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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.69 あくまで持論な市場動向

ビジネスなのだから、売らなければならない。売る事が前提。これ
は揺ぎ無い現実。

で、DSは売れた。だから成功したと言われている。
ただし、売り手側の成功と、買い手側の充足は常に一致するわけで
はない。

しかし、悲しいかな、自分が買い手側に含まれる人間として少数派
なんだと実感してしまうと、先行きが不安になります。

っと、ちょっと不鮮明な言い回しですね^^;

つまり、今回cocが取り上げるテーマは【ゲーマー冬の時代到来】
です。

DSが売れ続けてる現状の中、ふとDSのソフトラインナップに目をや
ると、それほどソフトが強いとは感じません。

確かに良作、野心作は多い。しかし、ゲーマーの食指が激しく反応
させられるようなタイトルは、意外にも少ない。

では、何故売れてるのか?
これについては答えは簡単です。ゲーム市場の固定客、つまりゲー
マーは年々減少しており、それと同時に市場規模も衰えてきてます

現在のDSは現状のゲーム市場のキャパを超えた売れ方をしてる。つ
まりゲーマーでは無い人達に売れてる。

そして、その売れ行きはゲーマー相手の商売よりも遥かに利益が多
い。だからソフトもゲーマーにタッゲットを合わせたタイトルを出
すよりも、一般層に照準を合わせたソフトを出した方が、利益が見
込めるという状況。

ま、これは当然の選択です。超ビックタイトルで無い限り、従来の
ソフト市場では、売れても50万本が限界。

しかもゲームに対しての感性が超えてるゲーマーに支持されるよう
なタイトルを作ろうとするなら、資金的にもリスクが生じる規模で
の制作環境が必要であり、そうなると純利益は目減りしていく。

にも関わらず、50万本どころか、30万本どまりだった…なんてソフ
トはゴロゴロあるわけで…

そこへくると、DSでは【脳トレ】のような、いわゆる学習実用ソフ
トが200万本を超える。

制作サイドとしては、コレほど美味しい市場は無いと飛び付くのは
当然。なにせビジネスですからね。

そもそも、ゲーマー相手の商売なんてリスクばかりが目立つような
もんです。

少々要約しすぎな感じですが、ゲーマーの中心的世代はファミコン
世代と言っても良いと思うんです。

この層が一番厚いんです。言ってしまえば、ファミコン世代はゲー
ム産業の中での団塊の世代と言えるかもしれません。
(大体1970~1977年生まれがゲーマー人口のピーク世代)

少子化で、ゲーマーを生み出す土壌は年々縮小されているわけです
から、ファミコン世代の巨大ゲーマー人口は今でも市場では需要な
ターゲットで有り続けます。

少し話しが逸れますが、少子化という問題を実感してますか?
本当に子供は少ないのです。貴方が通ってた小学校、中学校の現在
の全校生徒の数を調べれば、確実に驚くはずです。

概ね半減、もしくはそれ以下になってるはず。

ゲーマーという、ゲーム産業の上得意様っていうのは、若年層から
しか産み出てこない人種なので、この少子化はかなり影響がありま
す。

なぜなら、ゲーマー人口が最も多いファミコン世代は年々ゲーマー
としてリタイアしていく人が増えていきます。

年齢的に仕事では責任の荷重は増え、家庭を築いてる方々も然り、
共に一日の中で余暇に興じれる時間は減っていきます。

仕事から帰宅して、疲れた身体で本腰を入れてゲーム!なんて、出
来る人は余り居ません。

そこで、減っていくファミコン世代のゲーマー達の分の補充要員が
下の世代なわけですけど、そこから激的に人口が減少してるから、
減ったゲーマーと増えたゲーマーで釣り合いが取れなくっています

なので年々ゲーマーは減少していき、ゲーマー向けのソフトの売り
上げも落ち込んでいく。

まぁ、年金問題と同じですね。

そこで、ゲーマー相手の商売から、一般層相手の商売に転換し、縮
小していたキャパの枠を大幅に広げて成功したのがDS。

しかし、これをゲーマー目線のみで見ると、うちらゲーマーが前の
めりになって熱中できるようなタイトルが見当たらなくなってしま
ったのです。

短時間で完結できる内容のソフトが増えすぎてしまった為、ゲーマ
ーはゲーマーとしての欲求を満たしてくれそうな新作に遭遇する機
会がめっきり減りました。

特にファミコン世代と言われる層で、今尚もゲーマーとして現役の
人は、ゲームをプレイする時間を作るのに、何かしら犠牲を払って
ます。

睡眠時間であったり、休暇の間にやっておかなければならない用事
や、家事などもそこに含まれるでしょう。つまり日常生活において
、本来なら行っておくべき何かを犠牲にしてゲームをプレイする時
間を作ってるという人が大半でしょう。

しかし、そういう世代にとって、短時間で完結できるゲームは、い
つでも気軽に起動し、いつでも電源を落とせるという特性のソフト
はメリットとして映らないケースが結構多いのではないでしょうか

限られた余暇、もしくは存在しない余暇の時間を無理やり作ってま
で遊ぶのであれば、その無理した分に相応な対価的な何かをゲーム
から得たいと思っていたりするのではないかと思います。

つまり、いつでも起動して、いつでも終われるゲームならば、わざ
わざ無理してまで遊ぶ時間を作ろうとは思わないという結論に至る
ケースが多いのではないかという推察。

勿論、そういったケースが全てであると言っているわけではありま
せん。ただ、そういうケースも多いのではないかと。

現にコレだけ売れてるDSに対して、ゲーマーからは冷ややかな意見
がぶつけられるケースも多く有ります。

だからといって、DSの示したゲームの【遊び】の部分に対しての新
鮮な提案が間違ってると指摘するわけではないのです。

そして、DSの思想はWiiへと受け継がれ、Wiiでも新しいゲームの遊
び方の感覚に訴えたソフトが多数発売されるでしょうし、それが一
般層に認知されれば、DS程の勢いは難しいとは思いますが、Wiiも
据え置き型ハードとしての成功を収めるでしょう。

すると、どんどんゲーマーがゲーマーとしての欲求を満たしてくれ
るタイトルの出現は少なくなっていくんでしょう。

それは、ゲーマーとしては少々辛いですが、でもソレで良いと思う
のです。

現状のゲームは【変革期】に入ってると思いますし、cocが考える
に、この先5年後を目処にゲームを囲ってるテクノロジーは大きく
進化して、ゲームという媒体そのものが大きく様変わりすると考え
てます。

ですので、今は来たるべき近い将来のゲーム産業の次なるステップ
アップに際して、可能な限り顧客を増やして行かなければならない
時期なのではないかと思います。

そういう意味では、任天堂は昔からユーザーを開拓し、更に成長を
促すという商法が得意な会社ですので、個人的にDSで取り込み、
Wiiに引き込んだユーザーに、コンテンツを通じて、どういった成
長を促していくのか非常に楽しみでもあります。

ゲーマーとしては厳しい冬の時代となるでしょうが、先細りしてい
くファミコン世代を中心としたゲーマー層を相手に自己縮小してい
く市場よりも、一般層を引き込み、そこから次代のゲームに引き込
んでいってくれたほうが、結果的に産業全体の活気に繋がりますか
ら、もう暫くは【ゲーマー冬の時代】に対して堪えて行こう。そん
な風に思うcocさんなのです。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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