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乙女日記 Vol.1800 時代考証蔑ろ過ぎ

今にして始まったことじゃないけど、今年のNHKの大河ドラマ【天
地人】の軽薄さは凄まじいですね…

時代劇、そして大河というと本格的な時代考証をベースにしたドラ
マは、何でもかんでも説明を入れてしまうドラマ、映画、漫画など
が溢れ返るような時代に育った世代には馴染みにくいドラマだった
のは確かですけど…

あそこまで現代劇風味に歪曲した演出はどうなんでしょう…

時代劇って、やっぱ時代考証は大切だと思うんです。ただ言葉に関
しては確かに当時の日本語と現代の日本語は殆ど別の国の言葉と言
っても言い過ぎではないほど違いますし、当時の言葉を現代の言葉
に訳そうとしても、的確に訳せない言葉も多いです。

ですから、言葉に関しては現代人に理解できるように調整するのは
構いませんけど、時代考証って言葉とか小道具、大道具といったも
のだけでなく、人物の立ち居振る舞い、慣わしといった行動も含ま
れているのは当然で、そういった所をキチンと表現するからこそ"
時代劇"という表情を形成できると思うのです。

前年の"篤姫"が現代人の女性目線に立った演出で視聴率を取れたと
いう布石の結果が今回の【天地人】の悲惨すぎる姿を生んだのであ
ろうというのは容易く想像できますが…、いくらなんでもあれでは
酷すぎます。

勿論、冒頭に書いたように、大河の時代劇としてのフヌケっぷりは
今始まったことではないんですけど、今まではなんとかギリギリの
線だったと思うんです。

うん?え?うーん、まぁそういう演出も、まぁ…アリかもねっと顔
をしかめつつも堪えれる範囲でしたけど、篤姫で本格的に時代劇の
看板を下ろし始め、天地人で見事に叩き割ったって感じですね。

戦国時代って、絶対的な身分制度が確立していて、それこそ身分違
いのものが口を挟むなど絶対に有り得ないことだし、同じ座敷に上
がるなど…。

小姓の分際で己の初陣を国主に直に談判など…、仮にそういう事が
あったとしても、それ相応の席の元、正式な許可を貰ってからの談
判であるべきです。

そうかと思えば、行儀見習いとして奉公に上がってる娘が男集(小
姓をはじめとする武家人)に真っ向から目を見て口を利いたりする
し…

そういう点をキチンと演出することは時代劇として、その時代を切
り取って物語る上で重要だと思うんです。

当時の文化、制度、慣習を知ってこその当時の人間の思想や心情に
歩み寄れるわけですし。

なんでもかんでも現代劇にあわせるようなシフトチェンジは本末転
倒でしょ。

こういうことは、時代劇に限らず、物語の全てに共通することだと
思うんです。

ファンタジーでもSFでも、やはり時代という世界観をキチンと作り
上げてこそ、その下で展開される物語の意義というのが確立するわ
けで。

ですが、天地人は衣装やカツラだけは時代劇ですが、その演出は青
臭くバカ正直で真っ直ぐな熱血新人サラリーマンのサクセスストー
リーになっちゃってます。

ほんと、視聴率ってのは禄なもんじゃないですね。それさえ取れれ
ば何やってもいいってことになっちゃうんですもん。

大河ドラマが聞いて呆れるです。

こんな作り方していても、今見てくれるようになってる時代劇ブー
ム、武将ブームに踊ってるような飽きやすい視聴者なんてすぐに離
れていきますよ。

で、時代劇好きの本当のファンを取り戻すのに相当な苦労を強いら
れることになるでしょう。

時代に流されて小手先で誤魔化して作るのではなく、キチンと番組
の本分に則って作ってほしいものです。

それこそ、手本があるじゃないですか。大河ドラマ史上最大のヒッ
ト作である【独眼流政宗】という作品が。

あれがなぜあれだけ支持されたか、そこを分析していけば必ず良い
ものが作れるはずです。

大河に限っては、良いものさえ作れば、視聴者は着いてくると思う
んですけどね。どうなんでしょう。

来年の大河も、坂本龍馬役が福山雅治に決まってしまい、ヘンテコ
な幕末ドラマが展開される予感しまくりですし…

いよいよ極まったか?って感じですね。

ま、取り合えず天地人が今後世間にどう評価されるのか、そこらへ
んを注視しつつ、一歩下がった感じで観察していこうという思いに
至ったcocさんなのでした。

それでは今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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