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乙女のらぶらぶサッカー Vol.92 得たものを糧にして

はじめに。今回はサッカーを余り知らない人にこそ読んで欲しい。
そういった思いを込めて書いています。

新生日本代表となるオシムジャパンの初戦、対トリニダード・ドバ
コ戦が行われたました。

周知のとおり、この試合は勝敗云々、得点差云々などはまったくど
うでもいいわけで、オシムが目指す日本代表の青写真を観衆と共に
体感し確認する事と、今後の方針、課題を明確にする為の試合だっ
たわけですが、観戦した感想と言いますと、初戦にして早計は承知
の上ですが、非常に良かったと思います。

もっと正確にいうなら、cocの好むスタイル、そしてcocが日本代表
の有るべき姿という部分で非常に共感出来る試合内容でした。

兼ねてより、ジーコのやり方について、間違ってはいない、しかし
結果を求める上では厳しいといった感じのことを書いてきました。

南米特有のフリーアクティブなサッカーというのは、確かに個人の
技術を向上させるには適しているし、その向上した技術を発揮する
手段としても効果的な考え方ではあります。

ただし、それは、一人一人のレベルが高い領域にあり、更に戦術云
々な決め事を持たずとも、局面毎に選手立ち自らの判断における連
携で状況を打破する力が発揮できるという力量の裏付けがあってこ
そ、フリーアクティブというスタイルは効果を発揮します。

まだ記憶に新しいドイツW杯の決勝リーグ。そのどの試合でも構い
ませんが、観戦した方なら感じたはずです。サッカーに関して豊富
な知識が有る、無しに関わらず、日本代表が行っていた試合と比べ
て全くもって次元の違う戦いであったという現実。

まず何が決定的に違ったか?
それは、サッカーへの理解力でしょう。

ボールを持った選手、その周りでスペースを確保する選手。それら
の動きの質が非常に高い。

もう少し具体的に書くと、選択肢の作成とその感知能力の高さとい
った感じです。(有る意味、TVゲームの戦略ゲームをプレイするの
に非常に似ている)

味方の選手がボールを持った、ドリブルした、中央に、サイドにと
、その時々の局面でボールを持ってる選手の頭の中にある選択肢を
周りの選手達が読み取る力、そして新たな選択肢の作成。それは自
らフリーで動けるスペースに走りこむ。安全なパスコースとなる場
所に入ってボールを受ける。これがサッカーにおける【集中力】と
いうものです。

局面毎の勝敗はその一瞬の場面にどれだけ多くの選択肢を作れるか
、そしてその選択肢でどれが一番セーフティなのか感知する力に長
けてる側が勝つ。それが現代サッカーというものです。

ジーコを監督に招聘し、多くのプレイヤーを海外移籍させたことで
、選手個人のスキルは格段に上がっていた日本ですが、常々言われ
ていた国内組みと海外組みの不協和音。それを中田英寿は『技術は
あるが、その技術を100%出せていない』と表現していました。

つまり、選択肢の作成と、その感知能力に国内組みと海外組みには
大きな差があった。普段試合をしてるリーグのレベルの違いからく
る温度差ともいえるでしょう。

国内組みは初戦Jリーグが主体。近年Jリーグのレベルは飛躍的に
向上してるとは言いますが、アジアのクラブリーグ戦などに出場し
ても勝ちあがれないのが現状。

つまりJリーグのレベルはまだまだアジアレベルの範疇の中という
わけです。

ですから、あくまで例えですが、国内組みはアジアレベルのJリー
グベースの選択肢と感知能力しか有してなく、中田英や中村俊輔等
と比べて、局面で作成する選択肢の数、そして感知する想像力は半
分以下だったのかもしれません。

ジーコ監督の4年間を総括し、失敗を示すとするなら、そのアンバ
ランスなゲームインテリジェンスの統合を図ることが出来なかった
という点になるのでは感じます。

しかしながら、個人の技術の向上は非常に重要な要素ですし、ジー
コの自由なサッカーは選手達に"想像"する力を付けさせたことは改
めて言う必要がないほど明確な事実です。

ですが、それらの結果を解りやすく表現すると"日本代表にはまだ
早かった"といった感じですかね。

生まれて、立ち上がり走れるようになった頃からボロボロのサッカ
ーボールを蹴って遊び始めたり、ボール自体が布切れを丸めただけ
のものだったりすることも珍しくなく、トリッキーな動きをしまく
るボールもどきを相手に裸足でサッカーをし、サッカーが上手くな
い奴は、それだけで屈辱的な言葉や態度を向けらるような環境で育
った選手ばかりの南米勢ならば、代表に選出された時点で既にサッ
カーという競技への理解度は非常に高く、戦術などなくてもプレイ
中に意思の疎通を明確に交わすこともできるでしょう。

しかし、日本の選手はそうではない。まだまだ幼い。
だから、技術も必要だし、戦術も必要。

だけど、ジーコジャパンには、明確な戦術は存在しなかった。

でも、W杯への出場という難関を突破してみせ、大会ではブラジル
から点をもぎ取った。正直、想定以上の成果であったと思います。

勿論"たら・れば"を言い出せば、明確な戦術が組まれ、海外組みと
国内組みの統合に多くの時間を割き、チームとしてのコンセプト、
キープレイヤー、トリガープレイヤーといった決め事などを詰めて
行けてれば、もっと素晴らしい結果が生み出せたのではないかっと
思ったりもしますが、過ぎた事に激しく言及しても仕方ありません
し、失った物よりも、確かに得た物があったわけで、その得た物を
今後にどう活かすかというのを考える方が建設的だと思います。

さて、ここで以前書いたことへと繋がります。

ジーコ監督の元で得られた、想像性に富み、個人の技術による局面
展開といった南米スタイルのフリーアクティブサッカーは確かにア
ジアで突出するだけのレベルにまで持っていけた。しかし世界には
通用しなかった。

よって、次の代表監督には、トータルバランスを重視した戦術を重
視するヨーロッパスタイルを得意とする監督によって、技術はある
が、それを活かす方法を掴めてない多くの選手に、その技術を活か
す場を与えて、確かな技術に裏付けされたタクティカルアタックベ
ースサッカーへの転進によって、ジーコから教えられた個人技ベー
スのサッカーが本当の意味で開花するのではないかと思うとcocは
以前から書いてきました。(中田英が望んでいた姿でもある)

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今回は新生日本代表の船出にも辺り、少しばかり長文化してしまい
ましたので、二回に分けて掲載することにします。この続きは明日
掲載致します。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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