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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.63 典型的な没落前夜な風景漂う久夛良木スマイル


アンチだからではなく、間違ってると断言できるからこそ、幾度も
書いてきて、これからも書いてゆくつもりなのがPS3問題。

今回は【PC Watch】様の方で掲載された久夛良木健氏のインタビュ
ーの内容を取り上げます。

インタビュー全文はこちら(リンク切れの場合はこちら)

さて、掻い摘んで要点を挙げるとすると、"PS3はゲーム機じゃない
から、コンピューターとして一年ごとの物理的スペックアップを施
していく可能性もある。"という点を元に、とにかくコンピュータ
ーなんだっと主張し得意気になってる御様子です。

まぁ、コンピューター作りたいなら作ってもらっても良いのですが
、ではなぜゲーム機の土俵に降りてきてアピールするのか。

つまりPS3という商品として出すのではなく、何故にVAIOシリーズ
の一機として出さないのか。

それは問う以前の問題で、VAIOで出しても売れないから。PSブラン
ドを利用して売りたいからっという単純な魂胆に尽きると思います


そういった短絡的な魂胆を屁理屈で固め、さもゲーム機のこれから
の有り様を説いてる風に語り続けるSCEの面々には呆れるほかあり
ません。

この状態をどう受け取るべきか?

技術革新至上主義の暴走が止められず、ユーザーのニーズを無視し
、技術屋の自己満足に走り出したエゴイズムの象徴がPS3とするの
か。

企業母体であるSONYの大不振に加え、家電業界での信頼失墜、PC市
場での惨敗、そして再起を賭けた後も低空飛行を続ける中でSCEに
その全ての流れを上向きにさせよと、SCE主動でなくSONY主動でPS3
に企業の損失補填を担わせようと言う目論みの塊がPS3なのか。

一体どちらなのでしょうか。

どちらにせよ、ハッキリしてるのはユーザーが何を欲してるのか、
ビジネスの基本中の基本でもあるマーケティングを完全に無視し、
自社の都合や理念を身勝手にPSというブランドにねじ込んだという
ことです。

PSが最初に世に登場したのが1994年の年末、それから約12年経過し
た今、PSというブランドは既にSCE、ましてやSONYの物ではなく、
ゲーム業界を支える中心核であるユーザーの物なのです。

94年以前は、据え置き型、携帯機共に、市場は任天堂の独占状態に
あり、そこに投入されたPSがここまで成長したのは、それを見守り
受け入れたユーザーあってこそのもの。

何故PSは売れたのか?っという観点でなく、売れたということはユ
ーザーの支持を得た、そして12年の間支えてくれたとも言えるでし
ょう。

そのユーザー達が、PS3に望んでいた姿はコンピューターだったの
でしょうか?

何を望まれて、何を担わなければいけないのか。
そういった有る意味においてのシビリアンコントロールを行ってい
かなければならないのが、12年の間ユーザーに支持されたPSとして
の義務であり、その間業界をリードし続けたリーダーであったSCE
の責務なのです。

しかし、今更それを説いたところでもう遅い。

兼ねてより何度もここで書いてきましたが、SCEの手法というのは
畑荒しで、肥沃な養土に種を蒔き、少しづつ芽吹いた作物を丁寧に
育て収穫し、地道に収穫と種蒔きを繰り返し、土壌の養分を悪戯に
全て使いきらないようにじっくりと管理運営してきたのが任天堂で
あり、その畑にいきなり我が物顔で進入して、収穫サイクル重視、
大量生産至上主義で、ろくに土に肥料も蒔かずに育てるだけ育て、
刈り入れられるだけ刈り入れ、どんどん土の養分だけを吸い取って
いき、土の養分が枯渇し、作物が育たなくなれば知らぬ顔で畑から
出て行けばいいという振る舞いなのがSCEだと綴ってきました。

正に今それが大半のユーザーの前で白日のものとされている。PS3
という存在ではないかと思うのです。

SCEは最初から【ゲーム業界】の将来とか可能性とか、産業市場と
して今後について殆ど考えてなかった。

そこで挙げられる利益があるなら、どんどん吸い上げろ。
吸い上げる物がなくなれば撤退すりゃいいだけのことっという無責
任な振る舞いが常に見え隠れしていたSCEでしたが、PS、そしてPS2
時代はまだそういった魂胆を隠すだけのデリカシーは持っていたけ
ど、PS3でその僅かに残されたデリカシーも消え失せ、戻るべき場
所、つまり元々の自分たちの主戦場で本隊がぐらつきはじめてしま
ったもんだから、方面部隊であったSCEとしては形振り構っていら
れなくなった。

まぁ、こういった事態を招いた原因の一つして、ハードだけ売れて
ソフトは振るわないといったPS2投入直後の奇妙な現象をユーザー
が受け入れてしまった責任というのも有ると思います。

家電としてゲーム機を売ってもOKだぞっと勝手に誤解させてしま
った感がありますしね。

勿論そこには、映像記録メディアの磁気テープ路線に激しい危機感
と限界感を抱いてた大衆の欲求を上手く突いたSCEではなくSONYと
しての魂胆が上手くいっただけのことですが・・・。

そして、その既成事実が2006年に間違った方向へと暴走しだす起因
となり、ユーザーが求めてない姿のPS3を市場に送り込むことが決
定し、それが成功すると疑わない狂った経営陣の薄気味悪い笑みを
見せられるハメになったということです。

ただ、嬉しい誤算として、SCEが顛末の臭いを漂わせはじめたと時
期と同じく、任天堂がもういちどこの業界を作りなおそう。

ユーザーが求めてる物は何か?そしてどういった物を提供すればユ
ーザーに受け入れてもらいやすく、尚一層ユーザーに楽しんで貰え
るかという娯楽提供メーカーとしての基本に立ち返り、DS、そして
Wiiという、これからの業界を支えるであろう2つのキーアイテム
を市場に送り込んできたというのは非常に嬉しい誤算であり、SCE
が枯渇した土を背に立ち去った後、ゴロゴロと石が転がり、土は養
分を失いきって砂と化した畑だけが残るといった最悪な事態は回避
できそうですので、一先ず胸を撫で下ろしています。

そして、最後にPS3のコンピュータ路線提唱について一言。
ゲーム機として何ら魅力もない、PCとしても通用しない、そんな中
途半端な出来そこない端末をコンピューターと称して、無知な一般
ユーザーに押し売りしようという魂胆、それは揶揄ではなく確かに
悪徳と言っても良いと思います。そういった強い敵意を持つのは、
家庭用ゲーム市場というものの誕生から、現在に至るまで見続けて
身として、それを悪と言わずして何を悪と言うっと強い防衛反応か
らくるものであり、単純なアンチ思想でないことは御理解願いたい
です。

それでは今回はこれにて。



*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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