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乙女のらぶらぶサッカー Vol.132 収穫多し



アギーレ監督体制になってからの初戦の対ウルグアイ戦。スコアは0-2で失点は守備陣の凡ミスから得点を許すといった、見出し的な要素から見れば散々な感じではありますけど、cocは非常に有意義な試合だったと感じました。



まず、アギーレが就任会見で述べていた守備の徹底という点について、彼が意図する守備とはどういうものか、一口に守備といって様々な方法論がありますから、そのスタイルを確認出来たことは、見ているこちら側としても監督の今後の方向性が知れるという意味で良かったです。



残念なことに、その重要視してる守備のミスで連続失点してまってるのは本末転倒気味でもあるんですが、新体制で初戦ですし、ミスが全くないというのはハナっから期待してませんし、そもそもテストマッチですから勝敗は殆ど意味をもちませんので、あまり大きな問題ではないと思います。



無論、あんなレベルの低いミスは勘弁してほしいというのも正直なところですが、あんなのは、てめぇ!サッカーの守備の基本中の基本も忘れたのか、あんなふざけたミスは二度とすんじゃねぇぞ!ゴルァ!っと誰かが叱りつければ解決しますw


それよりも問題なのは、監督は確かに守備の徹底を強くしたチーム戦術を行っていくようで、それにはcocも大賛成なのですが、攻撃の手札の少なさが目立ちました。



まだ十分な時間もなかったでしょうから、ひとまずコンセプトの優先順位の一番に置いてる守備面の戦術と約束事を決め、攻撃に関してはとりあえず今回はチームとしてこうしよう、あぁしようという強い縛りまで煮詰めてなかったんでしょうね。



しかし、そうであったとしても、パサーの不在は痛かったですね。未召集の遠藤、コンディション調整が間に合わず召集見送りの香川、怪我で合宿途中離脱の長谷部というブラジルW杯メンバーの中でもパス能力の高い選手が3人抜けたことで、守備から攻撃に移る際のバリエーションが少なく、相手を慌てさせる場面をあまり作れなかったです。


この部分は今後のチームの課題としてハッキリ現れていたので、むしろ逆に良かったです。何で上手く攻撃できなかったのか?わかんないんですけど?って状態になるのが一番怖いので、今回みたくゲームメイカー不在のオフェンスというのは日本ではまだ無理というのが確認できたのが収穫です。



そして、話は戻りますが、監督の守備の徹底という方針についてですが、本来ならブラジルW杯に向けてもそうであるべきだったんです。



随分前にこのカテゴリーで書きましたが、南アフリカW杯直前、強化試合で連敗したチームを立て直す為に、当時の岡田監督はそれまでやってきた攻撃的な戦術を捨て、徹底した守備型戦術で本大会に望みました。



そしてベスト16までいったわけですが。それで日本はもう守備的にやっていけば世界に通用することはわかったから、次は攻撃型だっということで、後任にザッケローニが選ばれ、あぁいうチームになっていったわけですけど、そういう転換は時期尚早だったんです。



何せ、日本はW杯本大会で予選リーグを突破して決勝トーナメントに進出したのはたったの二回。2002年の日韓共同開催時においてのトルシエジャパンと南アフリカの岡田ジャパンのみです。



両大会の代表に共通してるのは守備的な戦術をとるチームだったという点です。


そして、当時は最強の代表だと謡われたジーコジャパン、タレントは豊富で確かにビデオゲーム的に個々の選手の能力を数値化して比較すればこの5大会の中では群を抜く強さを秘めたチームでした。



しかし、ジーコは明確な戦術を容易せず、個々の独創性と状況を判断して行う連動性だけを選手に指示し、ひたすら攻撃に力を入れさせました。アジアレベルでは断トツで強さを見せつけましたが、本大会で予選全敗。



その悲惨な結果をキチンと教訓にできていれば、まだまだ日本は攻撃的サッカーで世界と対等に戦えるレベルじゃないというところに思考は行き着くはずなんですが、ドイツ以降、南アフリカの一大会を挟んだだけで、再び攻撃サッカーでブラジルW杯に挑んでしまったわけです。それこそ舌の根も乾かぬ内にってやつです。



成功を納めた二大会をなぜもっと重要視しないのか…。攻撃的サッカーで再び挑むのは、堅守サッカーを継続し、そのスタイルでベスト8,ベスト4といった成果を継続して出せるようになってからでしょ。



言うなれば、それを”地力を付ける”ということです。



そういった意味で、アギーレの方針には賛同出来るし、フィジカル的にも似た素養を持つメキシコを熟知している彼なら、日本人に適した守備という方法論も戦術として沢山熟知しているでしょうから、彼には期待してます。



ですので、今回のウルグアイ戦で見れた、全員守備と玉際の競り合いに対しての姿勢など、今後彼が目指すチームの姿の一端は十分感じ取れたし、明確でした。



一体、何がしたいのか、何をしようとしてるのか、そもそも明確なビジョンがあるのかさえも疑いたくなるような、場当たり的采配が目立っていたザッケローニに比べ、初戦とはいえアギーレはその意図を明確に示してくれました。



残念なことに、チームは始動したばかりで、攻撃面に関してはまだ余り手を着けられてなかったようですので、1つのサッカーの試合という観点で観戦した場合は退屈で面白くない試合に感じた人も多いのかもしれませんけど、アギーレジャパン、これは期待できると思いますです。



なので、凡ミスで二失点し敗戦という結果はマイナスしかないように感じた人も居るでしょうが、攻撃面での手札不足という課題、現段階の日本代表にはやはりゲームメイカーとパサーの存在は重要であるという確認、遠藤の後継者育成の急務感などを元にさらなるメンバー選びの必要性といったような事がハッキリ確認できたのは、初戦にしては上出来な位の収穫でしたし、来年のアジアカップに向けて、良いスタートを切れたと思います。



もうね、代表戦をイベント化して、勝てる相手をフレンドリーマッチで呼んで、ワーワー騒ぐような、今までの最低な4年間の繰り返しに戻すのだけはホント勘弁してほしいわけですよw



テストマッチならちゃんとテスト出来る相手とキチンと課題の炙り出しを行い、大きな大会に向けてチームをキチンと段階的に強化していく、そういった本来の形に戻るべきなのです。



つーことで、今回の対ウルグアイ戦は、新体制の初戦。4年後に向けてどういうチームに作り替えていくか、そして目下の最大の目標であるアジアカップを穫りに行くというスキームに向けての格上相手とのテストマッチという本来の目的と意図を踏まえて採点すると、100点満点中、75点は付けても良い試合だったとcocは感じました。



そんなわけで、9日に行われる次戦のテストマッチ、対ベネズエラ戦では、どういった問題点を炙り出してくれるのか楽しみです。



それでは今回はこれにて。

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