記事一覧

空しさは増すばかり


昼間、仕事してるときは気が紛れてたんですけど、帰宅してテキストエディッタを開いて「さて、何を書こう」なんて考えるとダメでしたね…。

まだ引きずってます…。

気付いたら、ボーーっと三沢さんの試合をtubeで見てる自分が居る。

でも、見ているようで見てないような…。

どの試合を見ても色が抜け落ちてるというか、映像の三沢さんは躍動してるんだけど、それを客観視できないです。

生前はそんなに好きって感じではなかったと思ってたんです。なんか強くて当たり前、若手や同世代の前に立ちはだかっていて当たり前な存在で、その当たり前が当たり前過ぎてそれほど熱狂的に好きだったような感じじゃないと思ってたんですけど、当たり前の存在が当たり前じゃなくなった途端に生まれた喪失感ってのが予想だにしないほど大きくて…。

全日四天王では、川田さん贔屓だったので、三沢さんと川田さんが対戦する試合では三沢さんの事を憎らしく思ってました。

なんでスリーカウント入らないんだ!今ので普通は決まるだろ!って何度も何度も驚かされ、川田さんが三沢さんに負ける度に、三沢さんの強さを思い知らされ、いつしか三沢さんとどこまで戦えるかで、他の選手のプロレスラーとしての力量を測るようになりました。

でも、強かったとは言え、全然負けなかった選手ではありません。小橋さん、川田さんにも負けてるし、力王や森嶋にも負けてる。

言い方は変だけど、定期的に負けてるんです。でも強いという印象はずっと消えないんです。現に負けても強いんです。その理由は彼のプロレスが王道プロレスだったからなんでしょうね。

王道プロレスというのは、相手の技を受けまくって、相手の良さを輝かしきった後に自分が勝つというスタイルで、その戦い方は常にチャンピオンの戦い方とも言えます。タイトルマッチではチャンピオンはチャレンジャーに攻めるだけ攻めさせ、相手の良さを存分に引き出した後に勝つというスタイルがプロレスのチャンピオンの在るべき姿なんです。

三沢さんは常にそういう戦いをしてきたので(川田さんとの試合だけは意地の張り合いになりますけど)見ているこちらとしては、ベルトを保持してようが無かろうが、常にチャンピオンのように感じていたのです。

本当は今日はもう三沢さんのことを書くのはやめようと、昨日のテキストをアップした時に心に決めていたんですが、冒頭で書いたように引きずりまくりです。

その一番の原因は、リングの中で死んじゃったでしょ。そこなんです。

どれほど無念だったろうって考えると…。

よく「リングの上で死ねたら本望」みたいな言葉あるじゃないですか。あれは見栄向上としては美しい言い回しですけど、実際は一番恥かしい死に方です。

だって、プロレスラーは観客が顔を顰めてしまうような大技を食らっても立ち上がることで観客を喜ばせる商売です。

ですから、無事にリングを降りて生きて戻るというのはレスラーとして最低限の使命なんです。

辛い練習も、そうやって無事に戻る為にするわけですから。

受身の天才、レジェンドレスラーと称えられた人がレスラーとして一番恥かしい死に方をしたわけです。言うなればレスラーとして最大の醜態を晒して死んでしまったわけです。それが悔しいんです。悔しかっただろうな。無念だったろうなって、そう思うと悔しくて悔しくて…。

あの世という世界があるなら、馬場さん、鶴田さんの二人に怒鳴られ、ボッコボコにされても尚、延々と説教されてるでしょう。

レスラーなら、死ぬなら…、せめて控え室に戻ってから死ぬべきなんです。(死にたくて死んだんじゃないってことくらい承知の上で書いてます)

最後の試合で受けた技がどうのこうので死んだわけないと思うんです。試合に出れる体調じゃなかったんじゃないかなって思うんです。なのに出てしまったなら、それに心底腹が立つんです。

技を受けて動けなくなって、控え室まで戻ることすら出来ないなんて、どれほど体調悪い状態で試合にでたんだよっと…。

三沢さんなんだから、三沢光晴なんだから、三沢光晴がリングで絶命などというレスラーとして愚の骨頂みたいな死に方は絶対にしちゃだめなんです。

でも、その一番最悪な死を引き込んでしまった三沢さんに何が起きていたのか…。

しかし、それが明かされることはないでしょう。

具体的な死因についても家族にしか知らされてないようですし。

とにかく、ただただ悔しい気持ちで一杯です。数多くの栄光を掴んできた偉大なレスラーが、レスラーとして最も恥辱に満ちた観衆監視の元で死んでしまうという、あまりも無慈悲で残酷過ぎる最後だった彼の悔しさを思うと居た堪れなくなります。

あの試合、この試合。TVの前で、試合会場でその戦いぶりに心から感動し、身体が震えるほど興奮したあの日の思い出も、何か全ての色が抜け落ちて空しくも思えてしまいます。

そんな色が抜け落ちてしまった試合でも、cocの思い出の中で強く残ってる試合の内の1試合の動画を埋め込んで、この空しい夜を終えるとします。

以下の動画は、1997年6月6日。日本武道館行われた三冠ヘビー級タイトルマッチ。三沢光晴対川田利明の試合です。この試合は会場に見に行ってました。あの日のこの試合の素晴らしさは変わることなく残っていくんですよね。それが今は悲しくもあるんですが…。











*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

トラックバック一覧

コメント一覧