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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.80 ターニングポイント

14日(日本時間14日26:30)にアメリカはロスで行われたE3のマイク
ロソフトが業界関係者向けの発表会”Xbox 360 E308 Media
Briefing”において、スクウェアエニックスが兼ねてよりPS3独占
供給としていた自社の看板タイトルである【FFXIII】を北米市場に
限ってXbox360でも発売すると発表しました。

まさかの大ニュースです。

この事件は今後の業界を占う意味で大きなターニングポイントとな
るかもしれません。

目先だのユーザー視点だけで考えるなら、どのハードで発売されて
も然したる問題ではありませんが、業界視野で考えればこの一件を
とても大きな事件です。

まずPS3の【独占供給】ではなくなったという事実が非常に大きい
です。

この独占供給というのはゲームが消費路線になってしまってからは
あまり注目されない要素になってきてますが、このソフトはこのハ
ードでしか遊べないという付加価値はハードを販売していく上で非
常に重要な要素となります。

FFシリーズに既に以前ほどの集客率が無いという事実は勿論踏まえ
て考えてますが、例えFF単体でユーザーを惹き付けれなくとも、多
様なニーズのユーザーのハード購入の決断となる理由の一端に置か
れる可能性は未だ高いと言えるでしょう。

例えば、サッカーゲームが好きなユーザーが台頭してる二つのハー
ドのサッカーゲームのどちらにしようかと悩んだ際に、PS3の方に
しとけばFFXIIIも遊べるのか。それじゃまぁPS3で良いかってな具
合に、FFはハード購入の主動機とならなくても牽引する力はまだま
だ充分あるということです。そういった意味で独占供給というのは
総合的に見て重要な要素なわけです。

さらにそれがビックタイトルとなれば、あのビッグタイトルが参入
してるハードの市場ならばっと、他のパブリッシャー達の参入を促
す呼び水となるわけです。

多くのパブリッシャーが参入すれば、その分だけ多種多様なソフト
が発売され、既に多様化が極まった感のあるゲームユーザーのニー
ズの分散傾向にも応えられる市場へと成長していくことに繋がりま
す。

そういった意味で、FFXIIIがPS3の独占供給タイトルで無くなった
こと、Xbox360においても発売されるとなったという事は非常に大
きな意味があり、今後に大きな影響を与えることは必死でしょう。

どんなに取り繕うとも、FFXIIIに見限られたPS3。FFXIIIに支持さ
れたXox360という事実は拭えませんし、それが正しい物の見方とい
うものです。

個人的にSCEは何をしていたんだ…っと呆れ返ります。SCE陣営にす
れば絶対にライバルハードの市場に送り込んではいけない唯一無二
のフラグシップタイトルでしょうに…

そして、これを機にXbox360周辺は騒がしくなりますよ。確実に押
せ押せムードになるでしょうし、片やPS3陣営は悲壮感一杯で、今
後も多くのバパブリッシャーがSCE離れを敢行する可能性は高くな
りますし…

正に明暗クッキリと言った感じです。

あと、この事件は当然のことながら世界の投資家達にもSCEを見限
る材料となります。少なくとも、この一件で「やったぜ!!SCE」
と考える投資家は居ないでしょう。

さて、肝心の日本での発売に関してですが、スクウェアエニックス
は必要以上に頑なに「現時点は、北米市場のみです」という部分を
強調しています。

しかしながら、日本で出ないわけはないでしょう。

SCEとの契約云々で微妙な立場なんでしょう。だから現時点では北
米のみと言わざる終えない。

しかし、いくら北米市場においてXbox360が好調だからと言え、日
本市場で生まれ、日本市場で成長し、日本市場の代名詞とも言える
地位まで登った国産タイトルが北米市場のみに提供というのは非現
実的というか、不自然過ぎます。

ただし、SCEとの契約で日本国内でのマルチ展開がどうしても不可
能となる周到な契約条項で固められているのであれば、Xbox360で
は北米のみという発表どおりの可能性はありますが、インターナシ
ョナル版やゲーム内容の追加などで、内容が違うから契約に記され
てる作品ではないという解釈で国内でも発売されるであろうという
予測が大半を締めています。

しかし、仮にどう足掻いても契約の隙間を突くことができなくて、
本当に北米市場のみのリリースになったとしてもXbox360ユーザー
は大して悲観しなくても大丈夫です。

先にも書いたように北米のみであったとしても、FFXIIIはXbox360
を支持したという事実は消えませんし、それがキッカケとなり多く
のパブリッシャーがXbox360の市場に今まで以上に目を向ける事に
なるのは必定ですから、そうなればパブリッシャーが集まり、ソフ
トがあつまり、そしてユーザーが集まるという流れは問題なく発生
していくでしょう。

今回の事件、今後の市場を左右する事件であることは明白で、どう
いった流れ、動きを生み出していくのかが要注目です。

にしても、マイクロソフトは凄い仕事をやり遂げたもんですね。こ
ういった事態の可能性が全くなかったわけではありませんが、まさ
か、まさかの展開に正直驚きを隠せませんです。

そして、独占供給という形でのキラーソフトが事実上なくなってし
まったPS3陣営の今後にも要注目です。(ちなみに同時開発中の
FFXIIIスピンオフタイトル"ヴェルサスXIII"は現時点においてPS3
独占供給タイトルのままです)

まだまだ、一波乱、二波乱もありそうな今年度末の発表会関連が楽
しみになってきました。

しかし…皮肉なものですね。FFVIIでその成功を確立させたSCEが同
シリーズのXIIIにトドメを刺されるとは…。

まさに、光秀を配下に加えることで将軍継嗣の官軍となり、瞬く間
に天下にその覇を唱えた信長が、その権勢の大きな道筋を作るキッ
カケとなった光秀に討たれて生涯を終えたのと同様の展開ですよね

そして再び、群雄割拠の時代へと…。

ですが、HD機戦争では蚊帳の外である任天堂の動きも忘れてはなり
ません。FFという駒が右往左往してるのを横目にしつつ、後から全
ての話題をかっさらっていくような準備が進められていてもおかし
くはありません。

cocが以前に予測した流れでいくと、2010年当たりに任天堂に大き
な動きがあると考えていますので、その先兵ともいえる話題が今年
度の末辺りにチラっと発表されたりするかもしれません。

要するに、このFF事件も込みで今年度の下半期はかなり大きな話題
がいくつも飛び交うかもしれない熱い年となる。cocはそう予想し
ています。

それでは、一先ずXbox360版FFXIIIの日本発売の可能性について、
今後は注意深く観察していくことにしましょう。

では、今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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