記事一覧

乙女日記 Vol.2256 悲劇の連鎖



時事通信からの転記です。



=========================
■隔離施設を武装集団が襲撃、エボラ 患者17人逃亡 リベリア

AFP=時事 8月18日 7時4分配信 【AFP=時事】



西 アフリカ・リベリ アの首都モンロビ ア(Monrovia)に あるエボラ出血熱 患者の隔離施設が 16日夜、こん棒で 武装した若者集団 の襲撃を受け、患 者17人が脱走、現在も行方不明となって いる。



目撃者によると、襲撃犯らはエレン・サーリーフ (Ellen Sirleaf)大統領を侮辱する言葉を口にしたり、「エボラなど存在しな い」と叫んだりしていたという。エボラ熱の流行地域の住民らの間ではパ ニックと不信感が広まっており、エボラウイルスは「西洋によって作り出さ れたもの」または「でっちあげ」だとの噂も広く出回っている。



匿名で取材に応じた保健省職員によると、若者らは高校の校舎を利用して 設置された隔離施設から医薬品やマットレスなどの寝具を略奪した。



リベリア医療保健事業者協会(Health Workers Association of Liberia)の ジョージ・ウィリアムズ(George Williams)会長によると、同施設ではエ ボラ熱患者29人を収容し、病院に運ぶ前の予備処置を行っていた。



「患者29人のうち、17人が昨晩(襲撃後に)逃亡した。4日前に9人が亡く なり、昨日は3人が家族によって無理やり連れ出された」



エボラ熱流行の中心地とされるモンロビアでは、保健当局による隔離施設 の設置に地元住民らが反発していた。匿名を条件に取材に応じたある若い住 民は「彼らにキャンプを(設置)しないよう伝えたが、聞き入れられなかっ た」「私たちはこのエボラ騒動を信用していない」と語った。【翻訳編集】 AFPBB News



=========================



どれだけ流通網やインターネットなどの情報網が発達し、世界が狭くなったと言われるようになっていっていようが、先進文化圏とそうでない地域との差というのは、現代においてこれほどの隔たりがまだあるのかっということを痛感される事件ですね。



「エボラなど存在しな い」「西洋によって作り出さ れたもの」「でっちあげ」「私たちはこのエボラ騒動を信用していない」といった文言は、それこそおまえ等は何を言ってるんだって感じですが、現地の人等からすれば、そっくりそのまま、お前等は何を言ってるんだって思ってるんでしょう。



リベリアではどうか分からないんですが、アフリカ地域では今尚もって、医療に祈祷や呪術といった方法を用いられることも珍しくなく、シャーマンといった存在が普通に現役で活躍されてるというのを、どこかで拾い読みしたことがあります。



そういった未成熟な文化圏の人等をせせら笑い、呆れ果ててしまう人も結構いるでしょうけど、こういう文化発達の差から生じる対立と誤解から生まれる出来事ってどうしようもないと思うんです。



彼らの身になれば、彼らの言い分は正しいですから。知らないことを民衆規模ですぐ理解しろって方が無理です。



日本人だって、100年ちょっと前には、写真を撮ると魂が抜かれるという噂を本気で信じてる人が大勢いたそうですし。



そういう未成熟な文化圏に突然異人がズカズカと入ってきて、地元の人を何人も監禁(現地の人にとってはそう感じてると思われます)されていき、その殆どが死んでいくわけですから、あいつらが俺の友達を連れ去って殺しやがった!とかっていう思いになっても不思議じゃありません。



医師たちが幾ら説明しようとも、先進医療というものに触れたことのない人等に、いきなり最先端医療の高度な部類を説明しても理解してもらうのは難しいでしょう。



算数の足し算、引き算しかまだ習ってない子らに、いきなり微分積分を説明し、理解してくれって言っても、到底無理なように…。



隔離された感染者の中で、病状が回復し、元の生活に戻れた人がいるのかどうかわかりませんが(エボラを発病後、回復したとしても様々な後遺症を抱えるケースが多いため)、もし元の生活に戻れた人がいるなら、そういう人等に協力してもらって根気よく啓発活動をしていかないと中々理解は進まないでしょうね。



でも、そういうことをしたとしても、アイツは西洋人の手先だ。アイツは西洋人と組んで俺らを騙そうとしてる!という反発も起きるでしょうし、難しいですね…。


極論で言えば、未だにHIVは新生児や幼児と性交を行えば治るといったようなデタラメや、アルビノを食べれば幸運になるなどといった荒唐無稽な風潮を信じて、悲劇が繰り返されてるような土地ですから、エボラに対しての理解をこの短期間でなんとか浸透させようとしても…無理でしょうね。



ですので、今回襲撃者に促され、隔離施設を脱走した17名が自発的に隔離施設に戻ることはないでしょうし、再会した知人に促されて戻ってくることもないでしょう。そして彼らに待ってるのは悲劇…。当然、17名だけの悲劇では終わらず、彼らと接触した人等への感染拡大は避けられないし、とても恐ろしい結果が訪れそうです。



誰が悪いわけでもないんです。医師の説明不足?啓発活動の不徹底?そんなことでむりやり責任の所在を作り上げても何の意味もありません



寧ろ、こういう事態は起こるべくして起きたと言えるでしょうし、医師云々よりも隔離施設の警備等に国連軍でも派遣して、徹底すべきでしたね。



そして、この事件が何かもっと恐ろしい事を引き起こす引き金になるんじゃないかと…危惧してるcocさんなのです。

トラックバック一覧

コメント一覧