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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 Vol.101 未来予想図 #4



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前回【乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 Vol.100 未来予想図 #3】からの続き、全4回のシリーズコラムの最終回をお送りします。



是非、1回目から通して読んでくださいませ。



それでは本文を開始します。

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【乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 未来予想図 】として、#1~#3と書き進めてきましたが、今回はその3回を踏まえた上での2020年~2030年辺りのゲーム業界の全体像を予測(妄想)していきます。



ヘッドマウントディスプレイを用いたヴァーチャルゲームの台頭、携帯ゲーム機の大幅なスペックアップとクラウドサービスの高水準な実用化が進むことで、既存の据え置き型ゲーム機の存在意義は大きく揺らぐでしょう。



PCゲームへシフトする流れ、ヴァーチャルゲームに殆どの開発力を向ける流れなど、業界は混乱に近い形で、明確な再編の波に晒される可能性が高いです。



そんな中、大きな出来事が発生します。それはSCEのゲーム事業からの撤退です。



親会社であるSONYの業績悪化が更に深刻な状態になり、PlayStation規格を含む全てのゲーム事業の開発、販売から手を引くことになり、SCEはそれら規格と一緒に、事業ごと売却されます。



そして、そのSCEを買い取るのが、アップルです。アップルはSCEを丸ごと買い受け、コンシューマゲーム業界に参入を表明。旧SCEを母体に新会社を設立し、クラウドベースのミドルサイズタブレットゲーム機を投入。



既に任天堂とマイクロソフトはヴァーチャルゲームに注力しており、アップルを牽制する余裕もなく、クラシカルなスタンダードゲームの市場はアップルにシェアを大きく奪われることになります。



しかし、ヴァーチャルゲームのムーブメントの勢いは激しく、任天堂が低価格のヴァーチャルゲームゲーム専用のヘッドマウントディスプレイコンソールを投入すると、複合機としてヴァーチャルゲーム市場に参入していたマイクロソフトは劣勢を強いられます。



挽回を計り、マイクロソフトは任天堂同様に、ヴァーチャルゲーム専用機を投入しますが、ハイスペック過ぎる端末の設計から生じる小売り価格の高騰、更にヴァーチャルゲームとしての駒不足で伸び悩みます。



任天堂はワールドワイドで認知性の高い自社タイトルを続々とヴァーチャルゲーム化し、ネットワーク上において巨大なアトラクションテーマパークを実現し、1強体制に入るかと思われた頃に、アップルと、更に第4のパブリッシャーがヴァーチャルゲーム市場に参入を表明。



アップルはヴァーチャルゲームコンソール内のアトラクションソフトに、従来のゲームコンテンツ以外を積極的に投入し、ヴァーチャルSNSというトレンドを作りだし、他のパブリッシャーと大きな差別化を計り、それが成功。ゲームに積極的でない層に支持され、社会現象化クラスのムーブメントを作ります。



一方、マイクロソフトは、伸び悩むヴァーチャルゲームコンソールを幾度かマイナーチェンジし、価格改定が幸いし、少しづつ持ち直していきます。



展開するアトラクションも大人向けコンテンツが主流となり、一定数の支持を厚く受けるようになりますが、PCとの連動性によるマニア色や有力タイトルのアップル移籍などが響き、第3勢力から抜け出すことは叶いません。



尚、第4の勢力として市場に参入してきた陣営は、どれもこれも中途半端で、顧客ターゲットも絞りきれないまま、二年足らずで市場から撤退。以後はヴァーチャルゲームバブルの負の象徴して、その名だけは長く語り継がれていくことになります。



尚、携帯ゲーム機市場は、アップルがクラウドベースで投入したミドルサイズタブレットの小型版と、任天堂の端末が凌ぎを削り続けますが、任天堂のクラウドゲームの提供が安定軌道に入ると、スタンダードゲームの人気シリーズの連発攻勢で任天堂が大きくリードを広げ始めます。



その勢いに乗じて任天堂はアップルのクラウドベース型ミドルサイズタブレットと同サイズのタブレットゲーム機を投入。自社の携帯機とヴァーチャルゲームコンソールとの連動などをウリにアップルのメインプラットフォームに攻勢をしかけますが、任天堂のスタンダードゲームなら携帯機で十分、ヴァーチャルゲームコンソールとの連動も支持されず、敢えなく轟沈。



一方、アップルはSCEから引き継いだコンテンツ財産と海外の有名デベロッパーからの支持を背景に、クラウドベース型ミドルサイズタブレットゲーム機が好調を維持し、任天堂が携帯ゲーム機のクラウドサービスで攻勢をしかけてきても、それと五分に渡り合うようになります。



その後もヴァーチャルゲームコンソールの勢いは続き、スタンダードゲームの新規タイトルは一時期減少していきますが、2020年代後半、ヴァーチャルゲームバブルに陰りが見え始めます。



任天堂、アップル(旧SCE含む)、マイクロソフトらは共に新型のヴァーチャルゲームコンソールにクラウドサービスを投入し、ヴァーチャルゲームコンソール自体のコストダウンに成功し、コンソール販売自体は順調の途を辿るのですが、アトラクション(ゲームコンテンツ)の開発費が年々凄まじい勢いで膨れ上がり、資本力の乏しいデベロッパーには厳しい状況になっていきます。



更に、任天堂のヴァーチャルゲームアトラクションは世界中で認知性の高い自社の人気シリーズのコンセプトを忠実にアトラクションで再現し、多くの支持を受け続けるのですが、その評価が高すぎて、他のデベロッパーの開発したアトラクションとの共存が困難になっていき、中堅デベロッパークラスですら、ヴァーチャルゲームアトラクションの新規タイトル開発には腰が重くなり、新作リリースのペースが全体的に鈍り始めます。



すると、リリースすれば人が集まる。どこも沢山人が集まるといったヴァーチャルゲーム創世記の中、多くのデベロッパーがいくつものアトラクションをリリースして活気に溢れていたバブル時期は過ぎ、多くのデベロッパーが稼働中アトラクションのサービス停止を余儀なくされたり、開発ラインからヴァーチャルゲームの企画が消滅し始めます。



その影響を受けた形で、スタンダードゲームの新規タイトルが、有る程度回復し、以後、デベロッパーはヴァーチャルゲーム開発とスタンダードゲーム開発の2極化が更に顕著になり、デベロッパーの経営統合、買収合併の話題が業界を賑わすことになります。



尚、このヴァーチャルゲーム時代で大きな躍進を遂げるデベロッパーが1社あります。



それは、つい最近社名の変更を発表したばかりのセガゲームズです。



任天堂のヴァーチャルゲーム専用コンソールでリリースした、ソニックヘッジホッグアトラクションが世界中で大ヒット。あのジェットコースターばりのスピード感とジャンプアクションが主観スタイルでヴァーチャル体感できるとあって、日本は元より海外で特にメガヒット。続編としてリリースされたオンライン版はリリース初日からサーバーがダウンし、サーバー強化に2ヶ月も要する事態にまで発展。



更にヴァーチャルゲーム専用コンソールとして初のMORPGとして人気シリーズのPSOを投入すれば、ゲームに没頭しすぎて学校や会社を休む人が続出し、一日のログイン時間がアカウントレベル及び端末のシリアル認証毎で制限される措置が取られるほどに。



しかし、その規制を良しとしないヘビーユーザーは複数の端末を購入して遊び出す人も続出し、任天堂のヴァーチャルゲーム専用コンソールの普及台数に大きく貢献したとかしないととか…。



加えて、アーケードゲームのトップメーカーだった財産がここで大きく開花。いわゆるインカム率を念頭に置いて開発されていた短時間集中型のゲームが多かったセガの人気シリーズは、家庭用据え置き機時代では、あまり大きな支持は得られず、家庭用に特化した人気タイトルを育てるまでのセガは苦しい時期を過ごしました。



しかし、アーケードゲームのように、プレイ開始直後から、ゲームの芯となるコンセプトがハッキリ明示されるタイプの作品はアトラクションとの親和性が高く、セガの人気アーケードゲームシリーズがアトラクション化されると、どのタイトルも軒並みヒットを連発。



スペースハリアーや、アフタバーナー、アウトランなど往年の名作がそのコンセプトを元にアトラクション化され、世界中のプレイヤーに多大な支持を得ます。



その後、再びパブリッシャーとして返り咲くのではないかという噂、熱望が世間を賑わせますが、セガはあくまでデベロッパーとしての立場を変えず、多くのヴァーチャルゲームを世に輩出し、ヴァーチャルゲーム業界のイニシアティブを握ることになります。



そして、2030年以降、ヴァーチャルゲーム専用コンソールは更に進化。腕や指、足や胴体に小さなセンサーを装着させることで、体の動きの全てを仮想空間のアバターに連動することが可能に。従来のコントローラー式の入力デバイスと併用してそれらのセンサーを使うことも可能になり、より体感性が高まっていき、センサーの性能向上が進んだ更なる将来には、ワークソリューションとしての運用も行われるようになります。



医療、福祉、工業を始め、サービス業に至るまで、仮想空間での研修、テスト、実験などにヴァーチャルゲーム専用コンソールは活用されるようになり、コンソール規格も統一され、各家電メーカーからも統一規格のもとで、様々なタイプのモデルが販売されるようになります。



そして、ゲームはヴァーチャルから次のステージへ。



その次なるステージとは何か?それはこれを読んでくれた方々に託すといたします。



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■あとがき



全4回に渡る【乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 未来予想図】如何でしたでしょう。楽しんでもらえましたか?



予想というより、妄想に近いだろっという突っ込みは、既に受けたつもりで書いてますのでご容赦をw



今回の4回目が分量として一番多いのですが、正直言いますと、この最終回はオマケですw



オマケが一番大きいなんてことは、食玩などではよくあることで…珍しいことでもないでしょ?



じゃ、このテキストは食玩だったのかという問いには、敢えて大声でイエス!と言っておきます。よく噛んで食べてくださいね?w



っと、冗談はそれくらいにしておいて、まず最終回がオマケというのは、聞こえは悪いですが本当にそれが真実です。



今回のシリーズでの主題は#1~#3に集約されてまして、そこはガチで予想なんです。妄想成分ゼロで書いてます。



で、最終回は、その予想が出揃った時代(cocさんとしては3つの予想は絶対にそうなると確信して書いてますので)ってどんな風になってるだろうなぁっという趣旨で妄想してみた次第です。



妄想の中で、大きな再編が起きるだろと、それがSCEになってますが、これについては悪意はありません。正直、そこをマイクロソフトにしようかと考えたりもしたんですが、それじゃマイクロソフトのゲーム事業部門はどこが買うんよ?ってところで、現実感のある相手が思い浮かばなかったのです。



だったら同様に母体企業の業績が芳しくないSONYさんにしてみたら、アップルさんという買い手も現実感伴って思いついたので、そういう風に書き進めた次第です。



ただし、妄想ではあるんですが、#1~#3の予想は確実だという自負がありますので、その確実だと思う変化が業界で発生したという状態をベースに最終回は書いてるので、あながち100%妄想かというと、そうでもないと思うんですよ。



ヴァーチャルゲーム専用コンソールのヒットが確実だと確信しているcocとしては、それを背景にしたセガの躍進というのも、本文中ではちょっと皮肉混じりで書いちゃってる部分もありますが、実際それって結構あり得るんじゃないかなって思って書いてますし。



なんにせよ。書き手の思惑なんてどうでもいいんですよね。要は読んでくださった方が楽しんでもらえたらそれで良いんです。



書き手がどれだけの労力を割いたか、どれだけ行き詰まってタイピングの手が止まりジタバタしたか、どれだけチョコレートを口に放り込んだとか、そんなことをこんなところでウダウダ書いても、誰も楽しくないのです。



ただただ、充足感に浸るだけですw



それでは全4回、ありがとうございました。

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