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乙女日記 Vol.2157 100%な勢いで満足できました。

【鋼の錬金術師】最終巻を読み終えました。

良かったです。本当に良かった。

変な終わり方だけは勘弁してほしいと思ってましたけど、そんなことを思ったことが失礼なくらい見事に気持ちよく終わらせてくれてました。

まぁ、振り返って思えば少年漫画の王道とも言える終わらせ方だったわけですけど、cocはこういう王道は嫌いじゃありません。

けど、気になったのが"ニーナ"の件ですね。

あのプロットって、描き手も読み手にも予想外に大きくなってしまったような印象あるんですよ。

確かに、スカーとエルリック兄弟の間に怨恨を生じさせるのには効果的なプロットではあったと思うんです。しかし、やはり少女が犠牲になったという出来事は、1つの出来事して流れていくにはあまりにもインパクト大きくて、あのプロットでハガレンは大きく跳ねたともいえるけど、同時に厄介というか、面倒な荷物を背負い込んでしまったような印象があるんです。

けど、そこをどうにかしてドラゴンボール的に救済してしまうと、作品全体が台無しだし。けど、初期の1つのプロットというだけで放置するには、余りにもインパクトが強すぎる。

言い方は悪いかもしれないけど、あのプロットはハガレンの負の遺産だなって感じがします。

恐らく描き手の荒川先生も、あのプロットがここまで尾を引くとは考えてなかったのではないでしょうか。そして読み手も、こんなにずっと"しこり"が残ってしまうとは、思わなかったはず。

だけど、結局完結して、全ての事柄に決着を付けてもなお、ニーナというワードだけが、宙ぶらりんになってるような気がするんですよね。

だからって、何らかの機会で外伝やエピローグ的な場で彼女が生き返るってのは作品の内容的にマズイ。でも、何かしら救済してあげてほしい…。そんな複雑な心境です。

別に粗を探して突付くつもりはないけど、スカーとロックベル家の因縁が仕込まれてるだけで十分だったんじゃないかなっと思ったりもするんですよ。それだけではスカーというキャラの存在感が薄くなるというなら、少女を犠牲にするという方法以外の手段を用いてほしかったなぁっとね。

でも、繰り返しになりますが、あのプロットでハガレンは溢れかえる少年漫画の群れから飛び出すことが出来たし、作品の中で少年が命というものを考え、苦悩するという流れにも説得力が生まれたのは事実。

だからこその、ダークファンタジーの呼び名なんだと言ってしまえばそれまでなんですけどね…。

ま、取り合えずニーナの件は置いておくとして、最終巻の結末を読んで思った事の中の1つに、一期アニメの結末との繋がりってのがありました。

御存知のように、一期のアニメは後半部分がゴッソリとオリジナルストーリーになり、結末もオリジナルな決着を付けて終わりました。個人的には、そのオリジナルストーリーはアニメ屋が珍しく奇跡を起した傑作だったと思ってるんです。

そして、結末に関しても、一期アニメ製作時において、原作は物語の中盤に差し掛かったばかりでしたから、原作と同様の結末を迎えることは当然無理だったわけです。けれど、有名なエピソードですが、一期アニメ製作時にアニメ製作のスタッフに荒川先生は自身の暖めてるハガレンの結末と、そこに至る大まかなプロットを全部教えちゃったそうでw

で、こういう風な結末にするつもりなんで、コンセプトだけブレなければ、あとはお任せしますっていう風なことになったそうです。

まぁ、アニメ製作に原作者が絡むということ自体珍しい上に、絡むどころか原作の結末をゲロちゃうという大サービスを敢行w

そんな経緯で作られたのが第一期アニメの後半なわけですけど、原作の結末を読み終えれば、なるほどなっと、一期アニメとの共通点というか、結末の落とし所のコンセプトはキッチリ一緒だったことに、驚き半分、感心半分で妙に納得したと同時に、一期アニメの後半部分のオリジナル展開の出発点が見えました。

あの後半のオリジナルストーリー部分は、荒川先生に教えてもらった結末の落とし所に到達するには?っていう感じで、逆算的に作られたシナリオだったわけですね。

どうりで…上手くまとまってたわけだw

原作を読み終えたことで、一期アニメの完成度に感心することになるとは予想外でしたw

さて、話をハガレンの原作の方に戻すとします。

今更言う事でも無いのですが、ハガレンって大好きなんですw

なんで好きか?それを自問してみて思い浮かんだのは2つ。

1つ目は、サブキャラクターの抱負さと、それを活かしきってる点ですね。主要キャラに位置付けできるキャラだけも、10キャラ以上居ますし、その脇を固めるサブキャラクターの多さというのは尋常じゃありません。

なのに、そのキャラ1人1人の設定がキチンと確立していて、個性的なんですよね。あぁいう手法は凄く面倒だと思うんですよ。

現に他の漫画では面倒で使い捨てにされていってしまうキャラは多いですからw

けど、ハガレンは拾う。そのキャラは拾わなくてもいいだろって思うようなキャラでも拾って、個性的な味付けをして存在感を光らせる。そういう、脇役を光らせる作風がcocさんは好きなんです。

2つ目は、少年漫画の王道らしく勧善懲悪なくせに、悪党にも魅力があるという点です。

まぁ、これは1つ目で書いたキャラの設定がシッカリ組まれていて、個性を光らせるところまで磨き上げてるからこそ感じることなんですけど。

特に感心したのはキンブリーですね。原作で彼が吐く最後の一連のセリフ。あの場面でまさかの登場でもあったのに、最後にサラっと悪党然としたままの彼の言葉で吐き捨てた一言に、ゾクゾクしました。

彼がそれまでに登場してきた場面の全てが、あそこで、あの一言(26巻169P)を言わせる為の伏線であったかのように思えるくらい、見事なシーンでした。

こういったように悪党にも魅力的な美学を持たせ、丁寧に個性付けしていってるわりに、悪党は悪党という線引きもブレることなく一貫している。判り易いのに、奥が深い。そういうところが好きです。

検索等で、ここに辿り着いた方で、ハガレンを何となく読まず嫌いな感じでスルーしてる方が居ましたら、是非とも読んで頂きたいです。何せcocの生涯漫画10選を出すとしたら、その中に必ず入ってくる作品ですので、薦めずには居られないのですw

つーことで、まだまだ書き足りない事が沢山あるんですけど、今回は一旦これにて終わるとしまする。

また、明日にでもハガレン関連のアレコレを書くつもりですw

それではまた次回です。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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