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Elder ScrollsIV:オブリビオン プレイレポート #20

年を跨いでお送りすることになったオブリビオンレポート。

いよいよその内容はオリジナルな様相を多分に含むようになり、ゲ
ーム本編とは随分距離感がでてきてしまってますが、ここまで広げ
た話なのですから、このまま突き進むしかないと開き直ってる次第
です。

ただ、シナリオの大筋はゲーム本編のメインクエスト、サブクエス
トを素材としてるので、全く好き勝手書いてるってわけじゃありま
せん。

それでは前置きはこれくらいにして、早速、ロールプレイ手記の20
回目。展開開始です。時間の有る人は読んでやって下さいな。

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【第一章 出自と運命 #20】

広間のような大きな地下道の主道に出た。

随分躊躇ったが、使わないほうが危険が少ないと判断し、片手に灯
していた松明を吹き消した私はその主道の奥から確かに人の声がし
たのを聞き逃しはしてなかった。

通路に入ってすぐは、燭台の間隔も長く光が途切れがちだったが、
この主道まで進んでしまえば、松明の明かりは必要が無いというの
を多くの燭台にくべられてる炎が教えていた。

ここに人が生活をしている。もうそれは疑う余地のない事実だ。

しかし、あの襲撃者はなんだ。始末したあとに持ち物などを調べる
と、普通の術者では扱えないようなスクロールも所持していた。更
に…狼の存在だ。狼は滅多なことでは人に懐かない。にも関わらず
、こんな限られた空間の地下室で共に暮らしていたというのか?

ネズミが多く目に付いたので、餌には不自由が無かったと思われる
が…、果たして?

そんなことを考えつつ、声のした方にゆっくりと静かに私は足を進
めていた。

主道から一旦階段を下り、更に別の階段を上がった先がどうやら声
の主の居場所らしい。気配を殺して慎重に階段を下り、さらに通路
を進む。

それにしてもこの地下室はなんだ。あまりにも広い。この主道とい
うかエントランスのような一帯は3つのフロアで形成され、そのフ
ロアの間には掘りのような形で通路が作られている。丁度数字の【
III】のような形で作られる巨大な空間に半ば圧倒されそうになる

声の主が居るであろうフロアに続く登り階段まで近づいた私は、更
にハッキリとその声を聞いた。"違う" "なぜだ" そう言ったように
聞こえた声の色は男性だった。

息を殺し階段を上がる。フロアの先が見えないというのが更に緊張
を促す。少しずつ慎重に階段を登る。もう少しでフロアの様子が窺
い知れるという所まで登った時「誰だ!!」っとその男に発見され
てしまった。

低くした体勢を元に戻し、フロア内を視野に入れた私に男はハンマ
ーのような物を振り上げ襲ってきた。

その最初の一撃を咄嗟に避けた私だか、すぐに腰の刀を抜くことは
しなかった。何故ならば、この人物がただの暴漢でないというのが
フロア内の生活空間を見たことで理解出来たからだ。

現状の構図は"侵入者を退治する主と、その攻撃をかわす盗賊"だ。
無闇に抜刀は出来ない。「ちょっとまってくれ。何も盗みに入った
わけじゃないんだ。話を聞いて欲しい」そう叫ぶ私の声は届いてる
はずだった。にも関わらず、その男はハンマーを振り回すのをやめ
ようとしない。

そして、口からは飛沫が飛ぶほどの涎を溢れさせ、目は真っ赤に血
走っていた。普通じゃない。そう感じた私の疑問が明らかな殺気を
感じたのは、5度目のうめき声が男から発せられた時だった。振り
下ろしたハンマーを再度持ち上げ、こちらに向き直した男の口元に
は、明らかに"牙"が飛び出していた。

「ヴァンパイアか!」そう叫んだのと同時にハンマーを振り下ろし
てくる男の腹に居合斬りでその刃を放った私は、ハンマーが床に落
ちる音と、男が倒れる男をほぼ同時に背中で聞いた。

一転静寂に包まれたそのフロアには、その男の物かどうかは定かで
ないが、確かな生活感が残されていた。転がる死体を仰向けに転が
して死体の様子を確認するが、やはりそれは噂に聞くヴァンパイア
の姿そのままだった。

闇を好み、闇に生き、闇の術に長ける魔の一族【ヴァンパイア】。
崩れた館の外壁周辺で遭遇したスケルトンの存在理由がここにハッ
キリと繋がった。【ネクロマンシー】はヴァンパイアの最も得意と
する分野だ…。

その存在は時には噂として、時には国防の敵として、時には権力者
の影にその存在が認められ、人成らず者、悪魔の一族として世間か
ら嫌悪の対象として認知されているヴァンパイアだが、その存在を
ハッキリと知る者は少ない。既に空想上の存在ではないかと唱える
者も居るほどだ。

勿論、私も遭遇したのは初めてだ。しかし初めての遭遇でも確信で
きるその姿。人成らず者…、悪魔の一族とは良く言ったものだっと
、転がる男の死顔を見て納得した。

突然のヴァンパイアとの遭遇で、自分の目的を忘れそうになってい
たことを、側にあったイスに腰掛けて一息ついた時に気付いた私は
、ここに存在すると教えられた【アグロナックの出自】に関する証
拠を探す本来の目的を再開した。

まずはこのフロアからだと、その生活感に満ちたフロアの一角に作
られた生活拠点の家具の引き出しなどを物色したのだが、それらし
い物は見当たらない。

机の脇に置かれてる箱が気になるが、頑丈な鍵で閉じられており開
錠用のピックでは開けそうにない…。無駄足だったかもしれないと
深い溜息を付いたとき、再び男の死体が目に入った。あまり何度も
じっくり見たくはないのだが、その時は思わず目を奪われた。

腰に紐で鍵が括り付けられてるではないか。「死人に口無しなんて
誰が言ったんだ!饒舌じゃないか」っと口元を盗賊のソレ風に緩め
ながら男の腰から鍵を取り去り、箱の鍵穴に差し入れた。

「たのむよ!」っと呟いた私の声に答えるように、回した鍵がカチ
ャリとこの上なく気持ちの良い音で願いに応えてくれた。

どんなお宝が!っと期待に胸を膨らませていた私は、完全に盗賊と
して正業に立ち戻っていたのだが、その調子は早くも崩された。箱
の中に入っていたのは一冊の本。たったそれだけだった。

バカバカしい!たかが本一冊をこんな頑丈な鍵を付けた箱に入れて
おくなっての!っと悪態を付きつつ、何気なくパラパラとその本を
開いた私の目とページをめくる指は強制されたかのうようにその動
きを止められた。

側に転がる男と本を交互に見た私の口からは「なんてことだ…」っ
という無様な言葉が自然と漏れ出るのを止めることは出来なかった
…。

>>続く

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◆あとがき(解説や注釈等など)

本文で取り扱ってるヴァンパイアとその時代背景、そして緒設定は
、この手記の中でのオリジナル設定です。

実際、ゲーム中にもヴァンパイは存在し、忌み嫌われてるという部
分では共通しています。

この手記ではそのゲーム内の設定をベースに、より禁忌な存在とし
て登場させてます。

さて、ここでまだ未調査の謎を一つ。

このゲームでNPCを殺害すると、その死体はゲーム中にそのまま留
め置かれます。ゲームを終了しても、再度立ち上げた際にそれらの
データもキャッシュから読み込みされて死体としてその場に配置さ
れます。

しかし、今回の話の中で殺害したヴァンパイアは、その後に再びこ
のクロウヘイブンを訪れた際に忽然と姿を消していたのです。

死体が消える条件というのがあり、それを満たした故に消失したの
か、それともキャッシュデータの偶発的な消失か、はたまた何かゲ
ーム内において意味が有るのかは、まだ確かめていません。

もし、ゲーム内に関わる理由で死体が消失したのなら、その理由も
含めて今回のお話を伏線して、更なるお話が作れそうです(念の為
、消失に意図があると過程したプロットは複数作成済み)

まぁ、そういうお話が続きに存在したとしても、書くのは随分先に
なるでしょう。

まだ第一章の途中ですしね^^;

それでは今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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