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乙女日記 Vol.1257 緊急出張ラプソディー 第3話

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==前回までのあらすじ==

cocが無計画で引き受けた緊急出張の道先案内人に指名された【引
率君】彼の献身的な行動、そしてどこか反抗的な態度に、悪魔の異
名を拝命したcocさんが繰り出す無責任パワーとが織り成す、緊急
出張ラプソディー。引率君にとって悲惨な9時間以上のドライブ、
cocにとっては退屈なドライブを経て、二人は東京の依頼先事務所
に到着。

道中、cocの悪魔的行動に疲弊しきった引率君は、宿泊予定のホテ
ルに先にチェックインして休むつもりだったが、仕事のアシスタン
トも兼ねてると聞かされ、回路崩壊。

そんな彼は瞬く間に下僕から奴隷、そしてポチへと扱いが代わって
いき、自尊心との葛藤に【諦め】という大人ならではのアビリティ
をもってして全てを受け入れていくことになる。

過酷な初日の仕事が終わり、いよいよ始まった二日目。妙にやる気
に満ちた彼に忍び寄る人影。そして予期せぬ事態へと飲み込まれて
いく彼に微笑む神は現れるのか。

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通りががったオジサマと何やら小声で話しをしてるcocを黙って待
つ忠犬ポチは、今まさに自分に降り掛かる不幸は知るよしもありま
せんでした。

そのオジサマと話し終えたcocがポチの元へと歩み帰ったと同時に
「どうしました?」っと尻尾を振りながら聞いてくる彼。

どう言えば良いのか迷ったcocですが、下手に誤訳して伝えて、後
々文句言われても困るので、ありのまま伝える、いや指令を下すこ
とにしました。

『搬入が予定されてる機材が連絡のミスで、こちらに届いてなくて
、今ちょうどそれを取りにいける人を探していたそうなんだよね。
で、その機材なんだけど、横浜の…』ってとこまで言ったところで
、ポチが猛烈に拒絶。

「やだ!ぜってぇーやだ!あれでしょ。僕に取りに行けってことで
しょ!もう勘弁してくださいって。また運転!? 僕、帰りも9時間
近く運転しなきゃいけないんですよ。こっちに居る間くらい運転と
は関わり合いたくないです!!」っと最もな主張を展開するポチ。

『でもね…』
「でもねっじゃないっす!!」
『うるさい!良いから聞きなさい!』
「聞きたくないです!他にも沢山人が居るじゃないですか!」
『あの人、●●の●●さんだよ』
「え…、あの●●の?」
『そう、●●の。だから、ここで点数稼いでおけば後々さ』
「うーん、確かにそういうことなら…、でもなぁ」
『つべこべ言わない!行きなさい!』
「横浜か…、まぁそれくらいならいいか…」

この"そのくらいならいいか"が放たれたとほぼ同時に、そのオジサ
マに駆け寄り、機材運搬OKを伝えるcocさん。

再びポチに歩み寄ったcocさんは、シレっとポチに『あ、そうそう
。●●の●●さんって話し。あれアタシの勘違いだったよ。いやぁ
、似てたからさぁ。でも今よくよく顔みたら別人だったよ』と澄ま
し顔で伝えるw

「………。ありえねぇー!なんだそのハメ方!100%悪魔だ!そんで
アレだろ!もう引き受けたから断れないしってことなんだろ!」っ
と激昂する彼に『どうせ作業遅れてるんだし、ポチの手が必要にな
るほど忙しくなるのは随分先だから、それまでここでブラブラして
ると、男手ってことであれ手伝ってくれ、こっち助けてくれってコ
キ使われるのは目に見えてるんだから、それなら横浜までブラっと
車流して戻ってくるほうが楽でしょ」っと言うと、急に黙りこくり
「また騙してません?今、これって言いくるめられてるってことな
いです?」っと確認してくる引率君w

『信用ないんだねぇ』
「えぇ、信用ってことに関しては0ですから」
『そう、判った。じゃ、今回のギャラも0にしとく』
「……、それ普通なら冗談になるけど、cさんの場合…」
『うん、マヂになるね』
「わかりました。車流してきますよ」
っと、納得した(させた?w)彼。

詳細な目的地の確認をしに地図を取りに向かおうとした彼が突然振
り向き「ポチの手が必要になるほどって!誰がポチじゃ!」っと。

いや、おせぇーだろw

そして、お昼になり、13時を回り、14時を回っても彼は戻ってこな
い…。

おいおい、どっかで事故ったりしてるんじゃ…、などと考えるも、
携帯で現状を聞く暇も無いほどcocさんは作業に追われて、それど
ころじゃない…

既にポチ不在を忘れそうになりつつあった17時頃、ようやくポチが
帰還。

スタジオに入ってくるなり「c-!!」っと凄い剣幕で駆け寄って
くるポチ。

つーか、とうとう呼び捨てかよw

「あんた、また騙したな!」っと怒鳴るポチ。

"また"って、人聞きの悪い奴だw

「言われたとおり、横浜まで行ったさ!そしたら…」
『そしたら?』
「ここには無いって言われて、千葉まで取りに行くハメになった」
『千葉ー?』
「白々しい!知ってたんでしょ!」
『いや、本当にそんなの知らないよ』
「真剣に騙してはいないと?」
『そうだよ。騙すどころか、おっせぇーなって』
「おっせぇーな扱い!?」
『うん、ノロマ扱い』
「僕が必死でアチコチ動いてる最中に…?」
『あちこち?』
「言われた千葉の業者まで行ったら、横浜の別の業者にあるって」
『たらい回し?』
「えぇ、すんげぇタレ流し』
『それ、つまんない。で?結局?』
「………。あ、いや、その横浜の別の業者に有って」
『それでこんな時間になったわけね』
「えぇ…」

『ごくろうさま』」っと労い、ちょうどポチが帰ってくる少し前に
、この機材の運搬を頼み込んできたオジサマがうろついていたので
『向うの方に、朝のオジサン居たから、取り合えず帰還報告しとい
で、それに機材をどこに運び入れるかも聞かなきゃ判らないだろう
し』っと彼に言うと、深い溜息を置き土産にブラブラとスタジオの
中を彷徨いだしていったポチw

それから30分ほどしてもポチが戻ってこない。
手が足りないんだから、早くもどってきてよっと思いつつ、作業に
没頭していたcocさんが、一段落できたのが彼が消えてから約一時
間後。

あいつ!どこで寄り道してやがる!っと、ポチに携帯をかける。

『あ、ポチ!今どこよ!?』
「……………。」
『聞こえてるー?ポチ?』
「…えぇ、聞こえてますよ。生声で」
『生声?』

改めて回りを見渡すと、機材や資材が積まれた一角の薄暗い壁際に
背中を預けながら座り込んで缶コーヒーを啜ってるポチを発見!

ゴルァァーー!何サボってんだー!っと駆け寄ったcocに、何かを
悟り極めたような目で「ははは…、サボってか…、まぁ、そうです
ね…。サボってますね」っと虚ろに答える彼。

『どうしたの?』って聞くと、意味ありげな沈黙を挟んでポチはボ
ソボソと悲惨な結末を語り始めました。

「あのオッサン見つけたから、朝の機材の件ですけど、行った先に
は無くて、紹介先、その更に紹介先と方々走り回って、遅れました
がやっと持ってこれましたって言ったら、そのオッサン…、"あぁ
、あれ?遅いからさぁ、もう別ので代用してなんとかその場凌いじ
ゃったよ。あれ?あぁ、そうか忙しくて君の先生?あの小さい子供
みたいな女の子に伝えるの忘れちゃってたよ"って、ガハハ笑いと
一緒にあっけらかんと言われちゃいまして…」

悪いけど、爆笑したw
こんなに悲惨な人、見たことないですもんw

笑うcocに釣られ、頬を引きつらせながら、完全に魂が抜け出たよ
うな精気の無い表情で薄ら笑いを浮かべるポチの姿は、たぶん一生
忘れられないことでしょうw

そんな虚ろなポチの悲惨な一日を労う慈悲など見せぬ神は、ただた
だ湿気臭い空気を夜空に撒き散らし、梅雨に逆戻りしたかのような
時期外れの蒸し暑い夜を閉じていくだけだったのでした。

二日目の作業は、予定より1時間押しの24時に終了。これで久しぶ
りにベットで寝れる!という、ささやかな喜びに必要以上に喜んで
みせるポチは、どこか哀れでもありましたが、それくらいで喜んで
みせておかないと、余りにも今日一日の自分に救いが無いと察して
の自己防衛だったんでしょう。

そんなわけで、この仕事の依頼先が用意してくれたホテルに二人で
向かったわけですが、ホテルのフロントで更なる悲劇が!

【申し訳ありませんが、仰ったお名前での予約は承ってないような
のですが】

「へ?」

【あいにく、今夜空いてる部屋はこちらのダブルしか…】

「へ?」

ポチの世界に通用するオトボケ声が静かなホテルのロビーに響き、
疲れ果てた主人と飼い犬は呆然と立ち尽くすのみ。

【あの…、どうされますか?】

ホテルマンの疑問符だけが妙に白々しく聞こえ、こいつ…、もしか
して疫病神なんじゃっという視線を送るcocと、そんな視線を送ら
れるポチの夜は更けていくのでありました。

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さぁさぁ!そうです!そうです!
まだこの話しは続くのです。いい加減にしろっという苦情を恐れず
、一昔前の3流青年コミックにありがちな展開で幕を下ろした第3
話。

こんなベタな展開は現実で起き得るのか!?

そんな疑問は当の本人達が何度も反芻し、悪戯な神、そして悲惨を
呼び込むポチを呪い済みであり、どれだけベタで3流な展開だと言
われようが、これが現実に起きた出来事であり、こうもありがちな
形になるのは、ある意味ミラクル!

このミラクルは一体どうなるのか!?
そして二人はどうするのか!?

次回、いよいよ佳境に突入です!

それでは今日はこれにて。
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*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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