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乙女日記 Vol.2185 自分の中の封印が解かれたかのような勢いです。

既に各所で落胆、悲観、激昂。そして色々な揶揄で弄られまくってるガンダムの新作TVシリーズ【ガンダムAGE】の様々な残念さが一気に消し飛ぶニュースが飛び込んできました。

それは、なんと!【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】のアニメ化プロジェクトが公式にアナウンスされたのです。

それは…願望として、それは強く望んでいたものの…、恐らく無理だろうと勝手に色々と理由を付けて諦めていた夢でした。

30余年前に、ガンダムというアニメは世に生まれ、以来数々の続編、派生作品が製作され、今日をもってして、産業にまで発展したガンダムの勢いは目を見張るものがあります。

しかし、時の流れは残酷で。いかに名作であると、別格であると、神格化されてはいるものの、初代ガンダムのアニメ映像は流石に古臭く、近年のアニメ技術に目が慣れてしまってる中で見直せば、やはり粗が目立ちます。

そして、そもそも【機動戦士ガンダム】という作品は未完成というか、志半ばで製作を終えてしまってる作品でもあるところが、ファンにとって残念な部分でもありました。

この"志半ばに…"というのは、低視聴率で打ち切りになっていたとか、スポンサーが倒産したから云々というデマとは関係ありません。

特に低視聴率での打ち切りというのは完全にデマであり、放映当時のメインスポンサーであったクローバーという会社が倒産したことは事実ではありますが、それが作品の未完成さに直接影響してるわけではありません。

要は良くある話なのです、時間、お金、人が足りない。加えて絡んでくる大人の事情ってやつです。

なので、初作は製作側が納得できる形で終わった仕事ではありませんでした。

無論、世に存在する映像コンテンツの中で心底納得しきってから世に出された作品など有るのか?という、そもそもの根源的な疑問を無視してるわけではありません。

殆どの作品が納得しきれないまま、大人の事情で世に出てしまってのが大半です。ですから、ガンダムが特別不遇であったというわけではないでしょう。

しかし、特別に不遇ではなかったにしろ、ガンダムは望む望まないとは別の次元でファンの手によって特別な作品へと押し上げられました。

特別な作品になってしまったガンダムにとっては、その特別ではない不遇は特別な不遇へと置き換わり、長年ファンに嘆かれてきました。

しかし、ガンダムというアニメ作品の流れは、その不遇に手を入れることなく、寧ろタブー視される向きもあり、結局後に多方面で発表された初代ガンダムのスピンオフ企画のような媒体で(漫画、プラモデル、アニメ雑誌、プラモ雑誌など)その多くの未完部分を補完してきました。

ルウム戦役然り、一年戦争前夜然り、ザビ家の真相然り。

それらのついでといっては何なんですが、初代ガンダムの世界観をベースに作られた各設定の中から新たなキャラクター、新たなモビルスーツ、新たな戦線とその戦史などが生まれ、MSV(モビルスーツヴァリエーションの略)として、プラモ媒体で大成功を収めました。

このMSVの成功が、後に初代ガンダム及びその続編にあたるZやZZの世界観をベースにOVAが作られる下地となり【0080】【0083】【MS小隊】といった傑作が生まれることにも繋がりました。

こういったように、ファンの熱量に後押しされる形で、初代ガンダムと正当な続編と称されるZやZZ、逆襲のシャアなどに代表されるUCシリーズ(宇宙世紀という同一の世界観で描かれる長編サーガという意味合いも持つ)は、初代の残した未完成な箇所を穴埋めしてきたわけですけど、その決定版とも言える作品が、雑誌を新創刊させてまでという無茶なやり口でスタートしました。

それが【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】です。

初代ガンダムのキャラクターデザインやメカなどもデザインした安彦良和氏自ら、初代ガンダムを描きなおすという仕事に首を縦に振ってくれたことに加え、自身のキャリアの最後になるかもしれない仕事としてガンダムを選んだという氏の決断に、角川書店はその安彦さんの為だけに、今から10年前に【ガンダムA】というコミック月刊誌を創刊しました。

俗にいうところの"安彦エース"の誕生です。

で、その誌面で連載された【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】は、正に真のオリジナルと呼べるような出来栄えで、アニメの初代ガンダムで出来なかったこと、後に抱えることになった矛盾、そして未だかつて掘り起こされてなかったエピソードの追加など、テンコ盛りな内容です。

その【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】が今月号のガンダムA誌上でようやく最終回を迎えたのです。当初では5年で最終話までいくと予定されていたのですが、丸々倍の時間が掛かってしまいました。しかし、それだけ内容の濃い作品になったということです。

正直言いまして、【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】が連載されて以降、私の中では【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】が正史であり、アニメ版初代ガンダムは、禿げドM富野の悪ふざけという位置付けに変りました。変わり果てました。

まぁ、正史か否かという考えに固執するのはどうかとおもいますけどね。

現にUCシリーズ以外はガンダムじゃないというスタンスの人もまだまだ多いみたいですし。ちなみに私も以前はそっち派でしたが、今はそういう固執は消えました。ガンダムという素材を使って描くアニメ作品という枠組みを楽しめばいいじゃないかっというスタンスになってます。

しかし、それはUCシリーズの長編大河ドラマ的な要素を否定したり、ガンダムという素材さえ使ってれば何でも楽しめてしまう大らかさを有するようになったいうわけではありません。

やはりガンダムという素材を使う限りに於いて、それがガンダムでなければならない、ならなかったという必然を感じれる作品に仕上がってないものには拒絶反応が出ます。(そういう観点から、未だにGガンダムだけは眼中から外してます)

そして、UCシリーズは好む好まざるに関係なく、長編大河なのです。

この長編大河というスタイルは非常にしんどいものです。設定を構築、分解、再構築を繰り返し、総合的に作品を管理監督していかなければならない手間が生じます。

ですが、ガンダムはUCシリーズを続けることで、自ら長編大河の道を歩みました。ならば再構築は必要です。

ところで、若干話は逸れますが、この長編大河路線を自ら歩んだ富野監督は、その管理、監督を放棄する為なのかどうかは知りませんが、【∀ガンダム】と【劇場版Zガンダム】を使って、2度までも長編大河としてのUCシリーズのガンダム史を破壊しにかかりました。

個人的に、この行為は禿げがどのような理屈を並べて、それを正論だと主張しようとも、許される行為だったとは思いません。

ファンに支えられて30年。産業にまで発展し、多くの人が金銭的にも潤ったはずです。現に富野氏の完全な独り善がりで支離滅裂、脈絡乱脈な原作小説も、ファンに支えてもらったからこそ、内容の完成度とは余りにも不釣合いなほどの部数が売れてきたわけですし。

そういった今までのファンの支持に感謝どころか、ファンが支えてきたものを破壊するという行為に出たわけです。しかも二度もね。まるで1度目の【∀ガンダム】に対して受けた批判の快楽が忘れられずに、とうとう我慢できずに同じ批判を受けたくて【劇場版Zガンダム】を作ったのではないかと思うほどです。ドMなだけにね(彼の場合、真性のドMだそうですが)

尚、この2度の破壊行為というのはUCシリーズというガンダム戦史のそもそもの根幹を破壊し、戦史の繋がりをめちゃくちゃにしてしまう行為でした。

で、更に話が逸れますが、こういった長編大河とは逆の姿勢を取りつつ、長年シリーズを重ねてきた作品があります。マクロスです。

マクロスの河森正治監督曰く、マクロスというのはマクロス世界で起こった史実を元に作られた劇中劇、劇中作品であるという設定で、長編大河の構築、分解、再構築、管理監督という手間を回避しています。TV版のマクロスは史実を元に作られたTVドラマという設定で、劇場版はその史実から20周年を記念して作られた劇中作品という位置付けです。

まぁ、このスタンスは当時、上手く屁理屈を並べたものだなっと。だから大人ってやつは…なんて風に思ったりもしましたが、数ある手段の中の1つしてはありでしょう。ただし、その手段が好きか嫌いかというなら、個人的に嫌いではあるんですが。

けど、だからといって、そんなことが劇場版マクロスの素晴らしい出来栄えに水を差すようものではありません。それはそれ、これはこれというわけです。

さて、少しづつ話を戻していきましょう。

上述のようにマクロスのような屁理屈で長編大河路線を回避するという手段も1つの好例として存在するわけですが、30年余年も経ってから、いきなりそんな大河なんて存在しません。そんなの嘘です。宇宙世紀暦?アフターコロニー暦?なんですかそれ?ガンダムZZ?そんなのありましたっけ?なんてことを言い出すのは、あまりにもやり口が姑息で卑劣で破廉恥というものです。

30年支持してきたファンに舌を出し、中指立てて、ヨダレ巻き散らかして高笑いしてるかのようでもあります。

まぁ、それがあの禿げの性癖ならどうしようもありません。老いれば理性のタガが緩み、退行現象も起きると言いますから、そういう異常者みたいな掌返しが彼の本質だったのでしょう。

方や、もう一人のガンダムの産みの親である安彦良和さんは、正々堂々とガンダムと向き合い、長編大河としてのガンダムの原点を描きなおす決断をしたわけですから、そりゃ安彦さんの方が正史としてみるのが当然の成り行きです。

で、実際に【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】が連載され、読んでみたら完全に虜です。本当に真剣に書いてくださってるのです。どこかの異常者みたいな悪ふざけでまた一儲けという感じは微塵もありません。真摯に正攻法。辛辣に分解、巧みに再構築。ここまで本気で描いて頂けるとは…っと連載開始当初は大変驚いたものです。

ですから、【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】のアニメ化はずっと待望し熱望し、渇望してきたのです。

しかし、相次いで届く初代ガンダムに出演されていた名優の方々の訃報。余りにもキャラが立ち過ぎて、その方の声でしか、そのキャラは成立しないだろうと思ってしまってるが故に、ORIGINのアニメ化への思いは絶望の色合いに染まっていきました。

けれど、サンライズは動きました。ここまで巨大な産業に発展したガンダムに関して、新作シリーズの製作やOVAの製作には精力的に動いてきたにも関わらず、初代ガンダムに関しては殆ど手を加えることはなかったサンライズが、確実に当時のファンから出るであろう批判を覚悟してサンライズが初代ガンダムのリメイクとして【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】のアニメプロジェクトを公式に発表したのです。

出るであろう批判というもに関しては、仕方ないと思ってます。初代とストーリーの繋がりが変化している。声優が違うなどなど、初代との違い問いただせば幾つも突っかかる箇所はみつかるでしょう。そのアニメを見る方の全てが、初代ガンダムとストーリの繋がりかたに若干の違いがあり、時系列が少し違うといったことになった経緯、事情。そもそもORIGINが目指す、新たなオリジナルの完成というコンセプト、つまりは構築、分解、再構築という過程を経て生まれた作品であるという理解はしていないでしょう。だから単純に昔のと違う!っと拒絶反応する方も居るでしょう。

ちなみに故人となられている声優さんの問題については、個人的に見る側の作品に対しての評価の照準をキチンとリセットする必要があると考えてます。声優の違いというだけで評価を分けてしまぅて良い作品なのか否かの判断基準を誤らないようにしないとなりません。

で、サンライズは初代ガンダムに関してはそういった問題に絡みたくないという部分もあったと思うんです。だから今まで極力触ってこなかった。

けど、ガンダムシリーズの根幹であり、ガンダム産業を支える土台ともいうべきUCシリーズに関して、肝心な要だった"はず"の富野氏があんな風で、安彦さんがあそこまで真剣に初代ガンダムを10年掛けて再構築したのを見せられては、傍観者では居られないでしょう。っというか、そんなの仁義が通りませんよ。(産みの親のもう片方の片割れの禿げは仁義も何もあったもんじゃありませんが)

ですので、【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】がアニメ化された後に、アレだとZや逆襲のシャアとの繋がりがおかしくなるよ。とか、モビルスーツのテクノロジー設定的に、開発年代が食い違ってくるよ。とか。初代ガンダムの時と、戦線の推移や時系列が入れ替わっていたり、あの人の初登場は、あの戦線の物語が終わってからだったはずでしょ。とか、そういう疑問が生じたら、全て【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】が正史であると理解し飲み込んでください。

じゃ、初代ガンダムの位置付けはどういうこと?って思った場合には、マクロスの河森正治監督よろしくといった感じで、あれは史実を元にドM禿げが描いた独り善がりで支離滅裂、脈絡乱脈な原作本を多くの人が手直しをして、どうにかこうにか見れるような物語に仕上げた結果に生まれた富野訳ガンダムであると理解し飲み込んでください。遠慮は要りません。禿げは自ら自分の作ってきた長編大河は嘘っぱちでしたと、テロを決行済みなので、そんな身勝手な独善者に義理を立てて通す仁義なんて無いでしょう。

っとまぁ、まだアニメ化が決定しただけで、それが何時私たちの目に届くようになるのか、そして媒体は映画なのか、TVシリーズなのか、それともOVAなのか、はたまたWEB配信専用なのかは一切明かされてないというこの段階で、これだけの文章を書いてしまうのですから、古くからのガンダムファンの熱量の奇異さというのは気色の悪いものですね。

けれど、本当に嬉しいのです。夢中になって愛して、信じてきたのに、「今までのは全部嘘でしたー。」っとヘラヘラとにやけた禿げに辻斬りをされた傷の深さというのはどれほどのものだったか…。けれど、果報は寝て待てと言ったように、その傷の痛みを内に閉じ込めてやり過ごしてきた今になって、これ以上ないという吉報が舞い込んできたのですから…、主人公アムロ・レイの言葉を借りるとすれば、正にこれこそ「こんなに嬉しい事はない」ってやつです。

∀のテロから始まった古参ファンの忍従の旅は、その時から10余年経ってようやく報われるのです。

大袈裟を承知言うならば、生きてて良かった…っと、そんな風に思ってしまえるほどです。

これもひとえに、最終回までキチンと描ききってくださった安彦先生のお陰、【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】の為だけにガンダムAを創刊し、刊行し続けてくれた角川書店のお陰、そしてその安彦先生の意思に賛同してくれたサンライズの方々のお陰です。言葉足らずはどうしても否めませんが、けれどやはり、どうしてもこの言葉しかありません。

「ありがとう」

さて、古参ファンの気色の悪い熱量の気味の悪さ一色に染まってしまったテキストですが、ここまで読んで下さった方も十分気味の悪い方だと思うのです。言うなれば同類でしょう。いや、この場合は同士でしょうね。ならば同士さん、【機動戦士ガンダム THE ORIGIN】のアニメの完成度が向こう30年先にも通用するような出来栄えになるように一緒に祈ってくださいまし。そういう熱量が今日のガンダムを支えてきたとも言えるのですから。

それでは、そのアニメ化が実際となる日が来るのを心待ちにしつつ、今回はこれにて終わる事にします。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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