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Elder ScrollsIV:オブリビオン プレイレポート #22

少し間が開いてしまいましたね。

実の所、最近続きを書けてないのです(既に書き上げてる分は、ま
だ数回ありますが)

結末までの大体のプロットは出来上がってるんですけど、仕上げに
至れてないのが現状です。

なので、アップする間隔を間延びさせて、書き上げてる分に追いつ
かないように姑息な調整をしてる次第です…。

ゲームで遊ぶ時間は作れるくせに、ドップリと腰を据えてテキスト
を仕上げる時間は作れないという何とも言い訳のしようのない毎日
を送るcocさんです。

なんとかしなければ…っと焦りはしてるんですけどね。

それでは前置きはこれくらいにして、早速、ロールプレイ手記の22
回目。展開開始です。時間の有る人は読んでやって下さいな。

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【第一章 出自と運命 #22】

【クロウヘイブン】の薄暗い地下室の奥でキャンドルに火を灯した
私は、厳重な鍵を取り付けられていた箱から取り出した一冊のダイ
アリーに目を奪われた。

最初のページから数ページは愛する家族を慈しむ父親の慈愛に満ち
た言葉が綴られていた。読んでるこちらが少し恥ずかしくなるほど
の情熱的な言葉も少なからず散りばめられていたのだから、思わず
こぼれる苦笑いは仕方のないことだった。

しかし、ページが進む従い、その情熱は異常となり、気付けばいつ
しか狂気へと変わっていった。愛する妻への想いが暴走し、その心
情が狂気的に綴られている。求めても、求めても満たされない心を
満たしてくれと妻に懇願するこの男の感情は確かに狂っていた。

やがて、愛が狂気に変わったように、狂気から殺意へとこの男の感
情は膨らんでいった。妻を自分だけの物にしたい。どこへも逃がさ
ない。私だけを見続け、私だけに囁き続けられないのであれば、私
が彼女を永遠の物にする。そういった決意じみたことが書かれた後
、妻が離縁を申し入れ、息子と共に彼の元から離れようとしている
と書かれていた。

そして、確かな殺意のみに切り替わった彼を妻は出し抜き、彼を地
下室に幽閉した。妻に幽閉された彼は何度も、何度も彼女を呼び続
けた。愛しき妻を呼び続け、愛しき息子を呼び続けた。そして彼は
彼でなくなったのだ、この地下室で。

彼が愛した妻は【オーク族】の娘であったとも書かれていた。

そして、彼がまだ彼で居られた頃の文章から、彼が半人、半ヴァン
パイアの間に生まれた子供だということが書かれていた。

ヴァンパイアとは、ハッキリとした調査結果が公に広く発表されて
はいないが、純血種と混血種の2種族が存在し、混血種のヴァンパ
イアはある程度の時期までその素養が表面に出てこないと言われて
いる。成人以降、徐々にヴァンパイアの素養が現れ、最終的には自
我を失ってしまう様子から、ヴァンパイアの起源は突然変異人種の
体内にのみ存在する、ある種の病原菌が始祖で、純血種の場合はそ
れらの菌に対して抗体が有る為に自我を保つことはできるが、混血
種にはその抗体までは受け継がれない為に最終的に純血種のヴァン
パイアよりも凶暴性が増すのではないかと考えられている。

既に空想上の存在ではないかと噂もされているヴァンパイアだが、
確かにその存在は政治的に認めらており、民衆の危機感を煽らない
為の情報操作が国家主導で行われているのだ。いつの時代にも公に
できない秘密というものはあるものだ。そして裏家業の者にはそう
いった隠された真実も耳に入ってくる。

ある研究者は、その純血種は突然変異ではなく、東方の国で研究さ
れていたと噂される【ホムンクルス】の実験から生まれた副産物的
なウイルスが原因ではないかと唱えてる者もいると聞く。

ヴァンパイアの起源はさて置き…、この日記の著者は混血種のヴァ
ンパイアであったことは確かで、妻はそうと知らず婚姻を結び、い
や…彼自身も知らなかったのかもしれない、自分がそうであると。

とにかく、彼らは婚姻を結び、そして彼の中に眠っていたヴァンパ
イアの素養が徐々に表面化してきたのを敏感に察知した妻は、夫を
封印し、この地を去ったのだろう。25%ヴァンパイアの血を受け継
いだ子供を連れて…

彼の妻はオーク族と書かれている…、半人、半オークの様相をして
いるアグナロックがその子供であることは…考えるまでもない…。
そして、この日記を読み耽っている私が座るイスの傍らに転がって
いるヴァンパイアの亡骸。

アグナロックの父ということに疑う余地はない…。

知らなかったとはいえ、既に自我を失いヴァンパイアの血に飲み込
まれてしまっていたとはいえ…、アグナロックの父を私は殺めてし
まったことになる…。

とんでもなく重い真実を秘めたダイアリーを静かに閉じた私は、ど
うしようもない現実に絶望した。

ヴァンパイアといえば…、国家の敵。その存在はシロディールにお
いて葬られる存在だ。

この事実をアグナロックに告げるのは余りにも残酷だ。何故なら、
それは死を宣告されるのと同じであり、シロディール国家の思想教
育の範疇で育った我々シロディール国民にとって、ヴァンパイアと
は最悪の存在として意識付けされてしまってる。

最も忌むべき存在が自分であったと聞かされた者はどうなる?

思わず、テーブルの上に置かれていた天秤を掃い投げ、その落下音
が地下室全体に大きく反響するのに合わせ、私は一人、言葉に成ら
ない叫び声をあげていた。

何時間、テーブルに突っ伏していただろう…。とにかく立つ気力も
失っていた。帝都に戻りたくない。こんな真実を知らせたくはない
という思いだけが頭の中でグルグル回っていた。

そんな何一つ解決の糸口のない同道巡りの中を彷徨い、虚ろに溺れ
ていた私に突然の物音が正気を呼び戻させた。

「ゴトン!」っという鈍い音。距離は少し離れている。すぐさま立
ち上がった私は、転がってるアグロナックの父の亡骸を跨いで柱に
耳を摺り寄せた。

反響音を拾い、音の発生場所の方角と距離を掴もうとしたのだが、
既に音の名残は消え去っていた。

思わず「ちっ!」っと舌打ちを溢した私は、更に神経を柱に押し付
けた耳に集中させた。

5分、10分、随分長い間柱に耳を押し付けていた。異音の正体や
発生場所を確かめず迂闊に動くのは愚の極みだ。こうして臆病なほ
ど慎重に物事に対処するのが命を落とさない秘訣である。

辛抱強く柱に耳を押し付け、その石造りの柱の冷たさが耳の皮膚の
体温を大方奪い切った頃、2度目の物音の振動が鼓膜を揺らした。
「根気勝ちだ!」っと呟いた私は、伝わってきた音の大きさと反響
具合から大よその方角と距離を試算した。

「結構離れてるな…」そう言った私は、無かったことにしたいとさ
え考えたダイアリーを懐にしまい、アグロナックの父の亡骸に【曇
王の神殿】からここへ向かう道中、戯れで摘み取り、地図に押し挟
んであった一輪のすみれをその胸に手向けてフロアを後にした。

>>続く

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◆あとがき(解説や注釈等など)

今回の内容は時系列的に前々回の続きということになります。

なぜ、時系列を前後させたかというと、場面転換で少し展開に弾み
を付けようと思ったからです。

ダラダラとクロウヘイブンから帝都へ至るまでをロードメモリーみ
たいに書くのに、ちょっと抵抗を感じたんです。

時系列どおりにしてしまうと、クヴァッチ、曇王の神殿辺りと同じ
ような感じになっちゃうし、少しだけ小賢しく転調で物語に変化を
与えようとしたわけです。

さて、今回の手記の中で書かれてるヴァンパイアに関しての世界観
設定ですが、基本の根底はゲーム内容から引用し踏襲してはいます
が、随分と肉付けをしてますので、ほぼオリジナル設定といった感
じになってます。

今後(構想段階の部分も含み)の展開上、ヴァンパイアという存在を
強調しておきたかったというのもあって、後でどうとも弄れるよう
に使い勝手良く幅を持たせた設定を今回盛り込んだという真相です

尚、ダイアリーの記述部分に関してはゲーム内容を踏襲しています
。よってアグナロックの父親が幽閉されていた理由という部分は実
際のゲーム内容と一致させてあります。

さて…、今回で22回めとなってしまいましたね…。

現在26回目まで書きあがってますが、結末に至ってないわけです…

一体、何回目で一章を閉じることが叶うことやら…。

現段階では33回くらいで閉じれるかなっと思っていますが、自分で
納得できない中途半端な形で進行させていくつもりはないので、プ
ロットを書き起こしていく過程で、どれほどの肉付け欲求が生まれ
るか否かで随分と回数には誤差が生じるでしょうね。

それでは、今しばらくは続くこととなりますので、もう暫くお付き
合いくださいませっと書き残し。今回は終りと致します。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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