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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.60 託しどころは決まった。#2

この【みんな買ってるから】という状態に出来るか出来ないかが、
ハード販売の最大のポイントであり、その【みんな】というのがゲ
ームユーザーの枠ではなく、一般層の中で作り上げることがキーポ
イントです。

そんな層にネットワーク機能を餌にしたところで釣れません。PSP
がその際たる例です。PSPは販売実績から見て、成功とは言い難く
も、失敗ではなかったと今は言える段階ですが、どうしても支持層
の範囲が狭いのが懸念要素です。過去の家庭用ハードの販売実績か
ら考えると、PSPは今後急激に衰退していくことは無いものの、こ
れ以上の普及は見込めないでしょう。

シェアバランスから言ってもPSPは携帯機のセカンドプラットの位
置に既に収まってしまっています。つまり6対4またはそれ以上の開
きが出た状態で巻き返したハードは前例がないのです。

実の所、シェアバンランスというのは、3割がボーダーラインです
。そこを超えると小規模ながらもソコソコな期間は市場を維持して
ビジネスとして成立します。

ゲーム市場というのは、月間平均して400万人クラスのアクティ
ブユーザーが市場に存在します。これはソフトを購入する層であり
、毎月ゲームを買うようなマニアには少ないように思う方も居ると
おもいますが、あくまで統計的な市場規模の平均値として400万
人という数字がでています。

その3割というと120万人。そして各ハードのスマッシュヒットとい
うのは、アクティブユーザーの2割程度が購入に走りますから、月
間で120万人規模の市場が持ててるなら、ヒットタイトルは20万本
程度は売れるという市場規模ということになりますから、ソフトハ
ウスとしても採算の取れる市場として、事業の継続はできます。で
すので、この3割というシェアを取りさえすれば、短命に終わると
いうことは防げます。

尚、この数字で勘違いする方も居られるかもしれませんので、一応
注釈しておきますが、この月間平均というのは、ゲームソフトを購
入するユーザーの数であり、その時に市場で商品を購入しようとす
るアクティブな状態のユーザー数の統計値であり、ハードの累計販
売数との直接な関係はありません。日本の総人口がこれから20年
で爆発的に伸びれば、話しはまたかわりますが…

そういったわけで、PSPはその3割を獲得していますから、今後も
事業としての継続は見込めます。しかし先ほど書いたように、セカ
ンドプラットに収まったハードが巻き返しを行った事例はないです
ので、今後はDSとの差をいかにして現状のレベルで保ち継続してい
くかが、戦略の中でとても重要になってきます。

さて、このPSPの伸び悩みはどこにあったか?ですが、新規ユーザ
ー開拓の魅力に乏しかった事業展開というのが一番の要因だとcoc
は考えます。

PSP発売前にも書いた覚えありますが、基本路線としてPS1以上PS2
以下の移植物ソフトで染められたハードをわざわざ買う理由が見当
たらないのです。しかも1万円程度の安価な価格で、追加投資も必
要としない手軽な端末であったのならまだしも、携帯機としては高
い価格設定。更に追加投資もほぼ必須な端末ですから、PS1以上PS2
の端末にわざわざそれだけの投資をしようと一般層が決断するとは
到底思えませんでした。

動画が見れる、ミュージックプレイヤーにもなる、インターネット
も出来るという付加価値があると言う人もいますが、正直それらは
付加価値ではなく、一般層には重荷に近い印象で受け止められてる
のが実情。

わざわざ何時間も掛けて、パソコンを使ってPSP用に動画をエンコ
ード処理して、小さな画面で動画見るメリット。携帯電話やiPodの
普及でフラッシュメモリやHDDタイプの大容量で小型のミュージッ
クプレイヤーが普及してる現状の中、PSPでMP3を慣らす必要性。殆
どの携帯でインターネットは可能になり、機種によってはフルブラ
ウザも搭載したものが続々登場しているものの、携帯電話ユーザー
のインターネット利用率はかなり低く、機能としてはオマケ程度に
しか見据えてられてない機能。これらがPSPにとっての付加価値と
いうならば、誰が為の付加価値なのか?っという問題があり、結局
その答えが普及台数の伸び悩みという結果で現れた言えるのではな
いでしょうか。

つまり、マニアには受ける端末であったとは言えますが、普段ゲー
ムショップを訪れない人たちを惹き付ける要素は持ち併せてなかっ
たのがPSPです。

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それでは#3に続きます。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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