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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.61 ゲームがゲームで有る為に


さて、注目の【E3 2006】が始まり、話題の焦点でもあるWiiとPS3
について今回は書き進めていくのですが、正直言って書く気も失せ
る状態です。

その原因はPS3の価格の件です。もう高い安いとかの次元ではあり
ません。遭えて断言します。バカげてると!

たかだがゲーム機に6万円超って、正気の沙汰ではありません。

いいですか?6万円ですよ?ゲーム機に。
スペックから考えて、この価格設定は・・・などと論じる以前の問
題として、これはゲーム機なんです。

何を勘違いしてるのか、ゲームしか視野に入らないような一部の盲
目的ユーザーが声高に「十分安い」といった風な事について講釈を
吐いてるのを見かけますが、論点がズレ過ぎてます。

つまりはです。6万円のゲーム機がシャカスカ売れるような社会で
あって良いと思いますか?

一部の盲信的なゲームユーザーや、狂気じみてるほど勘違いが激し
い開発側の人間などが、ゲーム、ゲームと強く主張し、これからの
ゲームは!?っという答えにホームエレクトロニクの中心に据えて
いくべきであるような事を言ってたりしますが、冗談は勘弁してほ
しいです。

ゲームは所詮ゲーム。"たかだか"ゲーム。余暇にセレクトするコン
テンツの1つでしかなく、数多い娯楽の中の一つであり、そんなも
のなくても生活してくには困らない。

そうです。繰り返しになりますが"たかだか"ゲームであり、ゲーム
は常に"たかだが"程度の位置に有るのが望ましく、それが至って正
常な有り様なはずです。

そんな物に6万円ですよ?一般ユーザーがそれで食い付きますか?

SCEの久夛良木氏は、この価格について、以下の様にインタビュー
に答えてます。

(ITmediaより転記)
「安すぎたかも」とそれぞれ内包する技術や原価を考慮した発言を
する。久夛良木氏はプレイステーション 2(PS2)の発売時を振り
返り、「これはPS3の価格です。高いとか安いとか、“ゲーム機と
して”というくくりでは考えてほしくないんです。PS3というもの
は他にはないわけですから。例えば、高級なレストランで食事をし
た時の代金と、社員食堂での食事の代金を比べるのはナンセンスで
すよね? これは極端な例ですが、まさにそういうことなのです。
そのゲーム機で何ができるか、というのが問題なのです。すばらし
い体験ができるのなら、価格は問題じゃないと考えています。プレ
イステーション(PS)の価格を発表した時も高いと言われました。
プレイステーション 2(PS2)のときもそう。しかし、いざ発売さ
れると、どちらもそれまでのゲーム機では考えられないような売れ
行きを示しました。それは、どちらもそれ以前のゲーム機では味わ
えない体験ができたからです。PS3でも、次世代のグラフィックや
、ネットワークを介したさまざまなサービスなど、これまでには体
験できなかった次世代のゲーム体験ができるようになっています。
そして、PSやPS2のように、ゲームの好きの人なら間違いなく買っ
てくれると思っています」と

言ってることがメチャクチャ過ぎて呆れるどころか、途方に暮れそ
うになります。

それぞれ内包する技術や原価を考慮
内包する必要が本当に有ったのか?っという疑問が多々生じるほど
、スペックと拡張性に関して、アンユーザーライクなのですが、こ
れだけ価格を高騰させなければ、ゲームは次の世代に行けないので
しょうか?いや違います、これは結局PS3とは何か?何を目指すの
か?何を提供し、どういった成長を促し発展させていくのか?っと
いうゲーム機としてのコンセプトが定まってないのです。だから、
ゲームコンテンツを動かす上で有って損はない機能を片っ端から導
入し、それらの機能から透かし彫りのように、このような事も、あ
のような事もできると後付けしてるだけにしか過ぎません。

“ゲーム機として”というくくりでは考えてほしくないんです
これに関しても論外。PSが家電になることをユーザーが求めたので
しょうか?PSがホームネットワークのセンターセルになることをど
れだけの人が求めたのでしょう?
PS2の初動こそDVDも見れるゲーム機という、若干家電趣向の要素が
絡んで売れはしましたが、当時の背景として、一般ユーザーレベル
でDVDがあまり普及しておらず、更に磁気テープメディアという物
が、MD普及後に一般レベルで限界を感じさせていたいう時代背景が
手伝って生まれた賜物で、何もゲーム機にオーディオ家電の役目を
皆が求めていたわけではありません。

そのゲーム機で何ができるか、というのが問題なのです。
ゲーム機という括りで考えて欲しくないと言いつつ、ゲーム機を母
体とした上での付加価値に商品価値を付けようとしてるのですから
、支離滅裂。更に言うなら"何ができるか"という切り口そのものが
、商品のコンセプトが定まっていない何よりもの証。消費者にPS3
は○○が出来ます。だからPS3はこれからこう変化し、こういった
新しい遊びを提供していきますという端的なキャッチが出来ないこ
とのほうが問題。


結局、一般ユーザーからしてみれば、PS3という端末は得体の知れ
ない物体で、何が出来る?何が違う?と少し踏み込んで触れようと
すれば、一部のマニアにしか理解出来ないような専門用語と小難し
い技術云々ばかりが出てきて、結局何がどうなるのか理解出来ない
。にも関わらず6万円で買ってくれという。たかだがゲーム機に6
万。しかもゲーム機で括るなと言う。じゃ、6万円も出して一体何
を買わせようと言うのだ?難しいこと並べられてもわからないけど
、発売されるソフトはリッジレーサーとかグランツーリスモとかで
、結局何が違うの?

っといった印象を受けるのが正常な反応だと思います。

そして、本当にPS3ってなんなんですか?
cocはゲーマーとしても濃いほうですが、PS3という端末が示す【新
しさ】というものが一体何なのか、全く感じ取れません。

何がどう変わるのです?
ネットワーク機能の充実という点に関しても、それはゲームが変わ
るのでなく、ゲームというコンテンツを取り巻く外環境が変わるだ
けであって、ゲームそのものが変わるわけではありません。

以前にも書いたのですが、オンラインゲームというのは、確かに面
白い。しかし、この【オンライン】という機能から生まれた新しい
遊びというものは非常に少ない。

なぜなら、オンラインゲームというのは、極端に言えば、友人を家
に招いて1つの端末でマルチプレイで遊んでる状態と大差ないから
です。

勿論、オンラインという環境の中で開花したアイデアを上手く昇華
させ、コンテンツとして完成させてる例もありますが、それは極め
て稀。

以前に2Dから3Dへとゲームが進化した後、ゲームはここ10年大き
な進化をして無いと書き、その中で、新しい物を生み出さなければ
マズイ状況なのに、業界は3Dの次ぎにオンラインを次のフィールド
に選んだとも書きました。そのテキストの中で"それじゃ既存のゲ
ームを全てオンライン化した後は何が待ってるんですか?何もない
んですよ"っといった事も書きました。

つまり、オンラインというものは、確かに機能の一つとして有益な
物ですが、ゲームの遊びそのものの根底の尺度を広げるものではな
く、既存の物を使い回して手っ取り早く利益に繋げることの出来る
、いわばリサイクルジャンルという側面があるわけです。

ですから、それを中心に持ってこられても、ゲームは進化しない。
未来には向かわない。10年前のコンテンツとの関わり合い方を変
更して接してるにしか過ぎないとも言えるのです。

今、この業界に最も必要なものは、既存のゲーム、つまり遊びです
が、その遊びそのものを拡張し、既存のゲームには無い遊びを開発
、提供することが重要な時期なのです。

この20年の間、ゲームというものは、既存のアイデアを切り貼り
し、混ぜ回せ、スペック向上の恩恵で見た目を着飾り目新しくみせ
つつ、誤魔化してきた20年です。

その誤魔化しが効かなくなった時代が今であり、それはPS2市場の
完全なる飽和状態が物語っている事実です。

色々な物を混ぜ合わせすぎて、各タイトルはどんどん複雑化してい
き、ユーザーは市場から離れて行った。ではシンプルなもので良い
のかとっという安易な発想から、未完成レベルの粗悪タイトルが更
に市場を濁らせ、ソフト市場は加速度的に衰退していきました。

にも関わらず、PSは3に至っても現状を把握してない有様。新しい
ゲーム、次世代のゲームとは何か?まずはその答えを出し、ユーザ
ーに明確に提示する。それからハードです。ハード有り気で、これ
だけのスペックとこれだけの機能を詰め込みましたから、色んな事
できますよっていうのは余りにも無責任過ぎるし、そんな発想は素
人でも容易に考え付くことです。

例えるなら、最高の料理を作る為に、高額な食材ばかりを用意し、
それらで調理すれば、さぞかし美味しいものができるだろうという
バカ発想です。

本当に美味しい物を作るには、まずどの食材がメインなのか。そし
てそのメインの食材からどういった味を引き出すのかを決め、その
味をもっとも際立たせるのに必要な食材は何かを考慮し、ベストマ
ッチングを模索し調理するのが美味しい一品を作る上で最も重要な
のです。

仮にもこの10年の間、業界のイニシアティブを取ってきたPSが、
3に至ってこのような無様でバカげた結論を出すとは・・・。呆れ
るのを飛び越えて怒りすら感じます。


そして、このPS3の対極にあるのが任天堂の【wii】
こちらは、既存のデバイスからの脱却に加え、その新しいリモコン
型のデバイスとコンテンツの連動を前面に押し出し、プレイヤーと
ゲームの距離感やプレイスタイルそのものに新しい要素を提示する
ことで、端末のコンセプトを端的に表現し【wii】で何が変わるか
、何を提供していくかが明確にされています。

更に今回、兼ねてより噂になっていた【The Legend of
ZELDA:Twilight Princess(英題)】通称、GCリアルゼルダの【
wii】版開発の発表と合わせ、発売も本体と同時発売すると発表。

そして、ドラクエブランドの新作【DRAGON QUEST SWORDS】も本体
と同時発売すると発表したものですから、正直かなり驚きました。

ロンチタイトルにゼルダとドラクエですか・・・。しかも端末コン
セプトが一般ユーザーにも理解しやすいレベルでアピールしてくわ
けですから、正直言って任天堂はかつて無いほど"本気"ですね。

確かにリモコン型のデバイスを基準にしたゲームコンテンツという
のは、DSがタッチペンを基準として展開と同様の効果も期待出来ま
すし、遊びそのものの幅を広げることにも繋がるとでしょう。

このリモコン型のデバイスを用いてどのようなコンテンツが登場す
るかの話しの中で多く出てくる例として、振ったり、叩いたりとい
った動作から武器の動きなどに反映されるであろうというような結
論によく辿り着いていますが、可能性として考える場合、既存の代
替え行動としてデバイスを直接動的に操作させることよりも、より
立体的にゲームを構築出来るという観点から想像することで、大き
な可能性を感じる事ができるかもしれません。

つまり、モニターとリモコン型のデバイスはセンサーで動きを連動
させることが出来るという環境は、モニターとプレイヤーの間にあ
る物理的空間を利用したコンテンツを作る事が可能になるというこ
とです。

それは、たた単純にワイヤレスのポインターデバイスとしてでなく
、つまり、Y軸Z軸をワイヤレスで感知するだけでなく、その距離
感もゲームの中に組みこむことができれば、モニターの中で完結し
ていたゲームの可能性が大きく変化することになるかもしれないの
です。

そして、それらの可能性を想像することが出来るということが、次
世代の新しい遊びがそこから生まれるかもしれないという期待感に
繋がり、市場に新しい風を通すことになるのではないかと考えてま
す。


ゲーム産業の歴史を振り返れば、やはりハードメーカーのシェア争
いというものが、市場に大きな影響を与えていくのは明白で、それ
らを俗っぽく表現すれば、PS3が勝つか、Wiiが勝つかと言う、あま
り気乗りのしない短絡的な表現に結論付けられるわけですが、その
表現の中で個人的な見解を延べるとすると、多くのユーザーにWii
が受け入れられ、Wiiが今後の市場のイニシアティブを取っていく
ことをcocは望んでいます。

正直言いまして、PS3がリーダーシップを取るような状況になって
しまうと、大袈裟ではなく実感として、ゲーム産業は容易に立ち上
がれない程酷い被害を受け、悲惨な結果を招くと危惧しています。

現状の飽和しきってる市場に、またもや変化の無い水が流れ込んで
しまえば、濁るどころか、もうそれは腐敗していくだけのような気
がしてならないのです。

ゲームは玩具で有り続けるべきだし、間違ってもホームエンターテ
ィメントなんて物に組み込まれ、ただ消費されていくだけの存在に
なって欲しくないのです。

もっとハッキリ言うなら、PC事業で失敗し、家電市場で大不振だか
らといって、新規格メディアを搭載させた端末にPC的な側面を持た
せて、ゲーム市場で損失を補填しようという腹づもりの外敵にこれ
以上ゲーム業界を食い物にされてたまるかっというのが本音なとこ
ろです。

そういったわけで、今年の年末は今後5年先の業界行く末が決まる
という大きな意味をもった年末になることでしょう。

大衆がどう動くかは判りませんが、ゲームがゲームで有り続け、ゲ
ームとして進化していくことを望むcocとしては、6万円もする端
末がジャカスカ売れるような年末にだけはなってほしくないなっと
いう明確な嫌悪感を最後に示し、今回のテキストを閉じるとします




*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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