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乙女日記 Vol.1855 詳しくない人に向けて書いてる風味(でもあちこちで置き去りw)

9年と1日目の更新です。こんばんわ。

さて、今回は29日に本選が開幕した2009年F-1についてです。

結果は、一日挟んでますので既に御存知のとおり、旧HONDA F1のブ
ラウンGPが予選の結果そのままの1&2フィニッシュを飾り、新チ
ーム&新マシンのデビュー戦で優勝という偉業を成し遂げてオース
トラリアGPは幕を下ろしたわけですが、このブラウンGPの大躍進は
"今だから"の結果であり、これで今期が新チームのブラウンGPを軸
として動いていくということにはならないでしょう。

何故なら、今回優勝を飾ったブラウンGPのマシンは、まだHONDAが
そのチームのオーナーであった時代にロス・ブラウンを総指揮に置
いてHONDAの資金で作り上げた車だからです。

確かに、HONDAが撤退を決めたあと、エンジンをHONDAからメルセデ
ツにチェンジし、それを見事にパッケージングしきった点はさすが
と言える部分ですが、長い低迷時代に足掻いていた名門フェラーリ
ーを常勝チームへと復活させたテクニカルデレクターのロス・ブラ
ウンの手腕にとれば、今回のエンジンの挿げ替えのパッケージング
なんて然したる問題ではなかったでしょう。

結果、昨年にHONDAが低迷脱出の切り札としてロス・ブラウンを呼
び寄せ、多額の開発費を使い作り上げたマシンは2009年の開幕時点
は他を圧倒したわけです。

しかし、問題はこれからです。ブラウンGPには資金がありません。
ジャパンマネーを湯水のように使えた時代は幕を下ろし、その
HONDAを買い取る"企業"は現れなかった故に、ロス・ブラウンとい
う人物にタダ同然の形でチームを譲渡した結果がブラウンGPです。

ですから、多くの旧HONDAスタッフ(日本人スタッフ以外のイギリス
のファクトリーに関与してるスタッフ)に賃金を支払うことが出来
ませんので、多くの優秀なスタッフがチームから去りました。

たまたまHONDAとロス・ブラウンが昨年から開発を進めてた車の出
来が良く、2009年の開幕では一番早い車になってただけです。

他のチームは、今後において当然の流れとして今年の新たなレギュ
レーションにあわせた改良及び更なる開発を活発に行っていきます
。しかしブラウンGPにはそういった開発にかけるお金がありません

奇跡的な話ですが、この開幕に並んだブラウンGPの車の完成度がと
てつもないものだったとしたら、他のチームがせっせと改良を重ね
ても、今期最終戦まで追いつかれずにバトンかバリチェロがワール
ドチャンピオンにっという可能性もあります。

でも、それは極めて低い可能性です。

ですので、ブラウンGPは開幕優勝という実績をフルに自ら宣伝しま
くって、新たなスポンサー獲得に走り回ることが当面の最重要課題
でしょうね。

世界的な不況の現状ではむずかしいでしょうが^^;

ただ、個人的にはHONDAの置き土産が他を圧倒して優勝してくれた
のには胸が熱くなりました。

さて、ブラウンGPから離れての話に切り替えますが、今期のレギュ
レーション変更で一番大きな変化がダウンフォースパフォーマンス
の制限です。

F1というのは物凄く軽く作られています。軽自動車より軽いです。
でも馬力は700馬力以上。速度に関しては350キロ以上出るんで
す。

普通に考えれば、そんなに軽いものが350キロで走ったりすればひ
っくり返ってしまいますし、急減速してコーナーを曲がるなんて不
可能に思えます。

しかし、それを可能にしてるのがダウンフォースという物で、簡単
に言えば空気抵抗を逆に利用する技術です。

軽い車体がひっくり返らないのは、空気の壁とガッチリ握手して車
を空気の壁で押し付けてもらってるからひっくり返らず走れるので
す。

ですが、年々技術が進歩していくにつれ、このダウンフォース、つ
まり空力学が目覚ましく発展しすぎてしまったんです。

レースに詳しくない人でも【スリップストリーム】という言葉は聞
いたことがあると思います。前を走る車の後ろに付くことで空気抵
抗が格段に軽減されて加速性能が高まる現象をスリップストリーム
と言います。

一昔前のF1でもスリップに入ってからオーバーテイクするというの
は有効な走行の1つでしたが、近年においては一概に有効手段とは
言えなくなってきていました。

極限まで計算され作られた車体は、空気の壁をいかに抵抗少なく突
き進むかという観点から、空気の壁を如何に利用するかという観点
に切り替わっていたのです。

空気抵抗を少なくして早く走るという次元の空力学は発展の最終地
点近くまで進んでしまってます。ですから、それは当たり前。そこ
から先の次元として、空気抵抗を増やすことで生じる圧力の力をマ
シン制御に転用しようという問題に切り替わっていたのです。

すると、スリップに入るとマズイっというマシンが多くなったので
す。

空気の抵抗を逆に利用してマシンの凄まじいパワーを制御できるよ
うに設計された車が、急激に空気の抵抗が軽減されるエリアである
スリップに入ることによって、非常にマシンの挙動がピーキーにな
り、制御するのが危ういという状態に陥るケースが起き始めていた
のです。

これでは、中々オーバーテイクというのは期待できません。同次元
スペックの車なら、以前はスリップを使う事で後続車の方が有利だ
ったのに対して、現状では前に位置する車の方が的確な空気の抵抗
を得る事でマシンの挙動を安定させる事ができるのですから後続車
が前に出る機会を得られません。

なので、ダウンフォースを余り欲張って使っちゃだめだよ。2009年
から空気抵抗を制御に転用する場合の数値上限を設けるからねって
という新ルールが作られたのです。

これでオーバーテイクも頻出するから、F1はもっと面白くなるぞー
ってのが偉い人の魂胆です。

しかし、開幕戦の蓋を開けてみると…、あれほど安全性という人道
的な検知からマシンの過剰なスペックアップを抑止し、常に安全性
向上路線で進んできたF1が一気に様変わり。

大幅にダウンフォースを制限されたマシンが、まだ成熟しきってな
い車で開幕戦を走ったことで、非常にピーキーなレースとなってし
まい、安全性という意味においては大いに首を傾げたくなるような
結果になってしまいました。

正直言いまして、このレギュレーションは危ないです。

上述のダウンフォース関連で改訂されたフロントノーズの巨大化も
昨年の冬のテストでは単独走行が主だったことでそれほど危険性に
ついては気付きませんでしたが、ドライバーからはあのタイヤから
ハミ出たノーズが見えないんですよね^^;

あれではサイドbyサイドの攻防戦は出来ない。やった結果は既に開
幕戦で悲惨な結果として実証されてしまいましたし…。

ノーズの巨大化以外にも、先に書いたようにダウンフォースを制限
されたことによって、コーナーの出口、つまり加速のタイミング時
において、マシンの挙動が不安定になりやすく見ていてヒヤっとす
る場面が多発していました。

しかも、まだ数チームしか採用してませんが、ブレーキングの制動
時に生じるエネルギー。つまり加速というエネルギーを押さえ込む
際に発生する制動というエネルギーをプールして、ここぞっという
時にその充電したエネルギーを使ってエンジンの馬力を数秒間アッ
プさせるという【カーズ】という新技術も(機構理論は異なります
が結果だけを見れば懐かしのオーバーテイクボタンと同じですね)
加わってるんですが、ピーキーな車体にターボ機能つけちゃってる
ようなもんだから、使いどころ間違えると一気にマシンは制御不能
になってどっかにすっ飛んでいってしまいます。

ですから、2009年開幕戦を見て感じたのは、ここ数年の安全性重視
路線はどうしたんだ?なんだったんだ?っという向けるべき相手の
いない憤り
ですね。

まぁ、90年代のF1はもっとピーキーだったんで、別にそういったシ
ビアなレース模様が展開されることに拒絶感はないんですけど、安
全性と安定感が売り物のF1が当たり前だと思って走ってきたドライ
バー達にはキツイ状況だろうと思うのです。

ドライバーの技量でタイムが格段に変わってくるという、レースと
して正常な状態に近づきつつあるとはいえ、安全神話の中で育って
きたドライバー達にそれらが使いこなせるのか、悲惨で取り返しの
つかないような惨状を呼び込んでしまわないかっと心配になってた
りもするんです。

そんなわけで、今期のF1の見所はブラウンGPのスポンサー集めと、
不安定で神経質なマシンを"ゆとり"ドライバー達がそう乗りこなす
かの2点となりそうです。

ちなみに、マッサは全く使いこなせてなかったようですw

それでは予想外に長文化しちゃいましたけど、また二回に分けてっ
というズルっこい回数稼ぎを頻発しるのもアレ何で…、今回はその
まま一回分としてアップすることにします。

そんなわけで、今回はこれにて。また次回です。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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