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乙女のらぶらぶサッカー vol.131 これがサカヲタの妄想ってやつですw



W杯が始まり、順当に日本が初戦を落とした今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか。



cocさんと言えば、連日サッカー観戦で超寝不足というのは4年周期の恒例なので、別段それについてあれこれというのはありませんが、今日までの試合で印象深い試合が一つあったので、今回はそれについて書いてみるとしまする



で、その印象深い試合というのはスペイン対オランダです。



勿論、世間的に広く伝えられてる様な、前回大会の決勝のカードと同じ顔合わせで、今回はオランダが雪辱を晴らしたとか、スペインがまさかの大敗とか、そういった解りやすい感慨も一応はあるんですが、coc的には、オランダがスペインのパスサッカーに対処する為に用意した策が5バックだったという点の方に強い関心が沸きました。



前回大会である南アW杯、そして更にその二年前のユーロ(ユーロッパ大会)からスペインは素早いショートパスを繋ぎ、ボゼション(ボール支配率)重視のスタイルをかなり高いレベルまで修練させたスタイルで戦うようになりました。



当時のサッカーのトレンドと言えば、少し乱暴な表現をすれば”中盤を無視したカウンターサッカー”という先述が流行し始めていた頃で、中盤でボールを保持し、ボゼションを高めつつ、FWが空いたスペースにDFの裏を取りつつ崩していくというスペースムーヴなサッカーを否定する流れが出ていたのです。



そんな中でクラシカルなポゼションサッカーでスペインがユーロとW杯の両方を取っちゃったもんだから、世界のサッカーはやや混乱状態になりました。



ロングボール一発で相手の最終ラインを突破するといったカウンターサッカーが成熟しつつあった時期に、まるで先祖帰りの様なスペインのサッカーが一番になっちゃったわけですから、混乱が生じるのも当然です。



で,南アW杯以降どうなったかと言えば、大ざっぱに言えば、スペインに追随するチームとカウンターサッカーのさらなる成熟を目指すチームの二極化でこの4年間の世界のサッカーは動いてきました。



そして、今大会を迎え、スペインの初戦は前回の南アW杯の決勝で戦ったオランダとぶつかることになったわけです。



下馬評ではスペイン有利でした。しかしオランダは中盤でのゲームの組立、ボールボゼションを棄て、5バックという布陣で挑みました。



これが見事でした。中盤ではスペインに好きにボールを持たせ、パスも好き勝手に回させました。しかし。そのスペインのパスがオランダの最終ラインを貫こうとした場合、的確且つ迅速にパスコースを潰し、強引に放り込んできた場合も5バックが見事な連携でラインを統率し、スペースを与えませんでした。



この5バックって。ただDFの数を増やせば出来るってものではありません。



サッカーのフォーメーションというのは基本的に横ラインの押し下げが重要となります。特にディフェンスラインはオフサイドというルールの存在で最も重要なラインとなります。



このオフサイドについては未だに小難しく考え、理解出来てない人も多いと聞きますので、一応簡単に説明しておきます。



オフサイドというのは至極簡単に言うと”待ち伏せ禁止”ルールです。相手ゴールキーパーの間近で一人の選手を常に配置して、そこにパスを通せば用意に得点できてしまいます。それを禁止する為のルールです。



パスを受ける人は自分と相手ゴールキーパーとの間に最低一人の相手選手が居ないと、パスされたボールを受け取った時点で反則となります。この誰々と自分の間という表現がわかりにくい場合は、2人制オフサイドという表現で覚えると良いです。



自分の前に二人の相手選手が居なければパスを受け取れないと考えれば簡単なはず。



このオフサイドの判定はパスが出された瞬間の各選手の位置で判定されます。



サッカー中継でよく「裏を取れば」とか「背後のスペース」がどうとかって解説の方が話してますが、この裏や背後というのは、ディフェンダーの背後に存在するスペースにアタッカーが走り込むことを意味してます。



TV中継ではあまりジックリ映りませんが、相手のデフェンスラインと味方のFWのポジション取りというものがボールをもってない段階で熾烈に争われています。



守る側は最終ラインに入るDF全員で横のラインを形成し、全員で連動しながらそのラインを上げたり下げたりします。



FWはその相手の最終ライン付近に張り付き、味方がボールを持った瞬間や、パスが出そうな瞬間にタイミングを併せ、相手DFの隙を付きラインから飛び出していこうとします。



この一連の動きで攻撃側がパスを出すタイミングと受けて側のラインを追い越すタイミングがバッチリかみ合えば、俗に言うスルーパスが通って最終ライン突破が成功。



逆にディフェンス側が相手のパスが出てくるタイミングを読み勝ちし、更にラインに張り付く相手FWの飛び出すタイミングをスカして、ラインをするするっと挙げれば、パスが出た時点でオフサイドトラップ成功といった感じになるわけです。



この相手の最終ラインとの駆け引き、そして囮となり陽動し、相手の最終ラインのバランスを崩すことで、味方の別のアタッカーが優位な状況で空いたスペースに走り込んでチャンスを作ると言った、多角的な駆け引きも行われてます。



この陽動プレイが上手い選手を現日本代表の選手で挙げるとすると、大迫、岡崎、大久保ですね。幅を近年の日本代表ということにすれば、柳沢がその点においては傑出してました



世間的には得点しないFWはバッシングの対象になりがちで、例の”QBK”発言で物議を起こしてしまったことも加わり、柳沢の世間的な評価は随分と下がってしまいましたが、彼の相手最終ラインでの駆け引き、陽動の上手さは抜群で彼のお陰で得点出来たというシーンはトルシエ時代、ジーコ時代で数多くあり、彼が重用されていたというのが何よりもそれを裏付けています。



さて、随分と話が逸れてしまいました。オフサイドの解説に入ったはずなのに、何故か柳沢の話になってる(汗



では、閑話休題。



5バックって、ただ5人にすれば出来るってものじゃないんですよって話でしたね。



長い話の脱線で書いたように、ディフェンスというのはラインが重要で、そのラインの統率が取れなければ、オフサイドトラップも仕掛けられないので、相手に裏のスペースを突かれまくって守備崩壊です。



このライン形成に関しては人数が少なければ少ないほど形成の難度は下がります。当然ですよね。2人だけで連動するのと3人で連動するのとでは難度は格段に変わってきます。



3バックならセンターバック(ディフェンスラインの中央を守る人)の位置を基準としてサイドの2人が連動してラインを形成します。



4バックの場合、よほど変則的な布陣でない限り、センターバックの位置に2人を配置し、その2人が近距離でラインの基準を形成。右サイドバックは右センターバックの位置を基準に、左サイドバックは左センターバックの位置を基準にして4人が連動してラインを形成します。



この様に、3バックの説明と4バックの説明に使った文字数からもわかるように、枚数が増えれば、それだけライン統率の手順や約束事は増え、形成難度は上がっていくわけです。



なので、付け焼き刃で5バックなんてのは早々出来るものじゃないんです。



しかし、オランダは余裕すら垣間見えるほどに5バックを見事に形成してみせ、スペインの最終ライン突破を防ぎきりました。完全に作戦勝ちってやつですね。



ただ、ここからは個人的見解というか妄想というか、一般論とは少し毛色の違うことを書き出すんですが…。



”オランダ” ”5”という二つのキーワードが出てくると、80年代サッカーを知ってる者としては、今回のオランダの見事な5バック形成に因果関係みたいなのを感じてしまうのです。



オランダは80年代に当時世界のスタンダードだった4-4-2や4-3-3といったフォーメーションとは一線を画す3-5-2という布陣を作りだし、中盤に多くの選手を配置し、攻撃も守備もすべて中盤を機転にし動き、オフェンス時には3-2-5、ディフェンス時には5-3-2といった感じの布陣へと変化する、通称トータルフットボールと称された戦術で近代サッカーにルネッサンス期をもたらしました。



このモダンなサッカーの基礎概念は現時点のサッカーにも強く影響を残していて、以降に生まれた、オフェンシブハーフ、ディフェンシブハーフ、リベロといったポジションの基礎概念を作ったのもオランダと言えるわけなんです(個人的偏見込みです)



だからこそ、そのオランダだからこそ、あそこまで見事な5バックが出来たんじゃないかなっと思うわけです。よそのチームがやっても上手く行かなかったと思うんです。



5人編成の動きってオランダのお家芸ですし、その浸透度、修練度共に他のチームとは
比べものにならないんじゃないかと思ったりするわけですよ。



そういった妄想じみた偏見の目で見ると、クラシカルなポゼション重視のパスサッカーの究極進化系で猛威を振るったスペインに、これまた懐かしいトータルフットボール概念の産みの親たるオランダが得意の5人編成ユニットをディフェンスに転用し、ねじ伏せて見せた。



まるで80年代のサッカー戦術革命期のリバイバルゲームを見たような気がしたのです。



そんなわけで、オランダがお家芸でスペインを粉砕し大勝したのにあやかって、今回はcocもお家芸である”無駄に長文化”の戦術を久しぶりに披露してみせたのでしたw



さて、最後に今大会での我ら日本代表についても少し触れておきましょう。



グループリーグの組み合わせが決まった時点で、各国がまずすることは、どこに勝って、どこに分けて、どこに負けるかという星取りプランの計画を立てることです。(勝ち点4。1勝1分け1敗がグループリーグ突破のボーダーラインである為)



確かに、意気込みとしては全部勝ちに行くぜ!というのが大事ではありますが、短期決戦の総力戦であるW杯では、落としても良い試合を作って、主力の温存を計ったり、各選手のコンディションを大会中に調整しないと勝ち進むのは難しいです。



今大会の日本代表としては、ギリシャに勝って、コートジボアールに分けて、コロンビアに負けるというプランが妥当な線です。



考え方の違いによっては、ギリシャとコートジボアールの分けと勝ちが入れ替わるプランもあるでしょうが、グループリーグ最終戦の相手がコロンビアである時点で、コロンビアには負けるというプランは崩れないでしょう。



現時点でのコロンビアはかなり強く、グループリーグの最終戦、つまり主力の疲労蓄積、イエローカードの累積による出場停止選手が何人か出てるかもしれないという状況で戦って勝ちを取りに行ける相手ではありません。



ですので、コートジボアール、ギリシャのどちらに負けてもいけないというのが日本がグループリーグを突破する上で最も重要なタスクだったのですが、初戦のコートジボアール相手に、負けない戦い方で挑んですらなかったし、それで勝ちを拾うどころか、分けも逃して敢えなく敗戦。



これで日本のグループリーグ突破の目は、ほぼ無くなったと考えて良いでしょう。



わずかに残る可能性として数字にするなら、グループリーグ突破の確率は20%くらいかな。



勿論、リーグ戦ですし、勝負事ですから、正に時の運というのも結果に大きく影響しますので、どうなるかわかりませんが、非常に厳しいというのは揺るぎませんね。



日本とコートジボアールが1-2で日本が負け、コロンビアとギリシャが3-0でコロンビアが勝利したというのが現状です。



次に行われる組み合わせは、日本対ギリシャ、コロンビア対コートジボアール。



ここで日本が二点差以上でギリシャに勝利し、コロンビアが三点差以上でコートジボアールを下してくれた後、ギリシャとコートジボアールが一点差ゲームでギリシャが勝ってくれれば、日本がコロンビアに0-5で負けても二位通過の目は残ります。



とにかく二位通過するには、コートジボアールが目下のライバルで、向こうは勝ち点3の得失点差+1で、日本は勝ち点0で得失点差ー1な訳ですから、ギリシャ戦は二点以上の差を付けて勝たなければ、話になりません。



ただ、日程的にはギリシャが一番有利なんですよね。(二位通過狙いの観点では)初戦がコロンビアですから、負けて元々で挑んで(実際に負けてる)、二戦目の日本、最終戦のコートジボアールに総力出し切って戦えますし。



そういう意味では次の日本対ギリシャ戦はかなりキツい戦いになるでしょうね。どう考えてもギリシャのプランとしては、コロンビアに負けて、日本に勝って、コートジボアールに分けるってプランでしょうし。



何度も書きますが、当然試合はやってみないとわかりません。ここから日本が連勝する可能性もゼロではありませんしね。そういう希望的観測というのは大事だと思います。



ただし、私はそういう希望的観測という思考様式が一番嫌いなんですが(てへぺろw



さて、随分と長くなりました。まだ少し書きたいこともあるんですが、今回はこれくらいにしときまする。



ではでは、がんばれ!オランダ!ってことで、今回はこれにて。

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