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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.84 据え置き機の未来 前編

据え置き型のコンソール及び、そこに提供されてるコンテンツタイトルが売れないという状況になってから久しいですが、その理由に携帯機が売れているからというのは周知のことなんですが、結局のところ何故に携帯機が売れてるのかっという理由が据え置き型コンソールの今現在抱えてる問題の回答だったりします。

cocはこの現状の原因は2000年辺りから芽吹いてたと思ってます。

以前にも違った題材で取り上げたことがあるんですが、家庭用ゲーム機向けタイトルの進化の過程において、2000年当たりに大きな間違いを犯してしまってるのです。

家庭用向けビデオゲーム。つまりTVゲームの出発点は世間一般の周知という意味で言うなら、ファミコンであることは疑う余地のない事実です。そのファミコンからスーパーファミコンへと進化し、チープな2Dの世界からグラフィカルな2Dの世界へと進化し、1994年のセガサターン、プレイステーションの登場で、空間で遊べるようになった3Dへとゲームは進化していきました。ここまでの段階までは良かった。

しかし、3D以降の進化が中々進みませんでした。より緻密なテクスチャーを貼り、より滑らかに動くポリゴンへとグラフィック面での正常な技術進歩は行われていたのですが、ゲームが次のステージへと移行する進化というのが見えてきませんでした。

そして、そのまま2000年代に突入し、業界は次のハイインカムのステージをオンラインゲームに定めました。これがマズかった…。

確かにオンラインゲームは素晴らしいジャンルで、コミニュケーションを素材として色々なオンラインゲームが登場しました。ですが、オンラインゲームの殆どは、インターネット回線を使ってLANプレイ、つまりファミコンを真ん中に挟んで友達と2人で遊んでた頃とやってることは同じなわけです。

日本のどこかに住んでる人、世界のどこかの国に住んでる人という、隣人の所在地が隣りの席からグローバルな世界へと尺度は大幅に広がり、その広がった尺度に感動なんかもあったりするのですが、事をゲームの技術面だけに絞って考えれば、2Dから3Dへと進化していたった既存のコンテンツを使って、オンラインで遊んでもらってるだけです。

勿論、オンラインゲームの登場によって、オンラインならではのタイトル。オンラインだから生まれたタイトルという革新的な作品が、僅かではありますが生まれたことは否定しません。

ですが、やはりその僅かな革新的なタイトルのみではゲームの次代を築きあげていくのは無理でした。

そして今です。据え置き型コンソールのタイトルを見てみると、10年前と何が違うのでしょう?

確かにグラフィック面は向上しました。しかし、その向上の方向性は平行線と言えるのではないでしょうか。より微細なテクスチャーが貼り付けられ、より高度な物理演算エンジンで微細な動きまで再現してあるだけで、結局3Dゲームが普及した頃と中身は殆ど同じということになってます。

そして、携帯ゲーム機はエレクトロニクスの進歩という追い風に乗って、非常に高性能な端末になっています。具体的に言えば、微細なテクスチャーは貼れずとも、美麗なテクスチャーは貼れる。高度な物理演算は出来なくとも、滑らかな動きで3Dを表現できるのです。

つまり、見た目。言い方を変えれば装飾の規模のみが違うだけで、据え置き型と携帯機の中で動くゲームに差がなくなってるのです。

据え置き型コンソールを家庭用ゲーム機の主流だとした場合、その主流がオンラインゲームという既存のコンテンツを焼き回して、ネットワークに対応させたりといった鈍い動きをしてる間に、携帯機に詰め込めるテクノロジーが追い付いてきてしまったわけです。

そして、ゲーム市場での"売れる" "売れない"を左右してるのがライトユーザーとかホワイトユーザーとかカジュアルゲーマーとかと表現されている"一般"の"大衆"層が買ってくれるか否かです。

そういう一般層にしてみれば、据え置き機と携帯機の表面的なスペックの差が感じられない(一般層にとって具体的且つ詳細なテクノロジーは度外視されている)現状では、TVを占有せずに気軽に遊べる携帯機でゲームは十分だと思われてしまってるのです。

価格的にも割高な据え置き型をわざわざ買わずとも、比較的安価なDSやPSPでゲームは事足りると見られているのです。

そう見られてしまうくらい据え置き型のゲームは進化してないのです。そういう下地が出来上がってしまってますから、アクが薄く親しみ安い系統の流行のソフトを買っていた層はDSの実用系ソフトや大衆受けするDSの話題作に流れ、ゲーム然としたタイトルを好む中高生はPSPに流れたのです。

携帯機で十分だと判断されて携帯機を買われてしまった状況で、その携帯機では楽しめない。据え置き型のこのハードじゃなきゃ実現できない"遊び"があるという事を、オンラインゲームという技術の並行移動で怠けてしまっていた据え置き機勢は示せないのです。

そして、寧ろ今では携帯機だから出来る遊び、そういった方面に注目が集まり、据え置き機は"出来ない子"扱いを受けているのです。

持ち運べない。手軽にどこでも遊べない。止めたいと時にすぐ止められない等など…。

そして、何よりも明確な現象として、携帯ゲーム機はパーソナルツールになっているのです。自分専用のゲーム機で、いつでも任意で自分専用の端末で自分専用の時間の中で自分優先で楽しめる端末になっているのです。

それは、携帯電話と据え置き型電話の差に似ているかもしれません。据え置き型ゲーム機で遊ぶ場合、モニターが別途必要になってきます。家族持ちの大人なら、TVをゲームに占有させる機会はなかなか生まれませんし、未成年なら幾ら自分の部屋にTVがあるとしても両親の目があるので、それほど好き勝手に遊べません。

しかし、携帯機なら外に持ち出してしまえば、身内の干渉を気にせずに遊べます。自宅の電話では長電話もしずいらい、話す相手と話の内容によっては家族に聞かれたくない。なら携帯電話だ。自分専用の電話だから、いつでも自由に使える。気兼ね要らない。そういった部分で共通しているのかもしれません。

そして、電話はいつしか携帯電話の方が多機能になり便利なってしまった。ゲーム機もその道筋を歩みかけているのではないでしょうか?

少なくとも、現状の据え置き型ハードの技術の使い方に大きな変化がなければ、携帯機が優勢な状況は続くでしょう。

例えばモンハンのPSP版がバカ売れしているのに、Wiiの3がそれほど売れなかったのもソコに関係してるでしょう。

自宅でTVに繋いで、ネットに繋ぎ、しかもプレイ料金が必要で、更に親の目を気にしながら遊ばないといけない環境と、PSPとソフトさえあれば、友人と外出先で集まり、無料でプレイできて、親の目からも逃れられる。学生ならどっちを選ぶかは…愚問ですね。

しかも、携帯機のモンハンと据え置き型のモンハンを比べてもゲーム的に殆ど差がないのですから…。

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前編はここまで。次回の後半に続きます。

それでは、次回も是非に。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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