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乙女日記 Vol.1348 力の在処はどっちが良いんでしょうね?の続き

さて、今回は前日の宣言どおり、漫画作家と編集についてのお話し
の続きです。

昨日は"ブラックジャックによろしく"の掲載誌及び出版社移籍につ
いて、それを作家主導に業界が転換するキッカケにしてみては如何
なものか?編集の言いなりで"売れる作品"の方程式を無理やり組み
込まされて、作家さんが描きたいものが描けない現状は変えたほう
が良いと思うのだ!っというお話しでした。

で、本日は掌返しで、全くの逆。つまり現状のスタイルがベストだ
と言える可能性という点について書いてみます。

漫画家さんというのは、色々なタイプが居ると昨今言われる点で、
絵が描きたい人も漫画家の枠に入れて考えてるようですね。

でも、絵を描きたい人と漫画家とは根本的に違うのではないでしょ
うか?

勿論、絵は上手いに越したことはないですが、肝心なのはストーリ
テラーとしての資質だとcocは考えてます。

漫画はイラストではないですから、どれだけ絵が上手かろうと、脚
本の組み立てがお粗末ならば読む気は無くなります。

本来、漫画というのは小説において文字で表現される感情描写を絵
を用いて簡潔且つ明瞭に表現することで、多くの読者を獲得し成長
したメディアだと思うんです。絵が見たいから漫画を読むのではな
く、面白い創作を読みたいから漫画を読むというのが有るべき姿で
しょう。

ですが、大衆の関心を多く集めらるほどのストーリーテラー的資質
が漫画家全てが備えてるわけではありません。

そこで必要なのが百戦錬磨の編集担当。彼らは経験という確かな裏
付けから、シナリオの展開に関してどう動かせば作品にとって、読
者にとって一番ベストというのを感じ取る力に長けています。

勿論、編集担当にも千差万別ですから、全ての方がそういった力強
いアドバイザーな能力に秀でてるわけではないでしょうけどね。

それと同時に前述のように、脚本を組み立てられない漫画家も居る
でしょう。絵を描かせれば上手い。絵だけ客が取れる。でもシナリ
オが書けない漫画家。そういった作家さんも結構多いんじゃないか
って最近思います。

事実、漫画作家人生において、1から10まで自分が構想し創造し
たシナリオで多くの人を魅了する漫画なんて、1~2本描ければ良
い方なんじゃないかって思うんです。

シナリオ創作の天才は別ですが、言い方はとてつもなく失礼で激し
く生意気な表現ですが、たかが絵が上手いというだけで、その全て
の技能者が希代のストーリテラーであるわけはないって思うわけで
す。

ですから、有能な編集担当がブレーンとして参加することによって
作家の足りない部分を補い、大衆に支持される傑作を作り上げてい
くという形式はあながち間違ってもいないし、圧力一辺倒のみで行
われてることでじゃないとも思うのです。

ただ、一番マズイのは、本当に絵しか描けない作家を漫画家にして
しまってる節がある点です。こういう場合、編集の言いなり以前に
編集からの指示がないと漫画が描けないわけですから深刻。本人に
任せて描かせても、面白さの欠片も産み出せなかったり、無茶苦茶
なシナリオ構成とかを組みだしますから、結局は画風的にウケる内
に"絵が描ける人"という労働力として編集に使われ、旬が過ぎれば
捨てられます。

酷いですが、事実それは行われてる。ブレーンを失った凡才な漫画
家の後の作品って、過去の栄光が嘘だったかのようにつまらない物
を描いていますし…。

ですから、絵が上手いだけで漫画家にしてしまう業界もマズイです
し、それを消費する出版社もマズイのですが、やはり昨日の話しに
戻ることになりますが"売ってなんぼ"の世界ですから、売る為には
手札は豊富に揃えたいってのが勝負の鉄則。

要はそこのせめぎ合いなんでしょうね。

なので、結論を言うなら、自分で"漫画が"描ける人を縛り付けるの
はよくないので、今後そういったレベルの作家さんには本人の意思
を尊重し、発表する場を自由に選択できる業界作りというのは可能
性として歓迎すべきことなのではないかなっと思うわけです。

でも、一番注意しなきゃいけないのは、編集さんのフォローあって
こそのヒット作を自身の力だと過信し、暴走してしまう作家さんで
す。

自惚れるってのは悪いことではありません。ただし、それは自分の
やった事をやった分だけ正確に測量でき、その分だけに限って自惚
れなきゃ駄目です。自分はこれだけのことをした!っという"これ
だけ"が本当に自分の力かどうかを見極める事が出来てこそ、プロ
だとcocは思ってます。

あとは、プロ意識をどこで線引きするかですね。そして漫画家とし
て目指す場所の違い。それら様々な立場や環境の違いで今回取り上
げた"ブラックジャックによろしく"の一件に対して抱く思いに差は
あると思います。

枷があってこその作家さん、枷を取っ払った方が良い作家さん。 
メジャーリーグに挑戦してこそのプロ野球選手。国内リーグで多く
の同世代ライバルと凌ぎを削ってこそのプロ野球選手。少しでもレ
ベルの高い選手で構成されてるチームに行って技術と経験を高めて
こそのサッカー選手。国内リーグで多く試合にでることで実践の勘
を磨き、日本代表召集へのアピール率を高めてこそのサッカー選手
。職種は違っても、プロと名を冠した上では共通する部分があると
思います。

ですので、一概にこちらが良いと一方を断定的に決める事はできま
せん。

編集に支配されてるということは、保護されてるとも言える環境な
わけですので、そういう手厚い環境を良しとするか、自分の力のみ
で立ち向かっていくという厳しさを取るかの問題になるわけです。

ただ、選択肢としていくつかが容易に選べる環境作りというのは業
界は今後も意識していくべき問題だとは思います。

上述のように正解は無いのですから、移籍云々に関して、もっと積
極的に業界が動くことも有りだと思うわけです。

っとまぁ、結局"こうだ!"っという結論は出さない(出せない)まま
ですが、"ブラックジャックによろしく"の一件が業界にとって良い
キッカケになれば嬉しいかなっと思うcocさんなのでした。

それでは、今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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