記事一覧

乙女日記 Vol.1281 明らかに演出の方向性が間違ってる

2話まで見た【きらわれ松子の一生】ですが、どうもこうも…。
ドラマ版の監督は映画版を見たのでしょうか?

映画版【きらわれ松子の一生】は傑作と言っても良い出来です。
原作の内容は、言い方は悪いですが在り来たりな内容で、一人の女
性の報われない転落人生を描いた物ですが、その原作を映画にする
にあたって、ミュージカル的な演出を随所に挟み込み、松子の悲惨
な人生を悲しみとして描写するのでなく、滑稽な人生として描くの
と同時に、人生の一場面を切り取って繋ぎ合わせるかのようなハイ
テンポな展開、そして中谷美紀という女優のポテンシャルを出しき
らせた監督の演技指導も手伝って、日本映画としては近年稀にみる
傑作として仕上がっていました。

しかし、TV版は松子の悲惨な人生を普通に描いてる、物語として普
通に描いてる。それじゃ意味がない。っていうか台無し。

なぜ映画がヒットしたのか、それさえ把握していれば、ドラマ版が
あんなふうに作られるはずはないはず。

最近流行の映画落ちドラマとして、脚本が用意されて"はい、これ
で撮って"と言われて、そのまま何の疑いもなく作っちゃったるの
ではないかと思うほどです。

映画の撮影時のエピソードで、中谷美紀が監督の激しいダメ出しに
追い詰められ、一時は降板を決意するところまで至ったという話し
がありますが、そのエピソードこそ、映画版【きらわれ松子の一生
】に賭ける監督の情念とも執念ともとれる意欲の証明なんだと思う
のです。

確かに演じる側として、映画版の【きらわれ松子の一生】は非常に
難しい作品だったと思います。主人公である松子への役作りをしよ
うにも、監督の手法として1シーンに異常な程の情報量が織り込ま
れ、数秒で喜怒哀楽を演じきらなければならない場面も少なくない
ですし、台本だって、シーン毎の繋がりは乱暴な言い方すれば滅茶
苦茶に思えたでしょうから、演じる中谷さんとしては、とんでもな
い重圧だったと思います。

演者がボイコット、そんな騒動まで起きた作品として公開前は話題
になりましたが、いざ観てみれば、女優【中谷美紀】の潜在能力ま
で出し切らせた感のある出来栄えに素直に驚きました。

戯曲とも言える作風、そして考え抜かれたカット割、本当に素晴ら
しいっと、これぞ映画だっと感嘆すら覚える作品だっただけに、ド
ラマ版の無様さはとても残念です。

あんな調子で1クールやるんだろうから、凄く後味の悪いドラマに
なると思います。内容が内容ですから、淡々と追っかけで描写して
いけば、松子もそうだけど、見てる視聴者も救われない気分になる
んじゃないかな^^;

一応、暫くは放送をチェックしますが、途中で呆れて見るのをやめ
る可能性高いです。

同じTBS、そして映画落ちという同条件のドラマ【セーラー服と機
関銃】は、結構予想外に出来が良かっただけに、松子の無様さが余
計に際立ってしまいます。

このまま淡々と悲惨さを追いかけていくのであれば、ラストシーン
はどうするつもりなんだろうね。

3ヶ月、散々悲惨な松子をじっくり描いたあと、あのラストシーン
を持っていっちゃうと、凄く後味悪くなると思うんですよね。

映画版のように、軽快に、でも悲惨で、だけど滑稽で、そしたら"
あらら"って感じにあのラストでしょ。あのラストシーンへの持っ
ていきかたは秀逸です。やっぱ最後まで悲惨なのかよ!ってちょっ
と笑いそうになるのも、そこに至るまでの描き方が上手かったから
、見ている側にもスンナリと入って消化できたと思うのです。

ドラマでも同じラストシーンだとすると、教え子との再会辺りから
の下りから、ラストシーンまでを普通に淡々と描いちゃうと、めっ
さ悲惨ですよ。笑えないし、救われない。

結局、ドラマ版の監督は何をテーマにしてるんだろう?
所詮救われないっていう絶望感の提示?

そんなドラマ、イヤだぞw

ま、とにかくどうなるかはわかりませんが、とりあえず余り良い穂
方向には流れないなっと2話を見た時点で結論を出したcocさんな
のでした。

それでは今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

トラックバック一覧

コメント一覧