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乙女のらぶらぶサッカー Vol.88 降ろされた幕

やはり、今日の話題といえば【中田英寿 現役引退】にせざる終え
ません。

この件については、色々な角度からの印象、意見があると思います
。cocさんとしては反対でも賛成でもなく、残念でもなければ納得
でもなく、上手く表現できないけど淡々と一つの事実として受け止
めてるといった感じです。

29歳ならまだ出来る。
代表を引退するならまだしも現役まで退くことはない。といった失
望感も有るにはあるのですが、なんとも彼らしい決断だなぁっとね
…。

ただ、日本のサッカーの関心を世界に向けさせ、世界標準のサッカ
ーというものがどういったものなのかっということを伝えてくれた
彼の功績は本当に偉大だったと思います。

彼の強い信念は時として国内の選手、またはサポーターに快く受け
取られず、そのストイックすぎる立ち振る舞いから生じる厳しさが
人を遠ざけることもありましたが、忘れてはならないのが、彼は7
年もの間、イタリア、イングランドのトップチームに在籍し、プレ
イをしてきた。

その彼が、そこで感じ得た物は、日本のJリーガーの誰よりも、そ
して同じく海外移籍してる選手の面々と比べても、世界標準に一番
近い場所からの声であったという事。

何故、彼の放つ言葉を真摯に受け止めないのか。彼が見てる風景、
通ってきた道は自分たちとは遥かにレベルの違う世界だったという
ことを率直に認め、彼が示す道を信じてほしかったっと、現日本代
表メンバーの面々には強く感じます。

"プロ"サッカー選手とはなんなのか?奇麗事だけでなく、汚い部分
も含めて、プロという立場で持たなければいけない自覚と責任。そ
ういったものをキチンと意識し体現していたのは代表の中では彼だ
けかもしれません。

彼の引退は正直言って今後の日本サッカーにおいて大きな痛手とな
るでしょう。

功績が大きい分、マイナスに働く影響力も大きいですしね。

しかし、彼のお陰で、欧州への日本人選手移籍も活発になり、それ
は今後においても続いていくでしょう。

以前にも書きましたが今後の日本代表に必要ななのは後の代表候補
となる人材を一日でも早く海外移籍させ、生温いJリーグではなく
、敵チームどころか味方チームの選手からも血走った目で追われつ
つ競争し、自分のポジションを奪い、それを堅持する中で学ぶこと
の出来る【プロ意識】を身に付けることだと思います。

ヒデが示した道、導きたかった方向に対し、心底リアリティを持っ
て取り組める選手ばかりに日本代表が染められる事を彼の引退とい
う出来事で更に強く願うようになりました。

地球は丸い。そういったら誰も信じてくれなかった。正に現状のヒ
デはそういった立場だったのではなかったでしょうか。

早く気付いてほしい。そしてヒデ引退後も彼を追いかけて欲しいと
思います。

29歳での引退というのは確かに早い。しかしサッカープレイヤーの
選手寿命は短い。30歳を越えれば確実に運動量とプレイの精度は落
ちていく。35歳ともなれば衰えは確実。

しかし、35歳を過ぎても現役にこだわってプレイし続けてる選手は
世界に多く居る。だからといってヒデの引退が時期尚早であるかど
うかはわからない。

衰えの入り口に差し掛かった所で引退するのが良いのか。
体が動く限り現役にこだわるのが良いのか。

正解はないと思います。そしてヒデにとって正解はこの時期で引退
するということだった。彼は恐らく冷静に自分を分析して、今回の
結論に至った。そう、ただそれだけのこと。

日本人サッカー選手で、現状の世界レベルをもっとも良く知る者が
出した結論に、彼以上の認識を持って異を放てる人なんて居ないの
ですから。

そして、自らの美学を貫き通しての引退というのは、ともすれば協
調性に欠け、身勝手だと称する人も居るが、彼は協調性というもの
をどこにも置き忘れてはいない。

ただ、そういった面を表に出す機会が少ないだけであって、何も彼
は自分が一番、誰よりも自分などといった考えをもっている人では
ない。

感謝、尊敬を忘れず、そういったものに対して最大限の努力を通し
て示してきた人です。ただ一つ彼に欠けていた物があるとするなら
、それは後輩を牽引する包容力だと感じます。

それさえ備わっていれば、もう少し違った幕引きになったことでし
ょう。

彼の先輩に当たる、ドーハ組みの面々から彼はとても可愛がられて
る。屈託なく無邪気なほどサッカーを愛し、努力を惜しまない。"
ヒデはとてもいいやつ"と口々に語られます。

しかし、後輩からは"ヒデさんは凄い人""ヒデさんは別格"といった
言葉しか出てこない。

それが彼らしいとも言えるのか、それが彼の足りなかった面だと言
えるのか、解釈はそれぞれあるでしょうが、少なくともそれが軋轢
を生み、代表で孤立していまう結果に繋がったと思います。

彼は一度、ドイツW杯を向かえる前に『俺は個人競技の方が向いて
るのかもしれない。サッカーを選んだのは間違いだったかも』と溢
しています。

ボールの扱いはあんなに起用なのに、事が後輩に及ぶと何故にここ
まで不器用なんだっと、その談話を始めて知ったときは呆れました

そして、彼がそんな弱音を溢していた時点で、現代表は相当マズイ
状態なんだろうなっと悟りました。

このままじゃお前達勝てないぞっと、明確に見えてるのに、それが
伝えきれないもどかしさ。そしてようやく選んだ言葉で伝えようと
しても響かないもどかしさに加え、生まれていく溝の焦り。

7年の海外で得た経験が今度は逆に溝となって彼と代表を遠ざけて
しまう。

どうしてわかってくれないんだ!

W杯開幕前から開幕後、試合中の彼、試合終了後の彼のインタビュ
ーから、そういった叫びがcocには聞こえてきました。

W杯一次リーグ敗退というのが引退の決断理由の全てではないと、
自身のサイトで彼は書いているけど、やはり大きな割合は占めてる
と思います。

先が悪い意味において見えてしまい、良い意味においては見えなく
なった。

例え、このまま現役を続けて代表に残ったとしても、この溝が埋ま
ることはないだろうという思いが、敗退と同時に確信になったのじ
ゃないかなっと…。

ならば、後は信念を貫き、自分らしく幕を引こうと…。

勿論、推測ですし。そうであったと言い切れません。

ただ、最後まで美学を貫き続け、プロとしての誇り、代表としての
誇りと真正面から向き合ってきた彼こそ、日本人の姿そのもののよ
うな気がします。

自分自身、そして自分の成し得た事、背負ってるもの、目の前のも
の、そういったものに誇りをもって生きてますか?

そもそも、誇りはありますか?

彼の引退を通して、誇りとはなんだろう?
そんな疑問が日本人の心の中で芽生えることになれば良い。そんな
風に彼の決断から生じる余波を眺めてるcocさんです。

なんにせよ、日本は偉大なプレイヤーを失った。彼が残してくれた
もの、見せてくれたものが次代のプレイヤーに引き継がれていくこ
とを1人のサッカーファンとして切に願うと同時に、もう一度、平
塚時代に見せてくれてた無邪気な笑顔をピッチで見たかったなっと
惜しむ7月の夜でした。

それでは今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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