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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.78 暮れ行く対岸


先頃、ソニーはPS3に現在使われてるMPU(超小型演算処理装置)通称
【セル】の生産設備を東芝へ売却する方向で合意したと発表しまし
た。

事実上、ソニーのPS事業からの撤退が段階的に開始されたと言える
このニュースは今後のゲーム業界にとって大きな影を落とすことに
なるでしょう。

いますぐにPS3及びPS事業からの撤退になるわけではありませんが
、セルはPS3の核とも言える重要な半導体であり、その生産ベース
を売却するということは、現状以上の注力をPS事業には行わないと
いう意味ですから、PS3ユーザーは相応の覚悟をして置かなければ
なりません。

つまり、現状が最高であり、これ以上の投資を行わないどころか、
PS3の開発及び製造にて発生した巨額な負債の償却を売却という形
で進めて行くわけですので、今後の事業規模縮小は逃れられないで
しょう。

しかし、日本国内という観点から考えると、唯一売れる可能性の残
してるハイデフ機が消えていくというのは、ゲーマーとしては歓迎
できません。

ハイデフ一辺倒な開発競争と端末投入は支持できませんが、Wiiと
いうハードが国内据え置き型ハード市場でトップの座に付いてる現
状は、そう安心できる状態であるとは言えません。

感覚に訴えるゲームコンテンツの提供という意味において、Wiiの
目指したスタンスは支持するのですが、Wii自体は、それらの感覚
に訴えるテクノロジーを旧態依然とした技術の転用で擬似的に行っ
てるだけであり、本来のテクノロジーの強化によって作り上げられ
る新感覚ではない点が問題です。

以前からcocが持論として提唱してる、TVとプレイヤーと端末の
俯瞰的関係図を取っ払う技術、それは網膜センサーと荷重感知セン
サーに連動するヘッドマウントディスプレイというものを考えるな
らば、そして来たるべき将来に待ってる形がそうでなかったとして
も、感覚に訴えるというスタンスの方向性の先には、小手先の子供
騙しな技術ではなく、確かなテクノロジー進化によって完成度を高
めて行かなければならないという流れが確かにあると思うのです。

そう考えた場合、ハイスペックの端末は必要になってきます。

cocが現状のハイデフ機とWiiを比べた場合、Wiiの方が良いと答え
る理由には、その端末の持つ機能とコンセプトを比べて判断してい
ます。

PS3をcocは発売前から酷評していましたが、その一番の理由は、詰
め込んだハイスペックを活かす方向性が旧端末(PS1及びPS2)と同じ
であるという点に尽きます。

せっかくのハイスペックを、今までと同じ使い方。つまり【PS2版
より綺麗になったグランツーリスモ】や【PS2版よりも綺麗になっ
た鉄拳】などを作る為に利用するのは余りにも不毛だと思うわけで
す。

それでは何も変わらない。端末を変えるなら、ゲームも進化しなき
ゃいけない。グラフィックエンジンのスペックを上げ、描画にパワ
ーを発揮させることが"ゲーム"の進化とは言わない。むしろ退化だ
と思うのです。

一方、Wiiは入力デバイスとインターフェイスを変更することによ
って、ゲームとユーザーの関係図に確かに変化を生じさせて、それ
はゲームの遊びかたが変わったことを意味し、進化を具体的に示し
てみせた。(例えそれが子供騙しであったとしても)

つまり、PS3のスペックでWiiのコンセプトに準じた機能が付いてる
端末が登場してくれるのが一番ベストでした。

しかし、時代の流れの悪戯か、一方はハイスペックのみの端末、一
方は新デバイスと新インターフェイスのみの端末の登場となった。

どちらが市場を勝ち得ても諸手を挙げて喜べない…

そして、PS3陣営は早くも息切れを起こし、事後処理を開始してし
まった。

こうなると、Wiiが勝った負けたなどと言ってる場合ではなくなり
ます。

5年後のゲーム市場、10年後のゲーム市場を考えると、早急に任
天堂はWiiの後継機の発売に着手してもらわねばなりません。

Wiiのように、現状では決して充分なスペックとは言い難いその性
能は、子供騙しにしか過ぎず、確固たるテクノロジーの進化によっ
て裏付けされている機能ではないデバイスとインテーフェイスにユ
ーザーが飽きてしまえば…、いや…、その子供騙しのカラクリに大
勢が気付いてしまった時、一気に興味の対象外とされてしまいそう
な危険を多分に含んでいると思うのです。

ですから、折角ゲームの遊び方に変化が生じ、それにユーザーが興
味を持ってくれてる間にWiiの後継機としてハイデフ機を投入する
。それが今後のゲーム市場を考えると一番に望まれる流れではない
かとcocは考える次第です。

実際に研究開発はスタートしてるWiiの後継機。それがどういった
コンセプトで今後煮詰めていかれるのか分かりませんが、このまま
PS3陣営が事業規模を縮小し続け、国内での据え置きハードの選択
肢が事実上Wiiの一択になってしまうのであれば、早急にそのWiiの
後継機を登場させなければ、数年後のゲーム市場は非常に寒々とし
た光景が広がることになるかもしれません。

cocとしては遅くても2010年末、早ければ2009年末までに出すべき
だと思ってます。

正直言いまして、PS3の段階的撤退行動がこんなに早まるとは予想
外でした…。もう少しは踏ん張ってくれるかと考えていたのですが
、やはりSCEだけで抱えられる問題ではなく、不振続きの母体であ
るソニーにとって堪えられる限度を遥かに超えたPS3から生じる巨
額の負債が想定以上だったのが響きましたね…。

国内でも北米市場でも普及が伸び悩み、台数を捌かないと償却の目
処も経ちませんから、企業としては致し方ない決断なんでしょうけ
どね…。

そんなわけで、国内2大勢力の一方に差し込む暗雲に、市場の成長
バランスという視点から見て、非常に不安に感じるcocさんなので
した。

それでは今回はこれにて。



追記

恒例の回線状況グラフです。

ファイル cocdiary20070916.jpg


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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