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Elder ScrollsIV:オブリビオン プレイレポート #16

今回からこのレポートの前置き部分は無理やりに話題をこねくり回
すような感じで書くのはやめることにします^^;

オブリビオンのプレイが休止してる中、前振りに置いていけるよう
な話題がないと言うのが正直なところで、このテキストは手記がメ
インなんで、とっととそっちの方を読んでもらおうかなっとね。

何か書くことがあれば、その時は前ぶれなく書いちゃいますけどね

それでは、ロールプレイ手記の16回目。展開開始です。時間の有る
人は読んでやって下さいな。

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【第一章 出自と運命 #16】

「曇王の神殿といえば、ブルーマの更に北よ。この先は万年雪で足
場も悪いから、慎重に行くんだよ」っと、まだ朝靄に煙る小屋の前
で彼女は私の腰に何かを結びつけようとする。

「なに?」っと聞けば、ニヤっとした表情で「お弁当だよ。チーズ
どっさりのね」っと婦人が笑う。

「勘弁してよ。もうチーズは沢山だ!」っと叫べば、即座に尻を叩
かれる…。

「随分血色が良くなってる。ほらご覧なさい」っと手鏡を顔の前に
差し出され、見たくも無い朝の浮腫んだ自分の顔を見せ付けられた
。しかし、確かに朝の割に頬の色も良い…。

「チーズはね、栄養がぎっしり詰まった山の宝石なんだ。保存も利
く。旅には必需品。嫌いでも少しづつでいいから食べなさい。私だ
ってそんなに世の中の事に疎いわけじゃないんだよ。曇王の神殿と
いえば、皇帝陛下直属の騎士様達の本拠地らしいじゃないか。そこ
に出向くんだ。それ相応の大切な御役目を受けてるんだろ。何が悪
党なもんか。過去は過去、今は今。明日を立派に生きれるようにす
れば何も恥じることなんかないんだよ」っと私の腰に布袋を巻きつ
け、緩んだ武具の止め具を治しながら"母"の様に世話を焼く彼女に
「わかった。少しづつだけど食べるよ」っと言えば「それでいい」
っと微笑みを返してくれた。

「さぁ、準備できたよ。そっちの役立たずはどうだい?」っと"ブ
レイズの長"ジョフリーと"次期皇帝陛下"のマーティンに出発の支
度を急がせる彼女の声に、マーティンが慌てて「はい!こちらもあ
と少しで終わります」っと答えると「早くしな。こっちは完了だよ
」っと言い放つ彼女に本当の事を伝えたら、どんな顔をするだろう
と思ったが、彼女ならソレを知ったところで何も変わらないだろう
と思い、余計なことを話すのはやめた。

彼らの支度を待つ間、私は重大な事を忘れていた。「ところで、ま
だ名前聞いてなかったね」っと彼女に言うと「あら、そうだったわ
ね」っと本当に気付いてなかった様子で微笑む。

「私はアンナ」と告げると、彼女は良い名前じゃないかと言い「私
はペレニアっていうんだよ」っと優しげな目で応じてくれた。

「あっちの無骨そうなのはジョフリー。で、呑気な方がマーティン
」っと随分遅れた紹介をすると、「早くしなさい!マーティン」っ
と早速名指しで支度にもたつくマーティンをペレニアは叱りつけた

急に名前を呼ばれて余計に慌てるマーティンを見て、ペレニアと二
人で笑えば、こんな暮らしが明日もその先もあるなら、その中で一
生を終えたいなんてことも思ってしまう。

「アンナー!いつでも遊びにいらっしゃいよ!」というペレニアの
声に背中を押されて私たちは一晩の温もりを胸にアップルウォッチ
を後にした。

「御婦人の強さには困ったものだ」っと愚痴るジョフリーの渋い顔
が馬上の上で揺れてるのを見ると、武具を洗いに行かされた時の情
けない姿のジョフリーが思い出され、思わずクスリと笑ってしまえ
ば、ギロリと睨み咳払いでそれ以上のからかいは勘弁願うといった
空気の壁をジョフリーは作った。

峰沿いに北上し、ブルーマの城壁を見てとれたのはその日の昼過ぎ
だった。「ここまでくれば神殿まであと一息だ」っというジョフリ
ーの声に冷たく感覚も鈍くなってる足の先にも力が戻る。

フト、マーティンの様子を見れば、数刻前から変わらぬ浮かない表
情を浮かべたままだ。

「マーティン。どうかした?」っと問い掛ける私の声に大袈裟に驚
いてみせたマーティンが、馬を止めて語りだした。

「ここまで来て一層不安が押し寄せてきてまして…。その神殿に入
れば、私は皇帝として迎えられるのでしょう。しかし私にはその準
備も覚悟もまだ出来ていません。私が皇帝になったところで、何が
出来るのでしょうか…。襲い来る災いから民をどうすれば守れるの
でしょうか…。私にはその資格も経験もないのです。ただ神に祈り
、その教えに従事し生きてきただけの平凡な神父だった私に、一体
何が…」そこまで言い終わると、マーティンは深く俯き、押し黙っ
てしまった。

傍らのジョフリーも掛ける言葉を選びかねてる様子で、重い空気が
一帯を支配しかけていた。

「ペレニアさん。良い人だったじゃない。あの人を守ることから始
めてみればいいんじゃない?」っと私が言うと、予想外だったとい
う表情で私の方を向いたマーティンと視線を結んだまま私は続ける

「皇帝として何が出来るかとかなんて、成る前から考えてもどうし
ようもないさ。成ってみてから、間違ってみてから、学んでみてか
ら選び決めて行けばいいだけだよ。少なくとも私とジョフリーは、
呑気でグズで臆病なアンタに何も期待はしてないから」っと言うと
、"私を一緒にするな"っといった怒気を含んだジョフリーの視線が
私を狙い打つ。

そんなジョフリーを無視して「重要なのは、アンタが生きてること
。ユリエル皇帝の血を引継ぐ血族としてアンタがこの世に居るとい
うことだけで、それを知った民は安堵するんだよ。アンタはその安
堵にかこつけて、その安心が完全に消えない内にとっとと皇帝とし
ての立ち居振舞いを覚えて、皇帝だと、血族だと見せてやれるだけ
の準備を進めれば良いんだ。いきなり実を伴おうってのは欲張り過
ぎ。神父如きにいきなり何が出来るのよ。悩むだけ無駄なんだよ、
信仰バカ!」っとまで言うと、流石にジョフリーも黙ってはいない

「皇帝を愚弄するにも程があるぞ!」っと野太い声で怒鳴り上げた
ジョフリーの脇から間髪いれず、笑い声が漏れてくる。マーティン
だ。

「あはは、言いたい放題言われたもんだなぁ。でも…、確かにそう
だと思うよ。悩むほど事態も実態も理解してないんだったな」っと
頬を目一杯緩ませ話すマーティンにジョフリーは呆気に取られ声を
失っていた。

「君が言ったように、まずはペレニアさんだ。彼女のような人を守
るためには何をしなければいけないのか、何をするべきなのか。神
殿に到着した後はまずそれから教えて欲しい」っとジョフリーに言
ったマーティンの佇まいに思わず私は心の中で"十分、そういう気
質持ってるじゃないか"っと皮肉を溢し、舌打ちした。

そんな苦笑の音を含んだ舌打ちが聞こえたのか、真っ直ぐなマーテ
ィンの視線に凍りつき言葉を失っていたジョフリーが、慌てて「承
知致しました」っとかしこまる姿が、目的の神殿はもう目の前なん
だと私にも実感を与えた。

>>続く

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◆あとがき(解説や注釈等など)

今回は、実プレイで発生するイベント等々は一切含まれてません。

ロールプレイの繋ぎ目というか、行間の部分を創作した回となりま
す。

ただ、この回は、主人公と次期皇帝、ブレイズの長の三人の関係図
を今後の展開に向けて完成させておく必要があった為に用意したエ
ピソードです。

実際、盗賊の主人公が成り行きに翻弄されてれば、こういったやり
とりがあったんじゃないかなっと想像が掻き立てられるわけです。
こういうところが本物のロールプレイグの面白いところです。

さて、いよいよ第一章も曇王の神殿に到着すれば佳境へと突入して
いくことになります。これまでも随分長かったですが、まだまだ残
りも長いのです。

それでは今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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