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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.33 PS2は同じミスを繰り返す可能性が有る。 後編

さて、3回連続でお送りしてきた『乙女から見る
21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.33
PS2は同じミスを繰り返す可能性が有る。』も
本日が最終回になります。

前2回を読んで下さった方、物はついでってこと
で(笑)この最終回も勢いで付き合って下さいませ。


では、恒例の(笑)前回分の後半部分数行から、
遡っての掲載です。

最終回!よ~い・・・どんっ!



そう、種をまかないのです。任天堂、セガが、種
をまいて、何年もかけて肥沃な大地に育ててあげ
た『ゲーム市場』という畑に、いきなりやってき
て、任天堂といセガが収穫したものから根だけ抜
きとって、これまた任天堂とセガが苦労して耕し
た畑に、その根を植え込んで、一気に収穫だけし
てしまってるという感じです。

肥沃な大地というのは、無限ではありません。

種をまいて、収穫物を育てた分だけ、土は養分蓄
積率が下がります。

同じ畑で、何度も種をまいて、収穫してってだけ
を繰り返せば、土地は痩せて、なにも育てること
が出来なくなります。

大切なのは、土への、養分補給です。そう、肥や
しですね。

ゲーム市場においての『肥やし』は、ユーザーと
メーカーが共に成長し、創造しあえる環境でない
といけません。

その為には、コンシュマーハードのユーザーさん
には、1つでも沢山のゲームソフトを買ってもら
い、メーカーを潤わせ、その潤ったメーカーがユ
ーザーに向けて、新しい可能性を含んだ作品を提
示し、ユーザーから意見を貰い、場合によって、
それがブレイクして新ジャンルという高みまで発
展したりする。

このような、市場においての食物連鎖がキチンと
機能してこそ、市場の成長と活性化は保たれるの
です。

その食物連鎖を無視したPS2が、どんどん市場
の鈍性化を煽っていました。

ただ、発売から2年経って、ソフト開発メーカー
も、開発に慣れてきたので、少数ながら魅力を感
じさせるゲームもボツボツと出てき始めてます。
これは、非常に歓迎できることです。


そんな中、PS2はオンライン事業を本格化させ
ていく放心を打ち出しました。

しかし、PS2立上げ当初の教訓はなんら活かさ
れていませんでした。

PS2のネットワークは、「LAN」でなく、オ
ープンネットワークなのです。

そう、DCと同じです。
DCとは違い大容量記録媒体のHDDを搭載する
環境を推奨してのオンライン事業です。

PS2程度の性能と、HDDが有れば、現在のイ
ンターネットコンテンツの9割以上は何ら問題無
く動作するでしょう。
しかも、HDDがある分けですから、動画のダウ
ンロードや音楽のダウンロードも容易に実現しま
す。

それは、つまり・・・無数に存在する多種多様な
インターネットコンテンツをユーザーが自由に選
択し、欲求を満たせる事になるわけです。

そうです。また利益の食い合いの発生です・・・


PS2&HDDが有れば、PS2オンラインソフ
トを買わなくても、インターネットで充分PS2
&HDDが活かせるのです。

これじゃ、ソフトメーカーにとって、PS2のオ
ンライン事業が正式にスタートした直後から、無
数に存在するインターネットコンテンツとソフト
がバッティングを起してしまい、利益の計上が鈍
ります。

純粋にPS2を使ったオンライン事業であるなら
オープンネットワークにする必要性はありません

っと言うより、オープンにすることによるマイナ
スをわざわざ引き込むだけです。

LANにすれば、そのハード及び、そのハードの
市場に直接利益が還元されるサービスだけにユー
ザーを集中させることが出来ますから良いのです
が、オープンネットワークにしてしまうと、その
ハードの市場に何ら利益をもたらさない用途でハ
ードを使われてしまい、尚且つ、そちらに没頭さ
れてしまっては、元も子も無いと思うのです。

現にPS2のオンライン事業が正式に始まった時
PS2とHDDを所有されてる方は、そのハード
の活用の選択肢(投資先)が大きく分けて5つに
膨れ上がります。

1:PS2オフラインゲームソフト
2:PSONEソフト
3:PS2オンラインゲームソフト
4:DVDAV
5:インターネットコンテンツ

これだけ、多岐に渡ると、ソフトメーカーが利益
を得ていくのは更に難しくなるでしょう。

特に、インターネットコンテンツには、無数のチ
ャンネルが存在し、無料で欲求を満たせられるサ
ービスが大半です。

これが一番の強敵でしょう。


一方、Xboxはこのコラムの最初の方に書いたとお
り『LAN』ネットワークです。

ユーザーのネットワークの行動範囲を容易にコン
トロールでき、その行動の全てをXbox市場に還元
させる事も可能です。
外国のメーカーであるマイクロスフト社というの
が、日本ゲーム市場で育ってきた私にとって、や
や引っかかりますが、そういう感慨を退けて言う
のであれば、Xboxのネットワーク構想はコンシュ
マーゲーム機にとって非常に理想的だと感じます


ゲーム機は、ゲームをプレイしてもらわないと、
市場の利益に繋がりません。
だから、ネットワークも、そこに存在するコンテ
ンツは、ゲーム市場に直接リンクするものだけ揃
えた『LAN』ネットワークだけで充分です。

メーカー直販のアパレルブランド店の中に、デッ
ドストック大量買付けのディスカウントコーナー
を作ってしまえば、本業であるメーカー直売品が
売れなくなり、メーカーとの契約も維持できなく
なり、店そのものが立ち行かなくなるのと同じで
す。


PS2は発売当初のDVD市場との利益の食い合
いの教訓を活かさず、オンライン事業でも、同じ
事をしようとしてます。

この状況から、先に書いた『ゲーム市場で吸い上
げられるだけの利益を、吸い上げて、後のことは
知ったこっちゃない』という印象を持つのです。

PS2でDVDAV市場とバッティングしても、
それはソニーにとって見れば、どちらも自社の市
場が存在し、ソニー的には食い合っていない。

PS2のオンライン事業がオープンネットワーク
であっても、ソニーはso-netというISP事業が
あるので、そちらで集客して、so-net独自サービ
スを売り込めるなら、利益の食い合いにならない

っと言うような、裏が見えてしまうのです。

なんか、手前のことしか、考えてないってのがミ
エミエで・・・
ゲームを愛する、そして、ゲーム市場の成長と発
展を期待する私にとって、そういう姿勢がウザっ
たいのです。

ソフトメーカーが優遇されなければ、ユーザーも
育たないし、結果、市場も育たない。

市場は淀めば、一番残念な思いをするのは、ゲー
ムを好きなゲーマー達であるのです。

以上のことから、PS2が繰り返そうとしてるミ
スを、ゲーム市場にとっての癌であると危惧して
いるのです。

それと、オープンネットワークを採用したことに
より、HDDがウイルスの危険に晒されるという
事実も、目を背けられない事実ですね。

PS2の場合、HDDにウイルスが含まれたファ
イルが入ってきたとしても、PS2上からそのフ
ァイルの実行データを作動させることが出来ない
ので安全だとか。

HDD自体が独自フォーマットだから、そもそも
安全だとか。

色々、良いように言われてますけど・・・

ハッキリ言いましょう。そんなのチャンチャラお
かしいです。

PS2からは、実行データを任意に動かせないか
ら、ウイルス混入ファイルがあっても安全??

そんな、危うい状況のどこが安全なのでしょう?

PS2から実行できないのならば、実行しなくて
も、発病するようにしてしまえば一環の終わり。

独自フォーマットだから安全?

なら、そのフォーマット上で動くように作れば、
問題ないですね。

つまり・・・これらの危うい安全宣言気味なコメ
んとなんて、なんら保証なんてありません。

そもそも、現在HPを観覧しただけでウイルスに
感染するなどという状況は・・・1年前までは有
り得なかった自体ですし・・・。

なんていうか、ウイルス作る側の人はいつも何か
しらのハードルを突破しつつ、作ってくるので、
PS2みたいな全世界で普及してる端末ならば、
相手にとって不足無しって感じ、ウイルス制作に
挑む人達って結構居ると思いますよ。

侵入経路、実行動作の仕組みなどは、その都度、
新しい形式が出てくるので、オープンネットワー
クにしたい上、その危険に晒されるというのは、
避けれないことだと感じます。

しかも、その独自フォーマット上でしか検知され
ないような、巧妙なウイルスが出来あがれば……
堂々と、公式のPS2ソフトから感染する可能性
も有るでしょう。

マスターアップがギリギリで充分な検査が出来な
い状況で発売なんて、良く有る話しですし。

もし、PS2上でウイルスに感染したら・・・・
かなり、マズイですね。

ま、データが消えるだけなので、被害はそうでも
ないですけど。

でも、そういう自体が起こった時に、納得出来る
でしょうか?PS2ユーザーは。

『自己責任』というものとは、縁遠いユーザーだ
と、偏見かもしれませんが思いますし。

このように、オープンネットワークにすることに
よって、出てくる問題は市場の利益の食い合いだ
けに留まらないって事なんです。


これは、ソニーが嫌いだとか好きだとか、そうい
う次元の話ではありません。
っていうか、これを読んで頂けてる方には、この
ような注釈を入れなくても良いのでしょうけどね


業界TOPのシェアを誇るのであれば、その座に
相応しい政策を打ち出し、ビジネスと、ビジネス
の土壌を自ら育てることにもっと目を向けて欲し
いと強く願うばかりです。

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それでは、全3回に渡って書いてきた、このコラ
ムも今日で終わりとさせて頂きます。

今後のPS2のオンライン事業の行く末を案じつ
つ、またの機会に、今回の続きでも書いてみよう
と思います。


最後に、全て読んで頂いた方、ありがとうござい
ました。

そして、お疲れ様でした(笑)

ついでに、「お疲れ様」>coc(笑)

では、次回の長編コラムのテーマを考えつつ、
今日はこのへんで。

また次回の更新でお会い致しましょう。



追記。

最近、コラムのネタが不足気味(^^;
良い素材を見つけねば。

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