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乙女日記 Vol.1537 内包する現実とは?



防衛省技術研究本部】は10月29日に、11月7日と8日に東京は新宿
のホテルグランド市ヶ谷で開催される事になっている【平成19年度
研究発表会~防衛技術シンポジウム2007~】の概要を公表しました

このシンポジウムは防衛庁が構想、開発している防衛軍時技術の発
表と、その可能性などについて一般の方々に理解と関心を向けても
らおうと開催されてるのですが、今回そのシンポジウムの発表テー
マの【展示セクション-陸上装備E1】という項目でガンダムの文字
が!!(研究発表会プログラム(PDF)参照)


"ガンダムの実現に向けて(先進個人装備システム)"

まぁ、本当にガンダムを作ろうというわけではなく、パワードスー
ツや強化装甲スーツなどの開発技術の可能性に関して、モビルスー
ツとガンダムという広く一般に浸透してる名前を使ってアピールし
てるというだけなんでしょうけどね。

ただ、防衛庁の公式コメントから"ガンダム"の文字が出てくるとい
うのが、凄い時代になったなぁっと思う一方で、そういった名前の
利用をされるほど浸透した代名詞となってるのかぁっとある種感慨
に浸りましたw。

さて、この"ガンダム"を作りたいというのは、軍事関係者だけでな
く、ロボット技術者や工学技師などの夢でもあるわけです。

ガンダム世代が各分野でそれなりの地位を得て、子供の頃の夢を現
実と結び付けてるわけですね。

もう少し世代を遡ると、ロボット=アトムということになるようで
すが、アトムの場合、人型ロボットの製造という部分よりも、完全
体といえる自己学習型人工知能の開発の壁が大きくその道を閉ざし
てしまってます。

しかし、ガンダムは兵器であり、いわば乗り物。
アトムよりかは、実現の道は近いように感じます。

しかし、ガンダムに登場するモビルスーツを作ろうとすると、どう
しても大きな2つの問題がネックになってしまいます。

その2つの問題とは重量と燃料です。

ガンダムの全高は18メートル、自重は60トンであると手元ですぐ確
認出来る資料では書かれています。加えて書くなら、出力は65000
馬力、地上最高速度130kmであるとも書かれています。

出力等々は除外して考えても、全高18メートル、自重60トンもの重
さで動き回るには、現在地球上で精製できる金属では不可能です。

そもそも60トンという重さをもっと軽くしなければいけません。

しかし軽量化を計っても、モビルスーツは兵器ですから、50mm弾が
着弾したくらいで大破してしまうような紙装甲では意味がありませ
ん。

現代兵器にはさほど明るくないので、現在配備されてる陸上戦車が
何ミリ弾まで撃てるのかわかりませんが、最新鋭の戦車の主砲の直
撃を受けても何ら問題ない程度の装甲でなければならないでしょう


しかし、そうなると軽量化が難しく、装甲を維持したままガンダム
を作るとなると、自重の凄さから環境的に身動きが取れないという
(地表が大陥没してしまう等)問題が壁となります。


そして、燃料の問題。アニメでは核融合炉の小型化に成功したこと
で、モビルスーツという兵器の可能性が生まれたとされています。

つまり、ガンダムはその機体の中に原子炉を積んでるわけです。
(最新シリーズの00は太陽エネルギーの発展版で動いてますが)

現実に全高20mメートルクラスの人型兵器を兵器として活用出来る
という基準の単独行動時間も加味して燃料を選ぶとなるとやはり核
というのが一番適合性が高いでしょう。

しかし、原子炉をお腹の中に抱えて動かすというのは非常にナンセ
ンスです。撃破された時の被害は勿論、核が動き回るというのはね
…。

よって、この2つの問題がクリアできない以上、ガンダム及びモビ
ルスーツの実現は不可能です。

しかしながら、この2つの問題。つまり軽量で超硬度な材質の開発
。核に変わる高出力且つ安全なエネルギーの開発というのは、モビ
ルスーツの開発以前に人類にとって凄く身近で重要な問題だったり
します。

言うなれば、現在の人類が既に抱えてる課題であると言えるのです


自然災害や工業災害などの被害から人命を守るという意味において
も、軽量且つ超硬度な材質の開発というのは重要ですし。そういっ
た鋼材の開発が成功することで、世界規模で工業産業の可能性は飛
躍的に拡大するでしょう。

墜落しても大破しない飛行機が作れたら?
衝突してもビクともしない自動車が作れたら?
直下型大地震が発生しても全く問題ない構想ビルが建設できたら?

といった様に、軽量且つ超硬度な鋼材というのは、モビルスーツ云
々の前に既に渇望されているものです。

そして核に変わるエネルギーの開発。これも人類渇望の夢であると
言えるでしょう。

化石燃料の枯渇は運命付けられてる以上、今度更に原子力の需要は
伸びます。それと同時に環境汚染の懸念は高まって行き、危険度も
年々上昇してきてます。

稼働中の原子炉の管理も重要ですが、なにより核は消耗品であると
いう前提が問題なのです。劣化ウランの処理に関して、現状では3
00メートル地下の"安全な地表"に投棄したりしてますが、本当に
安全なのかどうか…。

劣化ウランとはいえ、人を死に至らしめるだけの有害性は十分残っ
ているのです。

そういった問題から、現在は太陽光発電に高い関心が高まってます
が、問題は太陽光をエネルギーに変換する技術がまだまだ発展途上
で、その還元率から考えて世界規模のエネルギー問題に光を灯すほ
どの存在ではありません。

核を超える太陽光発電という物の開発。それはまさに人類が望み、
達成していかなければならない夢であると言えるでしょう。(勿論
、太陽光以外の可能性も含めてです)


こういったように、ガンダムの実現というのは、人類が今抱えてる
最重要な問題をクリアしなければ実現できない物であり、逆に言え
ば、それらの課題をクリアすることになるであろう次代の人類達の
象徴的な存在と言えるかもしれません。

つまり、ガンダムが実現するということは、人類が現状の問題をク
リアし、次のステージへとステップアップしたことを意味するわけ
です。

なので、ガンダムの実現という夢は何もバカげた遊びではなく、人
類にとって実は非常に大きな意味があるのです。

ただ、願わくば…、ガンダムが実現できる技術まで人類の英知が進
歩した頃には、世界から戦争という無慈悲な争いが消えてることを
強く望まずにはいられません。

そうです。ガンダムは作れるようになった。でも作らなくてもいい
時代だから開発はしない。そういう結果が未来に待ってれば良いな
っと思うわけです。

人が兵器を作り、その兵器で人の命を奪う。そこに何の意味がある
のか、現状すべての人がオールドタイプであるこの時代に気付いて
欲しいものです。



*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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