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Elder ScrollsIV:オブリビオン プレイレポート #21

そろそろプレイを再開しようかと思ってます。別のソフトに注力し
ていましたが、そちらも一段落した感じですし、ボツボツとオブリ
ビオン再開に向けて支度中です。

そして、この手記もそろそろ一章の幕を閉じる目処が立ちそうです
。とはいっても、まだ書き上げてない結末部分がありますし、どう
なることやらって感じも否めませんが^^;

それでは前置きはこれくらいにして、早速、ロールプレイ手記の21
回目。展開開始です。時間の有る人は読んでやって下さいな。

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【第一章 出自と運命 #21】

遂に視界に【帝都】が見て取れるようになった。

幾日ぶりだろう。【クロウヘイブン】を目指して、帝都西門を出て
から随分長い時間を旅に費やした気がする。

【クヴァッチ】で遭遇した【オブリビオンの門】、更に次期皇帝陛
下捜索とその護衛、それから【アップルウォッチ】の二つ目の門に
【曇王の神殿】。

回り道と言うには余りにもその現実は重く壮大だった。

しかし、ようやく私は当初の目的である【アグロナックの出自】に
関する証拠を携えて帝都へと戻ってきたのだ…。

【クロウヘイブン】を出てから今まで、何度も帝都へ戻る足を進め
るのを躊躇ったことか…。いくつの宿場のベットで眠りに付く夜を
どれほど重く感じたことか…。

しかし、私は約束したのだ。アグロナックに出自の証拠を掴んでき
てみせると。それが果たせた暁にアンタを倒して私が次のグランド
チャンピオンになると大見栄切ったのだ…。

どうせ倒すのだ。闘技場で倒されるということは命を落とすという
ことだ。自分が殺す男のことだ、気に病む事などないっと言い聞か
せて戻ってきたのだが、帝都を眼前に捉えてしまえば、その想いも
暗く濁る。

私は悪党だ。盗賊だ。闘技場という場のルールの範疇であるが、チ
ャンピオンにまで勝ち上がった。つまりそれだけ多くの闘士を血祭
りに上げてきたということになる。罪のない民間人を殺めたことも
ある。どっからどう見ても悪党だ。

クヴァッチの惨劇からこっちまで、何かと真っ当な中で過ごしてし
まったことで、心が萎えてしまったのかもしれない。アグナロック
に感情移入などしてどうする?

彼が哀れか?哀れなら倒さないのか?殺さないのか?
それとも、殺すのを躊躇ってるのか?

幾人もの闘士を殺し、その亡骸を踏みつけて伸し上がっていった時
の自分は、闘技場の真ん中で首と胴体が離れて転がっていようが、
腸を腹から溢れこぼし、慌てて掻き集めようとした格好のまま息絶
えた者を見ようが何も感じなかった私がだ!

何を今更躊躇しているというのだ…。

迷いは自分の死を呼び込む。そんなことは判りきってるのに、何故
この足は重い。帝都に近づくほどその歩幅が狭くなるのは何故だ…

そんな迷いを打ち消すことが出来ぬまま、私は帝都の波止場地区へ
と到着した。

すぐに闘技場へと足を伸ばすべきなのだろうが、自然と私の足は波
止場地区に購入しておいた自宅のあばら家に向かった。

購入してすぐに旅に出たせいもあって、帰宅した私を出迎えてくれ
るほどの生活感はその部屋には無かった。鏡の前に座り、好きじゃ
ない自分の赤毛を櫛で梳かす。

死ぬかもしれない…。確かにそう感じていた。ならば死ぬ為の準備
というのも必要だ。まさかドレスを着ていくわけにもいかない。せ
めて髪くらいは整えて行こうという下らない女としての儀式を手短
に済ませた私は、武具の点検も同じように済ませ部屋を出た。

波止場地区から帝都神殿区に通じる道すがら、重い足を恨めしく思
いながら歩いてると幾人から「チャンピオン!」「戻ってきたのか
い」っと声を掛けられた。そんな声に応える気分でもない私は、睨
みつけるわけでもなく、愛想を振り撒くわけでもなく、その一歩が
死へと続く道なのかもしれないと自覚し、一歩一歩を踏みしめて進
むことだけに神経を集中させていた。

闘技場に到着し、闘士控え室に続く階段を下りると、いち早くアグ
ナロックが私を見つけ駆け寄ってきた。「レディ・ラック。ようや
く戻ったか!」っといった彼の表情は明るい。長い間の留守は、そ
れが旅を意味しており、その旅から帰った私が自分の出自に関する
証拠を持ち帰ってきたと確信できるからそういう表情なのだろう。

「アグナロック…。ちょっと二人で話したい。人払いを…」っと私
が俯き加減で言うと、彼はその理由を聞く必要はないといった感じ
で、他の闘士を控え室から追い出し、私と二人きりの場を素早く作
ってみせた。

「さぁ、聞かせてくれ。いや見せてくれと言った方が良いのか?持
ち帰ってきてくれたんだろ。私の生まれの真実に関わる情報を!」
っと興奮する彼が、自分とは随分対照的な暗い表情を浮かべる私に
ようやく気付いた。

「どうしたんだ?レディ。何も情報は掴めなかったのか?」っと声
の調子を落として聞いてきた彼に、ようやく私は口を開いた。

「どうしても知らなきゃいけないのか?」っと言った私の言葉に一
瞬表情を硬くしたアグナロックは「あぁ、知らなければならない。
お前と戦う前に」っと続けた。

「お前は今まで俺が見てきた闘士とは何かが違う。それが強さなの
かどうかは判らない。判らないから怖いのさ。俺だって死ぬのは怖
い。しかしそう感じたのなら死ぬ前にどうしても知っておきたいの
さ」っと静かに語ったアグナロックに「戦わないという選択肢はな
いのか?」っと聞けば「無駄なことを…」と返される。

確かにそうだった。無駄なことだ。闘士として闘技場に上がってし
まった以上、戦いから逃げてしまえば、臆病者、卑怯者と大衆から
蔑まれ、生きる場所はどこにもなくなる…。人の目を逃れ落ち延び
たとしても、闘技場から、そして戦いから逃げた元闘士と知られて
しまえば、またその地を追われる。下手をすれば忌む感情が大きく
なり、それが大勢に伝派すれば"魔女刈り"のような目にあいかねな
い…。

大衆の眼前で刃を交え、互いの命を奪い合う闘士を時に大衆は冷酷
だ、残酷だと言う。しかし本当に残酷で冷酷なのは、その戦いに金
を賭け、戦いを娯楽として眺める大衆のほうだ。彼らの暴走のキッ
カケの餌に自身がなったときの事を想像しただけで、背筋が凍る…

一度闘技場に上がってしまえば、グランドチャンピオンになるしか
命を繋ぐ手段はない。そして例えグランドチャンピオンになったと
しても、こうして私のように新しい闘士が現れ、挑戦を表明してこ
られれば、命の保証など露と消える。それがこの地獄の正体だ。

全てを覚悟して身を投じたと言えば嘘になる。しかし今に至っては
それを承知もしているし受け入れてもいる。

だから「戦わないという選択肢はないのか?」っと言ってしまった
自分を恥じた。恥じた上でも尚、それが無理なことなのか…と反芻
してる自分に気付けばうろたえもする。

「あんたが知りたかった事だ…」もう後戻りは出来ないと覚悟を決
めた私は懐に仕舞い込んであった一冊のダイアリーを彼に渡した。
彼は目を輝かせてそのダイアリーを受け取り、興奮で震える指先で
ページの端を摘み一心不乱に読み続けた。

数ページ進んだ時に、彼の目が曇った…。更に2ページ進んだ時に
はその表情は今にも泣き出しそうなほど崩れかかっていた。

もう見ていられなかった…。こうなることは判っていた。これ以上
彼を直視できなくなった私は視線を彼から外し、背中を向けた。

背中越しでも彼の動揺は感じ取れた。先ほど興奮で震えていた指が
別の震えに変わり、絶望の吐息が控え室の空気を重く沈ませた。

「うそだ…」ようやく開いた彼の口からは僅かな声量ではあったが
、確かにそう聞こえた。振り返るのを躊躇いはしたが、私には振り
返らなければ"理由"があった。

ゆっくりと身体を反転させると、その気配を感じたアグナロックが
私の目を見つめ、今にも泣き出しそうな表情で「うそだろ…?」っ
と答えを求めてくる。

「嘘か真実かを私が決めることは出来ない…しかし」っと、そこま
で言った直後、言葉に詰まった私を見て「なんだ!しかし…なんだ
!なんなんだ…!!レディ!」っとアグナロックは泣き声で叫ぶ。

「殺したんだよ…私が」

アグナロックが後ずさりした拍子に立て掛けられていた鉄のハンマ
ーが倒れ、控え室はその鉄の反響音に包まれ、その反響音が途絶え
たのとほぼ同時に控え室の外まで響くアグナロックの絶望の叫びが
一帯の全てを支配した。

そして【死】は既に2人のすぐそばまで近づいていたのだった。

>>続く

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◆あとがき(解説や注釈等など)

第一章の表題が【出自と運命】で、ようやくここにきて、その本題
へと話は突入ということなりました。

しかし、この【アグナロックの出自】に関しては、以前にも書いた
ように、サブクエストの一つにしか過ぎず、まさかこんなに長くな
るとは思っていませんでした。

ですが、手記にする都合上、主人公の行動選択に後付けで動機付け
をして物語の行間を掘り起こして創作しなければ【手記】といもの
が成立しなかったので、あちこちと物語りは枝分かれし長編化して
しまったわけです。

今回アップしたアグナロックとのやりとりは殆どが創作ですが、ア
グナロックとの下りが終了した後に主人公が行動したソレに動機付
けをする為に今回を含めて今後の2~3話は非常に意味有るシーン
です。

尚、今回の分は前回から少し時系列が飛んでます。前回の直接の続
き部分と順序が入れ替わってアップしてるは意図的であって、構成
の一環です。飛び越えて場面転換してますが、キチンと飛び超える
前の部分も次回アップします。

そんなわけで、構成的に話が飛んだような感じでややこしいですが
、前々回の続きは次回ということで、また目を通してやってくださ
いませ。

それでは今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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