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乙女日記 Vol.2033 亀ちゃんが…

ニュースサイトを巡回していたら、思わず「え!?」っと声を上げてしまいました。

亀山房代さんが心室細動の為に急死されたそうです…

関西圏ではない人には馴染みが薄いと思いますが、彼女は吉本興業に所属する芸人さんで、俗にいうダウンタウンジェネレーションな時代に若手として頭角を現し、年齢に似合わない古典的な芸風が功を奏し、ダウンタン、ハイヒール、130R、オールディーズ、ボブキャッツといった、80年代の中期から台頭してきて人気を得ていた若手の脱古典的なスタイルと妙に噛み合い、誰と絡んでも安定した力を出せるという強みで、NSC(吉本興業の育成所)創設周辺期の卒業芸人らが出演する番組には大抵呼ばれいた、所謂ダウンタウン世代の名バイプレーヤーでした。

漫才ブームが終焉し、暫くの間続いた演芸氷河期から、お笑い第三世代として関西で頭角を現したのは、ダウンタウン、ハイヒール、トミーズの三組でした。ハイヒールとトミーズの芸風は漫才ブームの臭いを残しつつの浪速漫才の王道というスタイルでしたが、ダウンタウンは活動最初期こそ漫才ブームで確立した感のある、【間】をとことん縮め、速いテンポで喋り捲り、その勢いで笑わせるというスタイルを行ってましたが、デビュー3年目くらいからスタイルを一新、【間】を排除するのではなく、演目のなかで笑いに繋げられる範囲の限界まで【間】を長く使うスタイルに切り替え、フレーズで笑わせるのではなく、【間】で笑わすようになっていました。

この【間】で笑わすというのは、古典中の古典の手法ではあるのですが、彼らの作る間には、約束事が見え隠れする落語の【間】とは違い。その【間】で笑える、いや、笑うためのヒントをネタ中に散りばめて、さぁ、この【間】はどうや?面白いやろ?っという 感じで観客にオチを投げ掛ける手法を取ったことで【斬新】と評されるようになり人気があがったのですが、実際は斬新でもなんでもなく、古典を彼らなりにブラッシュアップしただけです。しかし、世間では彼らの笑いが新しいと認知され、【若手の新しい笑い】という触れ込みに踊ってみせることで、彼らはその勢いの手綱を握ることに成功したのです。

で、そういった【若手の新しい笑い】が関西のお笑い番組を席巻していた時に現れたのが、年の割りにおばさん臭く、しゃべりも一昔前の古典的な演芸人みたいな色合いで立ち回る亀山房代さんでした。

【若手の新しい笑い】で盛り上がってる最中です。若い女の子がワーキャーと劇場でア騒いでるときです。

今で例えるなら【はんにゃ】にワーキャーっと群がってるところに、浅草の古典的な空気を醸し出した女の子が横に登場するような感じで現れたのが彼女でした。

本来なら噛み合わないはずでしたが、その頃の若手の括りの中では最年少クラスに近かったにも関わらず、彼女が入るだけで番組の安定感が抜群に上がったのです。

もう少し具体的な言い方をすると、悪ふざけをしてる(正確には悪ふざけをしてみせている)連中を見守り、それ以上はダメという境界線の引き役でもあり、ブレーキのタイミングを任せられる存在だったわけです。

そんな彼女は、そういった芸風から、どの世代の芸人さんとも絡みやすく、中堅、大御所たちの番組にも頻繁に呼ばれ、派手さは無いものの、その安定した芸風は関西ではとても重用された存在だったのです。

そんな彼女が突然死です。死因は心室細動ということですが、これはつまり、心臓がこむら返りをしてしまう状態で、起きてしまえばどうしようもありません。

まだ、42歳で、ママさん芸人としてこれからも活躍は望めただろうし、知性的な分野にも長けていて、真剣な議論などを繰り広げるお堅い番組のコメンテーターとしても活躍されてただけに、訃報には残念でなりません。

ご冥福をお祈り致します。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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