンの送り出した世
界初のCD-ROMゲーム機。ここで技術の進歩が新しい遊びの誕生を促
しました。CD音源を使えるという利点と当時のカートリッジソフト
とは比較にならない程の大容量な記録領域。

ゲームが喋る、ゲームが美麗にアニメーションする。パソコンソフ
ト並のデータ量でプログラムが組める。

それは凄い驚きでした。

当時をリアルタイムで経験された方なら、その驚きがどれほど衝撃
だったか覚えてらっしゃると思います。

【天外魔境】で当時のRPGの概念すら揺さぶられた衝撃。
【イースI&II】で家庭用ゲームはここまで来たのかという感慨。

CD-ROMの出現で【デジタルコミック】というジャンルまで新しく生
まれました。

しかし、その影響がその後の日本のゲーム市場において、RPGから
想像する楽しみを消し去り、和製RPG、つまり偽RPGを主流に押し上
げていく発端になったことは皮肉なものですが…

そして、時代はプレイステーション、セガサターンというゲーム機
第一世代といわれる16bitハードで培ってきた技術の基本性能を大
幅に向上させ、ゲーム機第二世代へと突入しました。

この時の両ハードは、それこそ従来機の基本性能をグレードアップ
させただけの機体だったのですが、80年代末期から90年代初期にか
けての技術の進歩は凄まじい速度で進んでおり、パソコンの世界で
も後に天下を取る事になるwindowsの足がかりがチラっと顔を出し
た頃で、DOSV規格からパソコン通信と目まぐるしく技術の花が咲き
乱れていた頃です。

そんな急激な技術の進歩によって生まれた、テクノロジーの落とし
物的な技術を寄せ集め、対コストとの戦いを制して生まれてきたの
がプレイステーションとセガサターン。

この両機の従来機を遥かに凌ぐ基本性能というものは、両機に先ん
じてNECHEが搭載に踏み切ったCD-ROMを本当の意味で使いこなせる
という結果を運んできました。

これにより、いくらCD-ROMの大容量を有していても、そこに納めら
れてるデータを取り出し、計算し処理するのに限界があったPCエン
ジンCD-ROMでは実現出来なかった【3Dゲーム】という物がその世界
を市場で開花することになりました。

バイオハザードなどに代表される【3Dアクションアドベンチャー】
という新しいジャンルを生み出したのも、この時の飛躍的な基本性
能向上の賜物です。

少し話を脱線させますが、この【3Dアクションアドべンチャー】と
いうジェンルネームは、このネーミングに落ち着くまで紆余曲折有
りました。3Dアクションと称したり、3Dリアルアクションだったり
、テーマがバイオハザード系のものはホラーアクションなどだった
り。

従来【アドベンチャー】というジャンルは今で言う【テキストアド
ベンチャー】のことでした。古くは【ポートピア連続殺人事件】や
最近のヒット作品で言うと【逆転裁判】などがテキストアドベンチ
ャーになります。

これは、ゲーム創世記から第一世代の頃にかけて、ゲームの表現力
は乏しく、グラフィック的な演出や効果を多く使えないことから、
シナリオ重視型のゲームを動的に表現するのではなく、静的、つま
り止め絵とテキストで作り手の表現するシナリオの世界観を作り上
げたことから【アドベンチャー】というジャンルになりました。

しかし、止め絵とテキストで構成されている物が【アドベンチャー
】とは、今にして考えるとしっくりきません。

淡々と進むテキスト、単調な止め絵の差し替え。アドベンチャーと
いう言葉から連想される壮大な世界観イメージとはギャップがあり
ます。

そしてバイオハザードの登場、これこそアドベンチャーだろう、い
や正確に言うと、従来機でバイオハザードを製作した場合、恐らく
その形態はテキストアドベンチャーとして発売されたでしょう。つ
まり、ハードの基本性能が著しく向上したことにより、従来ではテ
キストアドベンチャーでしか表現できなかったシナリオ重視型の作
品は3Dアクションアドベンチャーというジャンルに昇華し、大きく
姿を変えて多くのユーザーに送り届けられたわけです。

>>>#2へ続く。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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