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乙女のアニメ独り言 Vol.88 宇宙戦艦ヤマト

約一ヶ月前に、HDの残量を増やし、勇んでレンタルしてきてダビングした宇宙戦艦ヤマトですが、実はあまり鑑賞が進んでいません…

なんかね、一応SFものじゃないですか。つーかSF物として見てしまうんですよ。するとね、余りもテキトーというか、放送当時にアニメブームの先駆けとしてガンダムと並んで称されたヤマトが何故にこうも廃れたかの理由が、今回改めて1から観なおして判りました。

別にガンダムが完璧だった。突っ込むべき粗は皆無だなどとは言いません。しかし、なるべく当たり前の事を当たり前に描いていたと思うんです。所詮はアニメは子供に向けて作られるものという固定観念は制作の現場や配給関連、スポンサー関連には色濃く存在していたでしょうけど、そこに声高に反旗を翻すのではなく、子供を相手にはしますけど、子供って案外バカじゃないですよっというスタンスで作られてる節がガンダムには多々見受けられました。

それこそ、ガンダムは無敵ロボットなんかではなく、ただの兵器ですから、操縦する者の錬度によって兵器としての効果は随分と変化するし、壊れもする。補給もしなければ動かない。そういう当たり前の事を当たり前に描きつつ、子供にも判りやすくする工夫を施していました。

勧善懲悪という御約束から逸れたのも当時としては異例でしょう。

そして、SFとして矛盾を極力押さえ、空想科学をベースにした未来像というのが、いちいち説得力があったのもガンダムが長年愛された要因の1つでしょう。

しかし、ヤマトを観るにあたって痛烈に感じたのは、子供をバカにした上での子供向けな作風のテキトーさ加減ですね。

あと、著作権のことで揉めたりもしてましたけど、TVシリーズの一作目の監督は松本零士さんが勤めてますから、あえて松本さんに対しての評価として書かせてもらいますけど、ヤマトって凡人が凡才の範疇で描いた凡作にしか見えません…。

世界観設定というか、未来の物語を空想科学をベースに作られてるんですが、発想の到達点があまりにも凡人過ぎて、見ていて恥かしくなってしまいます。

SF考証も無茶苦茶ですし…。

例えば、ヤマトがとある惑星に到着するんです。そこはマイナス200度の世界とかなんとか言ってるわけです。なのにヤマトのクルーは、ペラペラの海兵の制服に非密閉型のバイザーが付いてるだけのヘルメットだけ被って船外に出て行動しだすんです。

大気成分はどうなってんだよ!マイナス200度はどこいったんだ!っと。

つーか、そんなにスンナリとその惑星の中で特殊兵装もせずに行動できるんなら、すんげーー遠いイスカンダルまで放射能除去装置を取りに行かなくても、その平気に歩きまわれてるその星に地球人移住させてしまえばOKじゃん。

それに、その寒い星は氷で覆われてるんですよ。で、氷の下にガミラス星人の基地があるんです。で、その基地の司令がヤマトを新兵器のレーザー砲か何かで撃沈しようと行動にでるのです。(威力は小惑星を木っ端微塵に吹き飛ばしたヤマトの波動砲より上らしいです)

で、そのレーザーは反射装置を使う事で、自由自在に着弾座標を調整できるそうなんです。

レーザー撃つ→空中に何故か浮いたまま設置されてる反射衛星に当たる→反射衛星の反射装置の反射板に跳ね返されたレーザーが射軸を変化させて放たれていくってスンポーです。この反射装置を幾つも経由させることで、基地の裏側に隠れてるヤマトを破壊しようというわけです。

自艦最大の兵装である波動砲より威力に勝るレーザーを何発か直撃を受けてからヤマトは回避作戦に行動を開始します。数発の直撃を受けてる時点で撃沈してるはずなんですが…(なにせ威力は波動砲以上なんですから)

でも、なんとなく撃沈しないヤマトは反射衛星が動き出すのを合図に海面に潜るという行動に出ます。マイナス200度以上で海などは凍りついて潜れるはずはないのですが、何故かヤマトが空中停泊してる真下に海があります。なぜでしょう?

でもそこは敢えてスルーしときます。で、次のレーザーが発射されます。レーザーの発射口は氷の下に隠されて存在する基地の中にあります。レーザーが放たれると、そのレーザーは氷を一瞬で溶かし、その厚さ何キロもあるような氷を突き破って飛び出てきます。レーザーが溶かした氷は一瞬液状化するのですが、なにせマイナス200度以上ですから直ぐに凍り付いて、基地の存在を覆い隠す厚い氷の壁に戻ります。納得です。

で、レーザーは反射衛星にグイグイとその斜線を伸ばし、反射板に着弾して射軸が変化させます。

「今だ!」レーダーか何かで反射衛星の様子を探っていた沖田艦長がヤマト着水、及び潜水の指示を叫びます。

軌道を変化させてヤマトに迫るレーザー。着水から潜水と急ぐヤマト。

間に合うか?っとヒヤヒヤさせるものの、ヤマトは無事に潜水完了。そこにレーザーが打ち込まれますが、海水で威力そのものがなくなったということらしく、ヤマトは事なきを得ます。海水バリアー作戦成功です。

氷を溶かし付き放たれたてきたレーザーが海水でなぜか効力が消されてしまうのです。しかもそもそも存在するはずのない液体の海水という海の中に潜るというナイスな作戦でヤマトは無事に危機を脱っします。

何が何だか意味不明です。実はこの一連の流れの最中にヤマトの攻撃班長の古代はヤマトを下船。密閉も何もされてないハーフフェイス式のヘルメットのバイザーを下ろして、耐寒装備を一切つけることなく、生身でガミラスのレーザー砲の発射基地探索に出かけているのです。

真冬の北海道ですら凍死確定な薄着です。そして雪の中を転げまわって白兵戦など行います。マイナス200度以上です。水分は全て氷結してるはずなのに、雪があります。わけわかりません。

更に別のエピソードでは、宇宙を航行してるヤマトの航路上に未確認浮遊物体が見つかります。ヤマトは一機の偵察機を発進させ調査に向います。

偵察機が謎の浮遊体に近づくと、偵察機は突然分解され、宇宙の塵となってしまいました。

その原因はマグネットウェーブというものらしく、謎の浮遊体はマグネットウェーブを照射しながら、ヤマトを自動追捕するように設定された無人要塞であることが、真田工場長の推測だけで確定します。真田さん凄いです。なんでも御見通しです。

つーことで、マグネットウェーブの照射に堪えられるようにと、ヤマトの工場区間でシームレス戦闘機を製作しましたっと、まるでレンジフードでも温め終えたかのような気軽さで真田工場長は言い放つのです。

このままではヤマトも分解されてしまう。だからあの要塞を早く無力化せねばということで、そのシームレス機で再び要塞へとアタックしようということになります。

レンジフード並に簡単にシームレス機が作れる工場区間をお腹の中に抱えるヤマト自体が何故シームレス設計で作られていないのかの謎には誰も一切触れません。

で、そのシームレス機で古代と真田が要塞へ向います。要塞に取り付き、明らかに継ぎ目だらけでシームレスじゃない宇宙服に身を包んだ2人は何故か分解されずに無事に要塞に侵入します。しかし調査を進めてる最中に真田がキテレツな事を言い出します。

「まて!古代。俺は歩きながらこの通路の作りについて考えていたんだが、それでわかったんだ!この要塞の通路はコンピュータ回路の作りと全く同じなんだ!」っと…。

いくら宇宙に出てるからって、変な電波受信しすぎてるとしか言いようのない真田さんのキテレツ発言に何故か古代はすぐに納得。

コンピューター回路と同じなんだ!って言われても、何のコンピューター回路のことなんでしょう?

未来では全てのコンピューター回路は単一構造なのでしょうか?

そして、余談ですが、ここで突然真田さんが自分の過去を語り出します。小学生の時に月の遊園地に行ったそうです。そして子供なのにジェットロケットに乗りたいと(ジェットコースターみたいなもので、単機エアカーでレーンの上を走りまわるようなアトラクション)言い出し、姉を助手席に乗せて走ってたそうなんです。しかし真田少年は暴走しまくって事故を起こし、レーンから車体が放り出され、更に社内から姉が放り出されて帰らぬ人となってしまったそうです。

どっからどうみても安全性は考えられてない乗り物を子供が運転できるという意味不明な状況に困惑しますが、その回想を終えた後の真田さんの暴言にさらに困惑させられます。

「古代…、だから俺は機械が憎い!使う側の人間が~中略~姉さんを奪った機械が憎い!」

いや、あんたが暴走したからだろうが!っと古代君は言ってくれませんから、観てるこちらは困惑させられたまま置いてけぼりです。

ま、とにかく何かを受信した真田さんは要塞の心臓部にたどり着きます。しかしその心臓部の動力パイプと思しきものが真田達に襲い掛かります。無人のコンピューター制御の要塞内部でまさかの触手プレイ開始です。

で、あっさり捕まる真田さん。手足が拘束され身動きできません。

その脇で気絶してる古代に真田さん叫びます。古代!古代!っと。目を覚ます古代に突然真田さんは「古代!俺の腕と足を切れ!」っと突然のダルマ人間志願をしだします。

まずはその破滅めいた思想から問いただすのが懸命だと思うのですが、古代は「でも、メスがない」などと、キチガイ発言。

いや、メスがあるとかないとかの前にだな…。つーか、どうしてもそういう状況で身体を切るということなら、メスじゃなくてナイフだろ、メスを携帯してる軍人がどこにいんだよ!

そんなマヌケなセリフを吐いた古代に真田節がまた炸裂します。「「メスはいらない(え?そこは引っ掛からずスルーなんだ?w)ビスを外せ!」っと。

あの時(月の遊園地)俺は姉さんを失ったと同時に自分の手足も失った。俺の手足は機械で出来ているっと、またとんでもないカミングアウトをしだすのです。

ビスですか…。たしかマグネットウェーブで継ぎ目のある構造の偵察機は分解されたから、継ぎ目の無いシームレス機をわざわざ作ってやってきたんですよね?

なのに、手足が機械でした。しかもビスで留めてます。って…

まぁ、ヤマトって終始こんな感じなんですよ。

こうして文章にすると、ただの揚げ足取りにしか思えないかもしれませんが、こういう整合性の取れてない設定で物語がゴリ押されていくってのが沢山ありすぎるんです。

先にも書きましたけど、ガンダムにもそういう点はあります。ありますけど、ヤマトみたいに無茶苦茶でありません。

上げればもっと沢山あるんですよ。ヤマトのおかしなところ。その全てが冒頭に書いたように、凡人の凡才による貧しい想像力で描かれたからこその悲劇です。

つまり、地球が地球外知的生命体に攻められ滅亡しかけている、それに対抗すべく宇宙艦隊を率いて地球人は戦っている。そしてとある出来事から光の速度を超えることの出来るエンジンの設計図を手に入れ、14万8千光年先のイスカンダル星に向う宇宙戦艦を建造し、それにはワープ機構と小惑星すら消滅させてしまう程の威力のある波動砲を搭載っという設定の根幹をベースにして、それらを基準にしたテクノロジー考証が成されていないんです。

そんな凄い戦艦作っておいて、映写機を使ってたり。
真空概念や相対性理論を無視しまくったり…。

そういうところが、結局は子供をバカにして作られたと言える証拠なんです。

個人的にあまり言いたくないことですが、当時に於いてこういうSF作品を作るにあたっては、あの屁理屈ばっかりの永遠の中二病疾患者である富野のほうが向いてたんだと思います。

有る程度は理詰めで物事を考え想像できないとSFもの作るのは厳しいですね。

そして、子供を騙して作ってしまった結果が、ガンダムのその後とヤマトのその後を決定付けてると感じます。

子供も時が経てば大人になります。バカにされていたと気付けば、その作品の愛着も薄れてしまうもの。

何故ガンダムが長年指示されているか、ヤマトが何故あのような無様な末路を辿ったか…。

凡人が上辺だけの勢いで誤魔化して、知った風な顔をして作ってしまった報いだっと言ってしまうのは少し言いすぎでしょうか?

とにかく、今回のDVDを観た事で、cocさん的にはヤマトは消えるべくして消えていった作品なんだなってことを再認識させてもらった
次第です。

そして、まだTVシリーズの第一期の途中(DVDでは三巻)までしか見てません。果たして全部観れるかどうかわかりません。あのテキトーさ加減にどこまで我慢できるか…、それ次第って感じです。

つーことで、まだまだ突っ込みたいことは沢山あるんですけど、それは又の機会にってことで、今回はこれにて終了とします。それでは、また次回です。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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