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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.33 PS2は同じミスを繰り返す可能性が有る。 中編

さて、今日は前回の『乙女から見る21世紀のコ
ンシュマー産業の行方Vol.33 PS2は同
じミスを繰り返す可能性が有る。 前編』から始
まった約二ヶ月ぶりの連続コラムの続きです。

一応、前回掲載分の文末数行を遡って一緒にUP
します。

では、中編(&前編の後半含み)スタートです。


私の場合、DC&インターネット導入後、チャッ
トとHP制作関連の情報収拾と実践にハマりまし
た。

チャットは、テレホーダイがスタートする時刻か
ら、テレホーダイが終了する頃まで、ずーと話す
という時期が3ヶ月ほど続きました。
当時はDCしか所有していませんでしたので、マ
ルチウィンドウでの『ながらチャット』でなく、
終始、話しまくるチャットでした。

チャットに傾けていた好奇心が一端落ちついた頃
にHP関連の勉強を始めました。

それらのネット活動をしたことにより『時間』と
いう消費物の行き先が、ネットに集中してしまい、
ゲームソフトを買ってもプレイする時間が無いと
いう状況に陥りました。

結果、買ってもプレイする時間がないのなら、よ
っぽどプレイしたいゲーム以外は買わないという
結論になりました。

これは、DCユーザーの一人でもある私。そして、
ゲームを沢山買ってくれる、マニアの私。そんな
私から吸い上げれたはずのソフト利益が消滅した
という事になります。

ここでは、個人的な変化として書いていますが、
結構、似たケースは多かったのでは無いでしょう
か?

無論、DCの不振が上記のようなケースから出て
くる、計上損失が全ての原因だというわけではあ
りません。

ただ、実数は定かでないにしろ、こういったケー
スで、ソフト購入のサイクルに変化が生じた、D
Cユーザーは結構居たのではないかという前提で
の話です。


ゲームハードはソフトを買ってこないと、ただの
箱っていう存在であるべきだと私は強く思うので
す。

ゲームソフトを売って、市場全体を活性化してい
かねばならないのに、肝心のハードがソフト無し
(ゲーム未購入)でも活用できてしまうという仕
様は、市場の成長という長期的な視野で見た場合、
明らかにマイナスだと思うのです。

確かに、ユーザーとして、そして目先の即物的な
視野で考えると、インターネットもゲームも出来
るのは便利だし、ソフトを買わなくてもハードを
活用出来るなんて、ユーザーにとって有り難い仕
様だと思う人も居るでしょう。

しかし、それは、目先の有意義だけであって、ゲ
ームユーザーとして結果的に、自分で自分の首を
絞めてしまう結果になると考えてます。

このゲームハードが、ソフト売上で市場が潤い、
活性化していくという図式に水を差したハードと
して、DC以外にPS2が有ります。

皆さんがご存知のように、PS2はDVDAVメ
ディアが再生出来ます。
それは、ゲームを買わなくてもハードが活用出来
てしまうという事例に当てはまります。

PS2発売当時、一番売れたソフトが『マトリッ
クス』のDVDであったというのは有名な話です


『マトリックス』のDVDが、いくら売れようが
PS2及び、PS2が抱えるゲーム市場に何らプ
ラスはありません。
逆に『マトリックス』が売れたことにより、ゲー
ムソフトの購入に割いて貰えるはずだった利益が
獲得出来なかったというマイナスになるのです。

更に、PS2はPS(現在ではPSONEと表現した方
が良いかも)との互換性を搭載していましたから、
PS2を買っても、映画DVDを買って、ゲーム
は所有してるPSソフトでってことに、発売当初
なってしまいました。

これは、ゲームマニアとしてハッキリ言って「冗
談じゃない」って感じです。

そんな状況を作り出されては、ゲームソフト市場
に絶対悪影響が出る!って当時、激しい嫌悪感を
感じていました。

それから、2年、嫌悪感は現実に『衰退』という
形で現実に現れてしまってます。

PS2ユーザーは、ある統計で、映画のDVDを
5~6枚持っていて、ゲームソフトは2~3枚し
か持っていないという数字を目にしました。

明らかに、利益の食い合いを起しているのです。

仮に、その6枚のDVDを購入した費用の半分で
も、ゲームソフト購入に回っていたら、どれほど
市場にとって有意義に作用したか・・・。

この利益の食い合いによって、現実にソフト市場
は大きな打撃を受けています。

ゲームショップへ行けば、PS2のソフトが、満
開の蓮華畑のように溢れていますが、それは利益
にもならない、烏合の集団に近いです。

PS2市場がDVD市場とPS市場の2つの市場
との間で利益の食い合いを起し、PS2専用ソフ
トの全体的な消費は格段に落ちています。
それは、PS2発売前から懸念されていた、中小
規模メーカーの開発の困難さを更に激しくしてし
まっています。

PS2の開発環境は、現在、市場に存在するコン
シュマーハードと比べても、かなり悪い環境と言
えます。
開発する上での実質的な作業においても、独自言
語の採用などで、通常の作業では、1人に任せら
れていた仕事を複数の人で手分けして作業しても
らわないと開発速度に問題がでてきてしまう、す
ると、人件費が膨れる。

人件費が膨れても、体力の無いメーカーはそうそ
う、派手に人海戦術を行なえない。すると、開発
期間の増大が発生。

そのような問題が出るのであれば、確実に売れる
本数が読みやすい内容のソフト開発に終始してし
まいがちです。

すると、それは、市場で「似たようなゲームばっ
かり」という状況を作り出してしまうのです。

似たようなゲームが多いと、目立つゲームはなか
なか有りません。
目立つと言えば、ゲーム自体で目立つので無く、
前作のネームバリューを利用して目立つ続編もの

メーカーの知名度と見栄えだけの為に用意された
CGデモムービーでの、消化作品。

この2点くらいでしょう。

PS2が、DVDとPSONEの市場と利益の食い
合いを指せてしまうことにより、中小規模メーカ
ーのソフトは冒険が出来なくなり、結果、ありき
たりの作品しか出せなくなる。すると、実験的な
作品や、野心作の登場頻度が激減し、ゲーム市場
に新しい波が発生しなくなる(新ジャンルの発掘
等)

っという状況に現在なっています。

これだと、ライトユーザーはもとより、ヘビーユ
ーザーもソフト市場からどんどん遠ざかります。

業界トップシェアのソニー陣営が、このような政
策を構えたことは、私的に「悪」だと感じていま
す。


まるで、ゲーム市場で吸い上げられるだけの利益
を、吸い上げて、後のことは知ったこっちゃない
っていうふうに強く感じるのです。

このまま、利益の食い合いを食いとめないまま、
どんどん、中小規模メーカーのチャレンジを跳ね
返すだけの市場になっていって、新鮮味の無い作
品ばかりに埋め尽くされた、いわば腐りきった市
場になった時、もしソニーがゲーム市場から撤退
したら・・・・

残された純ゲームメーカーはどうなるでしょう?

散々、好き勝手荒らされた畑を、慣らしもしない
で立ち去られては、たまったもんじゃありません

しかし、ソニーの政策は、どう見ても即物的な利
益に拘り、将来のゲーム市場の活性化と成長を見
据えてるとは思えません。

そう、種をまかないのです。任天堂、セガが、種
をまいて、何年もかけて肥沃な大地に育ててあげ
た『ゲーム市場』という畑に、いきなりやってき
て、任天堂といセガが収穫したものから根だけ抜
きとって、これまた任天堂とセガが苦労して耕し
た畑に、その根を植え込んで、一気に収穫だけし
てしまってるという感じです。

肥沃な大地というのは、無限ではありません。

種をまいて、収穫物を育てた分だけ、土は養分蓄
積率が下がります。

同じ畑で、何度も種をまいて、収穫してってだけ
を繰り返せば、土地は痩せて、なにも育てること
が出来なくなります。

大切なのは、土への、養分補給です。そう、肥や
しですね。

ゲーム市場においての『肥やし』は、ユーザーと
メーカーが共に成長し、創造しあえる環境でない
といけません。

その為には、コンシュマーハードのユーザーさん
には、1つでも沢山のゲームソフトを買ってもら
い、メーカーを潤わせ、その潤ったメーカーがユ
ーザーに向けて、新しい可能性を含んだ作品を提
示し、ユーザーから意見を貰い、場合によって、
それがブレイクして新ジャンルという高みまで発
展したりする。

このような、市場においての食物連鎖がキチンと
機能してこそ、市場の成長と活性化は保たれるの
です。

その食物連鎖を無視したPS2が、どんどん市場
の鈍性化を煽っていました。

ただ、発売から2年経って、ソフト開発メーカー
も、開発に慣れてきたので、少数ながら魅力を感
じさせるゲームもボツボツと出てき始めてます。
これは、非常に歓迎できることです。

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何故か農業を用いた例え話しが出てきたところで
本日の『中編』は終了です。

残すところ、1回です。

次回の『乙女から見る21世紀のコンシュマー産
業の行方Vol.33 PS2は同じミスを繰り
返す可能性が有る。 後編』で、今回のコラムは
完結します。

それでは、次回の『後編』も是非お付き合い下さ
いませ。

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