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Elder ScrollsIV:オブリビオン プレイレポート #9

少し前に、Elder Scrollsシリーズの製作会社が【Elder Scrolls
Online】といったドメインを購入したらしいというニュースを拾い
読みしました。

この事実によって、Elder ScrollsがMMORPGへと発展するのではっ
てという話になってたりするんですが、個人的にそれには反対です

このゲームの産みの親の方は(名前失念)この作品をオンライン化す
るつもりはないと発売前のイベントでコメントを出されていまして
、目指すべきは究極のスタンドアロン・ロール・プレイング・ゲー
ムだと仰ってました。

その志にこそ大賛成です。

何故なら、MMOにしてしまうと、どうしても商業的な兼ね合いから
、プレイヤーに目的意識(アカウント継続の餌として)を持たせる為
に、シナリオの押し付けや、アイテム至上主義となって、本来のコ
ンセプトから大きく逸脱していくのが予想されるからです。

その顕著な例がウルティマオンラインです。コンセプトという意味
では、2002年頃までのウルティマオンラインとElder Scrollsは同
質な作品であると言っても差し支えないでしょう。

ウルティマオンラインは当初は正にロール・プレイニング・ゲーム
というゴッコ遊びの良質な土壌でした。しかし、強き物が君臨し、
弱き物が怯えて暮らさなければならない状況を不公平と叫び、その
見等違いのユーザーの不満をケアする為に対人関係のシステムが大
幅に変更されていきました。他人にあらゆる行為を行うことの出来
る世界と、他人にネガティブな結果をもたらす行為が出来ない世界
という二つの世界を鏡面世界として提供すると、ほとんどのプレイ
ヤーが安全な世界の方に集まり、馴れ合いの世界がスタンダードと
なりました。

やがて馴れ合いは他者との差をもっと埋めて欲しいという要求を生
み出し、習得しずらいスキルの上昇が容易になるように修正されま
した。それまではグランドマスターという各スキルのマスタークラ
スまで鍛錬を終えたキャラはその途方も無い修練過程を突破したと
いうだけで尊敬の念が送られ、生産スキルのグランドマスターとな
れば、街を歩くだけで注目の的でした。

しかし、それでは生産スキルで作られる武具が一般プレイヤーには
高額過ぎて手が出せない。先駆者ズルイ!っという点から、スキル
修練の難度が下げられ、生産スキルで作られるグランドマスター制
の武具の性能を上回る武具がモンスターからドロップするようにな
り、生産スキルは実益を兼ねたロール・プレイが不可能となりまし
た。

やがて、一部の強いモンスターからしか入手できない武具は一般プ
レイヤーに入手しずらい!戦闘スキルが高い先駆者ズルイ!っとい
う流れになり、大量の武具系アイテムが新実装され、アイテムゲー
ムと化していきました。こうなってはロールプレイも何もあったも
んじゃありません。

まだ、ロールプレイの魅力が溢れていたころのウルティマオンライ
ンと雰囲気がにてるElder ScrollsがMMOになったばあい、おそらく
似たような流れで改悪の一途を辿ることでしょう。

ならば、このままスタンドアロンとして、更に作り込んだ箱庭世界
の追求にその情熱を注ぎ混んでほしいなっとcocは思う次第なので
す。

さて…、今回は前置きが長くなってしまいましたが、このプレイレ
ポートの本文と言える手記が今回は手抜きだから、前置きで誤魔化
そうというわけではありません。

本文をキチンと書いておりますです。

それでは、ロールプレイ手記の第9回目。展開開始です。時間の有
る人は読んでやって下さいな。

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【第一章 出自と運命 #9】

酷く冷静だった…。メランディルの死が私に静寂をもたらした。

そして自ら発した"また奪うのか"っという言葉の意味がどこにある
のか判らず、ただただ呆然とベリックとメランディルの亡骸を見つ
めていた。

「ここは…我らの勢力下となった…」っとサヴリアンが近づき、私
の肩に手を置いた。

どうしたらいい?私はどうしたらいいんだ?ベリック…、メランデ
ィル…、だから死ぬなと言っただろう。何が"だから女が居る"だよ
。おまえ達が生きてこその不問律だったんじゃないのか。そう心の
中で問い掛けても、虚しさだけしか生まれてこなかった。

「サヴリアン…、伯爵は?」
先ほどの激昂が嘘のように引いた私に驚いた様子をみせつつも、サ
ヴリアンは目で城内の奥に続く通路を目配せで伝えた。

「この有様では落命は確かであろう…」と言うサヴリアンの声を無
視し、奥の通路を進みだした私はあらゆる景色から色が抜け落ちて
るのに気が付いた。

色が無いだけでこれほど陳腐な世界に代わるのかっと静かになった
城内と同じような平坦な心が乾いた。

領主がその腰を下ろし、その威光を示す為に儲けられた玉座も無残
に破壊され、その脇を抜けて奥えと続くドアを私は開けた。

領主官邸といったところだろうか、エントランスのように作られた
その部屋は奥に長く、破壊されるまでは威風堂々とした佇まいで謁
見者達の背筋を伸ばさせてきたのだろう。

しかし今はあちこちに火が掛けられ、職人から生み出された至高の
家具や、品のある美術品の数々が無残にも引き倒され散乱している

焦げ付いた赤絨毯を2~3歩進むと、倒れ掛かった家具の裏から魔
物が突然襲いかかってきた。しかし、その魔物が私に触れる事はな
い。無謀に飛びかかったその身体は、即座に私の剣によって斬り裂
かれていたからだ。

幾体かの隠れ潜んでいた魔物の臓物で官邸内を無遠慮に汚してしま
ったが、それを詫びる必要はないようだった。エントランスから続
く一番奥の部屋のドアを開いた時、身形からして、伯爵であろう人
物が床に倒れ、その首、脇腹、足、いたる所から血が流れ、部位も
破損していた。

その血は既に乾いており、死斑と腐敗が始まりつつあるその様子か
ら死後4~5日といったところだろう。私がクヴァッチに最初に足
を踏み入れた時には既に"食われた後"だった可能性が高いことを知
ると、身体中のあちこちからの痛みと意識を吸い取りそうなほどの
疲労感に襲われた。

一段とおもくなった足を引きずりながら、城内入り口付近まで戻る
と、サヴリアンがその腰の剣で裁断したと思われる赤絨毯でベリッ
ク達の亡骸をくるんで弔っていた。

「サヴリアン…」その声の階調で全てを察したかのように、サヴリ
アンが振り向き笑ってみせた。

「全て…、瓦礫と化した。しかし私にはクヴァッチ再建という大仕
事が託されたことになる。前しか進めなくなった以上、今を悲観す
るのはやめておくさ…」っと言ったサヴリアンに歩み寄り、その胸
で僅かばかりのの時間、泣いた…。

ベリック達の亡骸に別れを告げた私は、サヴリアンの「手を貸そう
」という申し出を丁重に断り、クヴァッチ城内を出た。これで終わ
ったわけではない。まだ私にはあの"神父"を【ウェノン修道院】に
、そう【ジョフリー】の元に送り届けなければならないという仕事
が残されている。

数日前に私が閉じたオブリビオンの門が在ったとされる、クヴァッ
チ城門を抜け、野営キャンプがある下り坂を痛む足を引き摺りなが
ら進んだ。、野営キャンプよりも先に見えてくるはずのバリケード
の姿がこんなに遠く感じるものなのかという思いが、私を焦らせて
いた。これからすぐに出立だというのに何を腑抜けた事をっと自分
自身を怒鳴りつけることに繋がった。

バリケードを抜け、更にきつくなる下り坂に眉をしかめながら辿り
着いた野営キャンプで私が見たものは、あの神父が目隠しをして子
供達と"鬼ごっこ"をしてる様子だった…。

奪還作戦で滾るだけ滾りきった私の血が、再び沸騰した。身の安全
を確保して待機してろと私は言った。なのに何だあれは…!安全を
確保しろと促されたということは危険が迫っているというのを暗に
伝えたことになる。それを伝えられた男が目隠しウロウロしてるな
ど!!

「貴様!何をしている!」っと叫んだ私は、身体の痛みを忘れ駆け
出した。その間に指で目隠しをずらして片方の目だけ覗かせ、怒鳴
り主を探すバカ面のマーティンに益々腹を立てた私は近づくなり胸
倉を鷲づかみにして「何のつもりだ!」っと怒鳴り声を上げた瞬間
、泳ぐマーティンの片方の目に吸いこまれるように突然視界が揺ら
いだかと思うと、全ての意識が闇に消えた。

私は剣を握っていた…。切っ先はベットリと赤いもので染められ鈍
く光っていた…。

弓兵が憑かれたように、その矢を射る。まだ足りない。更に射掛け
よと命じる私が居る…。

そこは暗く狭い通路。一切の光との契約を絶った暗黒の場所。追っ
ている。そして追われてる。怒声と悲鳴が木霊し、甲高い金属音が
弾け飛び、笑っている。私が…。

少女?私か?違う…。でも知っている。その少女の黒髪を結いだの
は…私だ。でもその少女は動かない。揺すり起こそうとしても起き
ない。抱きかかえようとしたら、少女の頭が首から離れゴロリと床
を転がった。

その少女の目が私を見つめている。何故だと問い見つめられ、その
目から逃れられない。

少女は笑っていた。一番赤いリンゴをザルの山から取り当てて、そ
の頬に摺り寄せて笑っている。駆け寄る少女が足に纏わりつき、赤
いリンゴを私に差し出す。

蝋燭の薄明かりな中、少女の美しいブロンドの髪を梳かす私。鏡越
しにうつらうつらと目を泳がせる少女。

喚き叫ぶ女の声、怒鳴り散らす男の声、泣き散らす赤子の声、炎が
全てを包み、そこに痕跡だけを残す。

剣を握っていた。切っ先はカタカタと震え、震えに当てられた柄が
鳴く。少女が問う。どうして?

振り返った少女の胸には、手斧が突き刺さり、少女の膝を真っ赤に
染めていた。あのリンゴの様に…。

遠くでパチパチと火が弾ける音がし、耳に冷たいものが流れ込むの
を感じて目を空けた。視界は見慣れない麻の生地を捉えた。

天井らしいその麻から顔を背け、周囲を確認しようとした最中、真
っ白い光が突然視界を奪い、瞼を顰めた私に「お気付きになられま
したか」っと男の声が投げ込まれた。

とっさに私は横たわってた身体を跳ね上げ、腰に手を伸ばしたが、
ある筈の物がそこになかった。「御無礼は承知の上で、御腰の物は
そちらに立て置かさして頂きました。」っと柔らかい男の声が続け
た。

「何を怯えてらっしゃるのです?」っと問い掛けてきた男が、目に
視界が戻り、ようやくマーティン神父だとわかった瞬間に私は「こ
こはどこだ!!」っと神父に掴みかかっていた。

「クヴァッチ野営キャンプですよ」と答えたマーティンを睨みつづ
ける私に頬を緩め「丸3日、御眠り成られていました」と聞いた私
は初めてそこで事態を理解した…。気絶…。いくら幾日も眠ってな
かったとはいえ、このような事態の最中に3日も眠り扱けていたと
いうのか…。目の前に居るこの呑気そうな皇帝の"御世継ぎ様"を蔑
視する資格は私にはもうないなっと、自分の呑気さを飲み込んだ私
は、ふと目尻に残る湿り気を感じ、今更だったが、マーティンから
顔を逸らして拭った。

涙…?なんだ?
夢?夢を見ていた?しかし、なんだあれは?

マーティンに向けた背中で動揺を隠し、謎の夢に神経を集中しよう
とした時、マーティンの柔らかい声がそれを遮った。「3日寝てら
っしゃったのは幸いでした。私にとって考える時間はそれくらい必
要でしたから…」と彼には珍しく芯のある口調で私の背中を射抜い
た。

「決断に3日必要だった?御世継ぎ様としては頼りない限りね」っ
と皮肉った私に、全くそのとおりですっと言った感じで肩をすくめ
て笑って見せたマーティンをみて、唐突に何か懐かしいものに触れ
た気がした。

芯はまだ残っているが、随分と軽くなった身体を起こし、テントの
奥に立て掛けられていた剣を腰に戻すと「では、急ぎましょう」っ
とマーティンの声で出立を促された。

「急ぎましょうって!それはアンタのセリフじゃないわよ!それと
も何?寝坊助の粗雑な女のせいで3日も出発が遅れたとでも?」力
を込めた指先で、御世継ぎ様を小突きながら怒鳴った私に「い、い
え、滅相もない。他意はありません」と腰をすくめて詫びるマーテ
ィン。

「ふん!どうだか。まぁいいわ。行くんでしょ。遅れないで付いて
きてよ」っと吐き捨てながらテントの入り口に垂れた麻布を払い除
けると、雲一つない高く蒼い空が一面に広がっていた。

「吉兆ってやつね」「えぇ…」珍しく意見が噛み合った彼を横目に
見ながら「足。自信ある?これでも"元"盗賊なんでね。身軽さだけ
は折り紙突きよ」っとマーティンに投げかけると「私は…神父です
。元…」っと愚にも付かない冗談で返してきた。

元か…、確かにもう戻れないかもしれない。この晴れ渡った空の下
、この足を一歩踏み出した途端、もう"元"には戻れないかもしれな
いんだっと思った時、アグロナックの事が思い出された。

そうか、アグロナックだったね。すまない…アグロナック。【クロ
ウヘイブン】は思った以上に遠く、いつ辿り付けるかわからないよ
。もし待てるなら、そして私が生き延びれたのなら、必ず最初に【
クロウヘイブン】に寄って、あんたの出自とやらを確かめるからさ
。だからそれまで無敵のグランドチャンピオンのままで居てよね。

澄んだ空に憂いを飛ばす私に、マーティンは「心残りでも?」と伺
いを入れてきた。
「あぁ、男がね。待ってるんだよね」と溢した私に「想い人…です
か?」と返す。

「いや、違うね。約束があるんだ。頼み事だよ。その頼み事を片付
けた後、私はその男を殺さなきゃいけないんだ」っと続けると、マ
ーティンは黙って同じ空を見上げ「不安と期待と恐れが今を作り、
そしてその答えが未来なのです。」

「答えは知るまで存在していない。だから人は確かめたがるのです
」同じく黙ったまま、マーティンの横顔に視線を動かすと「故に人
は生きる。恐れの中でも」と私の視線に視線を交差させて微笑むマ
ーティンは確かに非凡なオーラを纏ってるように見えた。

しかし、同時に腹が立つ。何を知った風な…と。

「悟ってる暇はないよ。ほら!いくよ!」っと、つま先で軽くマー
ティンのふくらはぎを小突くと、大袈裟によろめき肩をすくめたて
見せたマーティンを見て、つくづくこんな男が皇帝なんか成って良
いものなのかと…、おそらく帝都のどこかの酒場で苛立ちをグラス
にぶつけてるであろうボーラスに伺いを立てたくもなった。

>>続く

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◆あとがき(解説や注釈等など)

長引いたクヴァッチ編がようやく終了。しかし帝都から西を出発し
た彼女の目的はまたもや後回しに…w

これは実プレイでもそうだったんです。

闘技場でグランドチャンピオンになる為に旅立ったのに、全く別の
流れに飲み込まれて翻弄されいていく様は、決められた順序でシナ
リオを消化して来て無い分、振り回されてる感じが満載で、プレイ
してて非常に楽しかったのを覚えてます。

ここらへんで、その偶発的な出来事に翻弄される様を手記にしてみ
たいなっと思ったんです。

まぁ、その時はこんなに長丁場になるとは思ってませんでしたが…

一章は何時終わるんでしょうねw

ところで、今回完了したクヴァッチ編ですが、以前書いたように実
プレイでは順序が少し違います。

クヴァッチのオブリビオンの門を開放し、修道院に向い、クヴァッ
チにマーティンを探しに戻り、その足で修道院に戻ってます。

ただ、物語にする上で一度戻ってきてるのに、奪還作戦を無視して
、シレっと再びクヴァッチを後にするというのは、そこに動機付け
して手記に興すのがキツかったので、順序を入れ替えました。

っていうか、全て暴露しますと、その実プレイの順序どおり書こう
と思えば書けたんですが、伯爵が死んじゃってるでしょ。それがね
…どうしてもキツくて。

だって、実プレイの順序で書いた上で伯爵死んじゃってると、お前
がモタモタしてるからだって感じになるでしょw

そういう展開になると、その後の展開が難しくなるので、弄ったわ
けです。

手記の中にワザとらしく死後4~5日と書いてるのも、そこらへん
の予防線なわけですねw

ゲーム中の各クエストはそれ一つで時間軸が個別に動くから、複数
のクエストと1つの線で結ぶ場合に整合性を調整する必要が生じて
しまうのです。

さて、次回からはまた長旅w
つーかね、彼女歩きっぱなしですよね。可哀想ですw
足の裏、豆だらけでかなり痛いはずです。でも彼女はそんなことに
は負けません。まだまだ歩き続けます。

それでは今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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