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乙女のらぶらぶサッカー Vol.115 テストマッチとしては非常に有意義な試合でしたね

コートジボワールを相手に行った、W杯本大会前としては最後の強化調整試合。スコアは全く意味を成さないので、勝った負けたについては言及しません。

問題は実施した各種のテストです。

スタメンはイングランド戦と面子は一緒。フォーメーションでは、今野と長友が左右を入れ替わってました。

これは、対戦相手のサイドバックの性質に合わせた変更で、コレについてはそこそこ上手く行ってたと思います。

次は岡崎を1トップにして、本田を1.5列目のような形で使い、大久保が左サイドの起点となるという、アタッカー陣を散らした上でのワイド攻撃ですが、これについては完全に不合格でしたね。

動きという意味においては大久保の左サイドは結構良かったです。フリーになってくれる場面も多かったですし。しかし、せっかく大久保がマークを外して、フリーになってても、ボールが大久保に供給されない。なのでTV中継的に大久保は活躍してないように見えたかもしれませんが(中継ではどうしてもボールをカメラが追うので)、スタメンの中では3本の指に入れてもいいくらい、出来は良かったです。

しかし、その大久保にボールが供給されない。供給すべき本田が余りにも自由に動きすぎて、自分で勝手に孤立してる場面が目立ってました。

彼は日本代表でプレイしてるという事が判ってるんでしょうか?

CKモスクワでプレイしてるときなら、周りのレベルも高いから、あぁいう動きでもボールは繋がるのかもしれませんが、日本代表は結局のところ日本の代表なんです。

欧州クラブに所属してる選手が居るとはいえ、やはりチームとしては弱い、そして下手なチームなんですから、その中に入ってプレーする場合の動き方ってのは考慮しないとダメですね。そういった意味では年齢の割りに精神年齢は幼いなぁっという印象を受けます。

後半になって、俊輔、憲剛、稲本を入れ、本田、阿部、遠藤を下げた直後は俊輔と憲剛と長谷部の連動で、パス回しが上手く機能するようになったことで、ダイレクトプレーも増えましたし、両サイドの飛び出しなども誘発して、日本らしい形を作れたかのように思えました。

思えたんですが、どうやら、俊輔の足首はホントにもう使い物にならないようですね。出場から僅か10分程度で動きが鈍り、トラップミスも連発するようになり、折角ショートパスと連動性を軸に機能した中盤が一気に死にました。

やがて、前半から、ズバ抜けた身体能力も持つコートジボワールの選手のチェックに追われていた長谷部のスタミナが切れ、足が止まってしまってからは、俊輔のミスをカバーする選手が不在となり、ガタガタの中盤となってしましました。

それ以外では、前半ではポストプレイを課せられ続けた岡崎は自分の持ち味とは正反対の役目に、光る場面を作れないままでしたし、後半に玉田と交替させられ、変わって入った玉田はポストプレイが役目でなく、アタッカーだったという点が不可解でしたね。

正直なところ、1トップフォーメーションは日本には無理です。無理な理由は2つ。1トップで前線に張って、ポストプレイで競り合いを制するフィジカルパワーに秀でたFWが居ない。そして、1トップで張ってるFWの動きに連動してフォローや相手ディフェンスに飛び込める選手が居ないからです。

仮に、どうしても1トップをやるというのであれば、矢野を使うべきでしょう。個人的に矢野を使っても意味はないと思いますが、何故に矢野が代表に選ばれてるかを考えれば、高身長でボディコンタクトに強く、ポストプレイを得意としてる選手だからなんです。

なのに、彼を1トップフォーメーションで使わないなら、召集した意味が全くありません。

で、相手DFの裏のスペースに走りこんで、泥臭く体ごとゴールネットに飛び込んでいくようなプレイが持ち味の岡崎に1トップフォーメーションのポストプレイFWをやらせてる。明らかに非適材非適所ですね。

そして、大会を目前に控えて、中盤が崩壊してる現状は悲惨です。

本田と俊輔の同時期用は最悪なマッチングですし、本田と俊輔を分けて起用しようにも、本田は連携を軽視して、中盤のバランスを壊してしまう。俊輔は連携こそ重視するがコンディションが最悪で並以下のプレイしか出来ずに中盤の機能が停止してしまう。

こういった状況になってしまった以上、チームを立て直すには、本田をチームとして活かせる方向性を考えるべきですね。俊輔の足が使い物にならない以上、いくら彼に頼ろうとしても無駄です。スペインへ移籍する前から患ってる足首が現時点で治ってないのですから、相当悪いというのは確実でしょう。

恐らく、疲労と酷使で生じた不要な軟骨が深刻な規模で足首の稼動を妨げているんじゃないでしょうか。ここまで長期化して完治しないということは、薬で散らせないほどの軟骨が邪魔してるとしか…。なので、メスを入れなければどうにもならない状態なのではないかと思います。無論、推測ですけどね。

で、cocとしては足首が使い物にならない俊輔は短時間のスーパーサブ的な起用方法へと切り替え、中盤は本田と松井を組ませてみるのが現状ではベストなのではないかと思います。

つまり、中盤は、大久保、本田、松井の並びで2列目を形成し、その後方に長谷部と遠藤を置くわけです。(1トップフォーメーションの場合ですが)

で、松井を入れることによって、右サイドバックの負担は随分軽減されますしね。

とにかく、俊輔が使い物にならないという現実に苦悩したり途方に暮れたりしてる暇はないわけです。その現実を受け入れた上で最善の対策をするのが監督の仕事です。

さて、今回のコートジボワール戦では、今野が内側じん帯損傷という怪我に見舞われました。ユーティリティな能力を買われて召集された選手が、最初に潰れてしまうというのは予想外の落とし穴でしたね。右も左も真ん中もボランチも守れるキープレイヤーを本番目前で失う事になってしまったのは、非常にキツイです。

まぁ、コートジボワールも、ドログバが右手を骨折するという負傷を負い、こちらが今野の怪我を嘆いてる以上に、深刻な状態になってるでしょうから、あまり被害者風を吹かしてアレコレ言えませんけど…。何せ、世界屈指のストライカーと、東アジアの端っこの弱小島国の便利屋DFとでは、負傷といっても格が違いすぎますしね(今野にはホントに失礼な表現ですが…)

そんな中、日本代表で唯一の好材料は、代表メンバーの23人が発表された時点で、二番手GKという立場での召集であることが大勢の周知の事実として見られていた、川島の覚醒です。

前々戦の強化試合、対韓国戦でしくじった楢崎に替わり、前戦のイングランドと行った強化試合でスタメンに抜擢され、好セーブを連発した川島の覚醒は、今の日本代表にとって、もしかしたら一番重要な出来事かもしれません。

長らく、日本代表のGKは川口と楢崎が努めてきました。時期によって好調、不調の差があった為、正GKは彼ら2人の間で何度も移動してましたが、この両名のライバルが日本のゴールを長らく守ってきたのです。

そして、川口は昨年の怪我による離脱で代表から離れており、クラブにおいての実戦復帰も果たしてないない時期に、岡田さんは第三GKという立場で彼を招集しました。

以前にも書きましたが、第3GKというのはベテランが起用されるのがセオリーです。何故なら、第3GKが出場を余儀なくされるという状況においては、チームが大混乱を起している可能性が高いからです。

W杯本大会では、出場国は最低でも必ず3試合行います。その3試合の中で、第3GKが出場することになるということは、正GKが急病か怪我、レッドカードで退場し、2NDGKも同様に怪我やレットカードで出場出来なくなってるということです。

そして、サッカーにおいて、GKとは守備の要です。GKはゴールマウスの前に立って、飛んで来たボールに反応して飛ぶだけが仕事ではありません。

ディフェンスラインの上げ下げ、ディフェダーのポジショニングの指示、ペナルティエリアまで相手チームの選手がボールを持って侵入してきた際にDFに咄嗟の指示を出し、スライディングで潰せ!や、シュートコースを塞げなどの指示を行い、守備組織を統括する役目があります。

GKの好、不調は守備陣営全体に影響を及ぼします。

ですから、本人はともかく、周りの空気から、自分が楢崎の二番手であるということは意識していただろうし、そうあってたまるか!と奮起していた部分もあるでしょうけど、実際に出場のチャンスを貰い、そこで獅子奮迅の活躍をしたことで、川島のモチベーションは現時点でチーム一番の状態にまでなっているでしょう。

目の前に立ちふさがる大ベテランの壁。それを超えたいと思ってはいるものの、現実は楢崎の控え。そういう状況だった彼がここにきて覚醒したのは、チームの士気上昇という意味において非常に大きな出来事です。

そのわりに、守備陣はイングランド戦、コートジボワール戦の2戦で合計3回のオウンゴールを記録してしまってるのですが、これは正直不運だったと言わざる終えません。

イングランド線の2オウンゴール、あれは記録上ではオウンゴールとなってしまいますが、あれはハッキリいってイングランドに崩されてしまい、どうにもならない玉際のギリギリのところで触れることができたけど、結局は崩されきってるから、届ききらずにあぁいう結果になったのです。

ですので、あれはイングランドの崩しに負けたということですので、守備組織が自滅したということではありません。

コートジボアールのオウンゴールに関しては不運でした。あれは不運を大前提とした典型的なオウンゴールなので、何も引きずる必要はありません。

で、話を戻しますが、イングランド戦では崩された結果でしたが、イングランド相手に、ディフェンスラインは崩されはしましたが、相手にフィニュッシュ、つまりシュートですね、そのシュートを撃たせて得点されるということは防いだわけです。防いだけど、防いだ結果が崩されきってたことで、オウンゴールになってしまった。

そう考えられないでしょうか?

あのイングランド相手に、シュートで決められた得点は0ですよ。上出来じゃないですかw

しかも、守備の要はあの試合まで出場機会に恵まれてなかった川島が勤めてたんですし。

いや、別に日本代表は強いぞ、しぶといぞ!って擁護するつもりはないんです。むしろ弱いぞと叫びたい側です。

しかし、日本はグループリーグを突破する僅かな可能性の鍵を握るのは、あの川島かもしれませんよっと言いたいわけです。

そして、どう見ても、今の代表で一番モチベーションが高く、光を放ってるのは川島です。彼を凌ぐ勢いをもってる選手は存在しません。

そんな選手を。岡田監督は本大会でどうするのか。それが色んな意味で興味深いです。

もし、初戦のカメルーン戦で川島を起用しなかった場合、岡田さんは今後二度とサッカーの監督はやっちゃダメな人だと思いますw

現戦力を冷静に分析すれば、いかに世界との力の差があるかは明白。では、その差を少しでも埋めるにはどうするべきかっと問うた場合、勢いのある選手を起用すると言う答えは、普通なら容易に出るはずです。

そんな簡単な判断さえも出来なければ、指導者の資質は腐りきって消え失せたと判断して良いでしょう。

現代表で唯一の光である川島。彼がもしかしたらこの代表を救う、本当の意味での守護神になれるかもしれません。そういった意味では、全く見所もなかった日本のグループリーグの3戦に関して、ようやく期待の欠片を託せる存在が現れたのです。

せめて一勝だけでも!という願いを託せるかもしれません。

開幕前に、そう思えるようにしてくれただけでも、川島には有難うと言いたいです。彼のお陰で日本戦を観戦する意義が生まれました。

つーことで、今回は長くなってしまいましたが、開幕前の最後の強化試合としては、俊輔がダメなこと、本田の使い方も今のままではダメなこと、岡崎にポストプレイをさせては彼の良さを何一つだせないこと、川島が好調をキープしていることなど、沢山のことが確認できたので、非常に収穫が多かった試合だと言えるでしょう。

今野という損失もありましたが…。

ま、とにかく問題点と収穫は明確でしたし、これを地元開催以外のW杯での初の一勝に繋げられるように、岡田さんにはシッカリ仕事してもらいましょう。

では、今回はこれにて。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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