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乙女のNintendoDS 漫遊記 Vol.62 エルミナージュ


世間のゲーマー達の間では、近しい未来に通じる話題としてE3が目下の注目の中心だったりするんでしょうけど、cocさんといえば、それとは逆行するかのように、現在DSの【エルミナージュ】というソフトにハマっておりまする。

この【エルミナージュ】というソフトは、【ウィザードリー】の外伝やアナザーシリーズとして有名な【エンパイア】シリーズを手がけていた【スターフィッシィ】が制作したウィズライクな作品です。

この作品が登場した経緯は状況の推移から推察しますと、元々本家のウィザードリーの版権を保有していたメーカーがその権利を他社に売却しちゃったんです。これにより、スターフィッシュ制作のウィザードリーの外伝やアナザーシリーズは販売出来なくなってしまったのです。

そこで、良くも悪くも、ウィザードリーに拘りを持つスターフィッシュは、だったらウィザードリーの看板使わずにウィザードリーを作っちゃえって感じで登場したのがエルミナージュのようです。

当初は、通勤や空き時間に遊ぶ用にPSPのウィザードリーエンパイア3を遊ぼうかと思ったんですが、事前に調べたところ、携帯機なのにマッピング必須な仕様だったので回避したんです。

別にマッピングが嫌いというわけではありません。寧ろ好き。しかし携帯機でマッピング必須な仕様というのはマズイです。

だって、それじゃ携帯しながらプレイ出来ないじゃないですかw

一応、オートマッピング機能は付いてるんですが、魔法や消費アイテムを使わないとそのマップは確認できないので、自ずと回数制限というストレスを抱え込んでしまいます。

据え置き型でなら、その仕様でも全然OKなんですけどね…

だったら、積みゲーの中から、いよいよ【世界樹の迷宮】を解き放つ時が来たかなっとも思ったんですが、気分はウィズなんですよ。

世界樹の迷宮は3DダンジョンRPGという括りで言うなら、ウィズに近しい作品とも言えるんですが、内容というか楽しませる方向性がウィズと全く違うでしょ。

ウィズってのは、キャラの育成も楽しいですが、基本はシビアな結果に挑む緊張感と、それを克服する達成感が面白さの核だと思うんです。

幾らレベルを上げても気を抜いたり、無謀な行動を軽率にしてしまったら一瞬でキャラロストじゃないですか。そうならないように慎重に行動する上でのドキドキ感。あれがウィズの真骨頂かなっと。

でも、世界樹の迷宮は3Dダンジョンという表向きの点でウィズを匂わせたりもしてますけど、内容はキャラのスキル育成とトレハンの摩擦のなかで存在する正解に辿り付くことを核としてるように思うんです。(タッチパネルでのマッピングという遊びは別にして)

職業ごとに複数のスキルツリーが存在するという仕様は、一見すると自由度が高いように感じますけど、実のところ正解が用意されちゃってるでしょ。

使い物にならない職業、使い物にならないスキルを選んでしまうと、それで取り返しがつかないバランスになってるらしいし、それを補う形でトレハンがあるのではなく、正解の育成+トレハンで最強完成という方程式を作っちゃってるんで、実のところ自由度はそれほど高くなく、育成でどうにかなるのか?トレハンでどうにかなるのか?という問いにどっち付かずな印象を受けるんです。

最適な職業、最適なスキルチョイス、最適な武器、防具が揃うのを前提としてる時点で、和製RPGにありがちな予定調和の臭いを感じてしまい、積みゲーのままなんです。

その点、ウィズシリーズはハッキリしてます。職業によっての向き不向き、強さ弱さは当然ありますけど、最強ってのが存在しません。

理論値的に最強を決めたとしても、それをモンスターが平気で上回ってきます。

状態異常でグチャグチャにされてしまえば、アッサリ死んじゃう。

随分レベルも上がったし、弱いモンスターのところで小金でも稼ぐかなっと、余裕ぶっこいて無警戒にダンジョンを徘徊してると、あっさり足元掬われるなんてことも珍しくないですし。

そういうシビアな所を楽しむのがウィズなので、気分がウィズになってるのに、世界樹の迷宮という流れでは決着が付きません。

そこで、選んだのがエルミナージュだったわけです。

内容というかシステムはまんまウィズです。しかし、ウィズの看板を掲げた作品だと、それが例え外伝だとしても、ウィズがウィズである為の伝統というか、不親切でぶっきらぼうな所がウィズだ!みたいな拘りがファンに求められちゃったりするんで、中々一般受けする作品にならないんですよ。

これは非常に誤解を招く表現かと思いますけど、ウィズのファンがゲーマーの中で一番達が悪いとcocは思ってるんです。

シンプルで骨太で不親切な作りでこそ、ウィズだ!みたいな事を平気で提唱したりするんです。

その結果がシリーズの衰退という悲惨な結果として出ているのに、ウィズの欠点を欠点と認めず、それが伝統だとか、本格派だと言い放ってシリーズの進化の足枷になっちゃってると思うんです。

例えば、どのウィズでも最初に行うのがキャラ作成です。例のボーナスポイントのリロード祭りですね。

ただ、どのウィズも種族を選んで、ボーナスポイントのダイス振って、そのボーナスを各ステータスに振り分けていく過程で、どの職業に付けるかを知ることになります。(初心者はまずここで躓く。どのステータスにどれだけ振ればどの職業になれるのか判らない為)

しかし、エルミナージュは、最初に全ての職業が選択肢に出ていて、職業にカーソルを合せると、その職業になる為に必要な各ステータスの数値が表示されるんです。

あとはその成りたい職業に成る為に必要なボーナスが出るまでリロードすればいいわけです。

ほんの些細なことだけど、こういうユーザーフレンドリーな改良というのは現代のゲームでは当たり前だし、有って然るべき配慮だと思うんです。

しかし、これを本家のウィズでやってしまうと、必ず文句が出るんです。振り得たボーナスでどの職業に付けるか、侍になるにはどのステータスに幾つ振れば良いのかという試行錯誤の楽しみを奪うなっとねw

わかるんです。そういう文句の意味も。ただ、もうそういうビデオゲームのロールプレイングゲームがテーブルトークロールプレイングゲームの発展型であるという不問律がど真中にあった時代ではないのですから、ビデオゲームの進化に合せてゲームのシステムもそれに追随すべき点は追随すべきだと思うのです。

伝統も進化を拒否すれば、荒廃を待つのみとなってしまいますし。

事実、ウィズ本家の散々な有様を見れば、それが現実となってる証拠となるでしょう。

そんな荒廃しきったウィズの看板を版権保有会社の変更というのをキッカケに降したスターフィッシュが、今の時代に溶け込む事を意識しつつ作り上げた和製ウィザードリーがエルミナージュです(cocはそう感じたました)

先にも書いたキャラ作成時の配慮以外にも、DSという携帯機という特性を考慮して、オートマップがいつでも確認できるようにしてあったり、酒場と訓練所の操作周りの改善や、アイテムプロパティの改善など、細かいところでウィズの持つ敷居の高さととっつき難さをカバーしようという努力が見て取れます。

しかし、難易度は極端に下げず、ウィズ特有のあの緊張感に満ちたダンジョン探索は健在で、油断すれば一気に全滅してしまうシビアさも残してあります。

キャラ育成に関してもシンプルで、パラメーターの最高値は各種族の初期値から+10に設定してあるそうで、そこに到達すれば後はトレハンで強化していくというシンプルな強化の方向性が確立されており、キャラを育成するのに攻略本やデータ本などが必要になるという煩わしさはありません。(個人的には+30くらいを最高値にしたほうが良かった気がしますが…)

そして、シナリオもストーリーにガチガチに縛るのではなく、最初のダンジョン探索の目的こそ提示され、それに縛られますが、それをクリアすると全てのエリア、全てのダンジョンが解放されます。

あとは好きなところいって、好きなクエスト見つけて、冒険してくださいっというフリースタイルですから、やらされてる感に興醒めすることもありません。

一応、メインシナリオとして、5つの指輪を集めるのが目的ですけど、それに無理やり軌道修正させようというヒントの巻き散らかしもなく、それこそあちこち冒険しながら在り処を自分で探すような遊び方を無言の推奨としてる点は高評価できます。

時代に合せて手を加えるべきところは改良し、ウィズとして失ってはいけない物は堅守していう姿勢が感じ取れる作品です。

あと、いつでもどこでもセーブできるんですw

ウィズの流れを暗に踏襲してるのに、それはダメだろ!っと言われるかもしれませんが、やはりそこは携帯機。何時間もどっぷり遊べる環境で起動する機会は少ないですから、ちょっとした空き時間にダンジョンのマップ埋めを少し進めてはセーブ、扉三枚開いてはセーブという、文庫本的なペースで遊べるようにしてあるのは好印象です。

ま、とにかく結論を言いますと。気軽にウィズを遊びたい。攻略本やデータ本の類を広げて、じっくり腰を据えて…ってのはちょっと…って気分の方には自信を持ってオススメできる傑作です。

逆に、本気モードでガッツリ手応えのあるRPGを遊びたい。ウィズマニアだ!文句あるかっ!リセット技なんて銃を突きつけられてもやるもんか!それが本当のウィズ道だ!なんて方には向いてません。普通に大人しくウィズ1~3を遊びなおしてくださいと言わざる負えませんw

あ、それとウィズって難しそう。ウィズって何かよくわかんないんだよねぇって人のウィズ入門作としても強くオススメできますね。

自由なパーティ構成、シビアな戦闘、必ず原因が自分にあるキャラロスト時の言葉に出来ない絶望感など、ウィズの面白さを非常に判り易い形で入っていける良作ですね。

機会があれば是非ともプレイして頂きたいです。


さて、最後にcocさんの進行状況を書いておきます。

スタートパーティは以下の6人。
(種族/職業/性別/性格/ボーナスポイント)

・ドワーフ/侍/男/中立/28
・ドラゴニュート/君主/女/善/33
・ドワーフ/神女/女/中立/26
・ホビット/盗賊/男/中立/24
・エルフ/司教/女/善/26
・エルフ/錬金術師/女/善/22

プレイ時間は約15時間で、現在の平均LVは11。

クエストは最初のクエストを終了し、行く必要は無かったようですけど、そのクエストで潜ったダンジョンの最深部(B2F)まで一応制覇したところです。(クエストでは1Fだけの探索で終了する)

今後は各地方に出向いてクエストを探して、手ごろなクエストから冒険していきます。

でも、その前にセカンドパーティを作って、LV上げしようかなっとも。

やっぱメインパーティだけでこのまま進めるのは怖いですしね。(全滅→死体回収→ロストへの事前準備)

一応セカンドパーティの構想は考えてあります。

またボーナスリロードフィスティバル開始かな…w


っとまぁ、そんなわけで、通勤と休憩時間の友として長く付き合える作品と出会えて幸せな気分のcocさんなのでした。

それでは今回はこれにて。



*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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