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乙女日記 Vol.2113 残念です…


先日、【パーフェクトブルー】や【千年女優】【パプリカ】などの作品の監督で知られる【今敏】氏が膵臓癌の為に去る8月24日に死去されたそうです。

非常に残念でなりません。アニメーションの映像技術という部分だけを特化させて、映像クリエイターとしての自己満足に終わるような傲慢さを押し売りぜずに、映画としての落し所を絶妙に心得てらっしゃる監督さんだってので、個人的に物凄く期待を寄せてた方でした。

まだ46歳だったそうで…、これからいよいよ成熟していって、傑作を多く輩出していけるという歳ですよね…。非常に悔やまれます。

しかし、彼のブログに、死亡した翌日の日付でアップされている、公に向けての遺書を拝読させてもらったのですが、アニメーション監督としてだけでなく、人間としても尊敬出来る人だったんだということを今更ながら知り、奇妙な感嘆に心が揺れています。

誰だって、病に蝕まれて死を迎えるのは無念です。満足して死を迎えるなんて、逝く側にとっては最期の虚勢だし、送る側としては勝手なこじ付けでしかないと思うんです。

死ぬのが怖い。死ぬのが悔しい。誰もがそう思うことは当然であり、そう思って尚もどう生きるかというのが問題なわけです。

つまり、病死することに満足などする人は居ないでしょうが、彼はその生と病死の最期の狭間の生き方だけに限っては満足出来たのではないかなっと思うのです。

こういう表現は安っぽいし、無責任にも思われるかもしれませんが、私も死ぬならそうありたいなって感じました。

無論、病死という結末を知ることになってからの、僅かな最期の時間に襲ってくる"死"への抵抗、恐怖。そういったものがどれほど想像を絶するものか…っということも含めて、彼の様な死に方をしたいと思うのです。

そして、その公に向けての遺書を読み進めれば進むほど、今敏らしいという印象を受けます。

そういった印象を最期に植え付けさせるのが氏の狙いならば、氏の思惑通りです。流石です。

そして、氏の作風は現実とイマジネーションの融合というものが殆どでした。そういう意味では、氏は現実からイメージの世界に身を移されただけなのかもしれません。

そもそも、この現実がイマジネーションではないとは誰も言い切れないのですから。

ですので、氏に向けての、死去に伴い贈る言葉は「益々のご活躍を期待申し上げます」としたいです。

死後の世界とか、あの世とか、天国とか色々な表現の仕方はありますが、こっち側だけの世界しか存在せず、こっち側から消滅すれば、そこには"無"しか待っていないと、それが真実だ。絶対の真実だと証明出来る人が居ない以上、あっち側の世界が存在してる可能性はあるでしょ。

無いと証明出来ないんだから、有る確率は50%です。そう考えたら、氏の新作を見れる機会も後の将来にあるかもしれません。

その時が来る事を願いつつ、一先ず氏がコチラ側の世界で発表し残していって下さった作品にまた目を通すとします。

それが、俗にこの世界で言うところの、供養になると思いますので…。



*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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