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Elder ScrollsIV:オブリビオン プレイレポート #24

またまた、掲載期間のサイクルが延びてしまいました…

正直言います。書きあがってる分が残り僅かなのです^^;

追い込みで一気に結末書こうと時間を作った日はあるんです。しか
も2回ほど。しかしタイミング悪くその作った時間は別の用事で忙
殺されてしまって、結局書き進める事が叶わなかったのです。

故に時間稼ぎとして掲載サイクルを延ばしてます…。

なんとか今週中に時間を取ってガッツリ完結まで書き進められれば
っという野望は抱いてますが、どうなることやら…

それではロールプレイ手記の24回目。展開開始です。時間の有る人
は読んでやって下さいな。

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【第一章 出自と運命 #24】

「そうするしかなかったんだ。アンタの父親はもうアンタの父親で
も何でも無かったんだ。ただの狂ったヴァンパイアと化していて、
もうどうしようもなかったんだ…」そんな事を言ったところで、何
かが解決することは無いというのは十分承知していたが、言わずに
は居られなかった。

しかし、案の定アグナロックは何も言わない。その大きな背中を私
に向けたっきり、すでに半時間は経っただろうか…。

その沈黙に耐えられなくなった私は「丁度いいじゃないか!父親の
仇討ちとして、私を討てばいい。そうすればアンタは偉大なグラン
ドチャンピオンの座は守れるし、仇も討てる。一石二鳥じゃないか
!」っと言うと、ようやくアグナロックが小さな声を発した。

「それから私はどうなる?」

何も返す言葉が見付からない私が無言のまま立ち尽くしてると、ア
グナロックが再び問い掛けてきた。「私もその内に狂うのだろう?

また何も言えなかった…。

「トレーナーに試合開始の申請をしてくるよ」突然アグナロックは
そう呟くと歩き出した。

「ちょっと待ってよ!アンタ、そんな状態で戦えるわけないじゃな
い!」っと私が制止すると「グランドチャンピオンを甘く見ないで
くれ。約束は守る。私の出自の秘密を調査してきてくれたら、お前
と戦うと約束した。それにお前は仇だ。迷う理由はない」っとグラ
ンドチャンピオンの顔で言い切ったアグナロックの迫力に押され、
私はそれ以上何も言えなくなっていた。

トレーナーに呼ばれるまでの少しの間、私は空虚という世界を彷徨
っていた。アグナロックに挑む戦いがこんな釈然としない空気に支
配されて向かえることになるとは予想だにしていなった私は、ただ
ただ目の前の現実を恨んだ。

恨んだところで、何かが変わるわけではないということは判ってい
たが、そうせずにはいられなかった。

トレーナーにグランドチャンピオン決定戦の試合に関しての特別ル
ールをアグナロックと並んで聞いていた私に、トレーナーが「聞い
てるのか!レディ」っと怒鳴ったことで、ようやく我に返った。

「大丈夫だ。こいつはもう集中してるのさ。俺を殺すことに」っと
アグナロックがトレーナーに含んだ笑みと共に横槍を挟む、その立
居振る舞いには先ほど困惑の闇へと落ちかけていた男の姿はなく、
私の良く知るグランドチャンピオンの姿そのものだった。

その平静ぶりの意味する所が理解できないまま、トレーナーのルー
ル説明が終わり、5分後という余りにも早い試合開始時刻が告げら
れた。

「アグナロック!」そう彼の背中に呼びかけると、進む足を止めた
彼は「ここは闘技場だ。闘士ならば戦いのことだけに集中しろ」と
だけ言い残し、闘技場へ続く通路をいつもの硬い足音を残し進んで
いった。

これが…闘士の運命とでも言うのか。殺さなければ殺され、生き延
びたところで、明日はまた狙われる。そんな毎日を続けるしかない
のか・・・。握った拳の行き場が無いことが酷く不愉快だった。

「さぁ、レディ。無敵のチャンプに挑むんだ。気合負けすんじゃな
いよ」っとトレーナーに背中を押され、仕方なく前に出てしまった
足を引っ込めることはせず、その勢いを借りて私はアグナロックの
後を追った。

もう忘れよう。感情移入のし過ぎだ。元々あの男を殺して伸し上が
ることが私の目的だったじゃないか。闘士になれ、鬼になれ。もう
それに足る十分な返り血は浴びてきただろう。鏡を覗けば何が写る
?今更何を期待し、何を求めてる?

盗賊で闘士で、幾人の人を殺めてきたんだ。それなのに今更、少女
地味た感傷にでも浸りたいとでも言うつもりか。

そう心の中で反復しつつ、闘技場の入場ゲートの前まで進んだ頃に
は、闘士の放つ尖ったオーラーを纏う自分を取り戻していた。

盛大なアナウンスが会場内に流れ、破竹の勢いで勝ち上がってきた
女性闘士と、無敵のチャンピンとの一騎討ちを盛り上げ、客の興奮
を煽るだけ煽った後、その運命のゲートは開かれた。

視界の彼方の対面に立つアグナロック。私はその彼だけに焦点を合
わせ、雄叫びを上げながら突進していった。もうどうにでもなれ。
その時の心境は正にそういったものだった。

私の突進を仁王立ちのまま動かず待ち伏せるアグナロック。策など
要らない。このまま愚直なほど真っ直ぐ戦うのみだ。そう決心した
私は。走りながら腰の剣を抜き、更なる雄叫びと共に、アグナロッ
クに斬りかかった。

ガシャン!っと金属音がその振動と共に私の腕を襲った。渾身の力
で繰り出した斬撃を片手で振り上げた鉄のハンマーで防いで見せた
アグナロックの表情は既に死んでいた・・・。

殺気、気迫も感じられないその異様な空気に恐ろしさを感じた私は
咄嗟に後方に飛び退き、合わせの構えを取った。

沸き立つ観衆。殺気だった下劣な野次が飛び交うなか、軸足の踵を
2、3度地面に馴染ませるように踏み滑らした時、突然アグナロッ
クの目から涙が零れ始めた。

「もういい…。もう終わりにしょう」そう呟いた彼は、ハンマーを
握っていた手をだらりと降ろし、一切の構えを放棄した。

「どういうつもりだ!ここは闘技場の、戦いの真っ只中だぞ!」そ
う叫んだ私を虚ろな目で見上げたアグナロックは「私が勝ったとし
ても近い将来私は民衆に迫害され、そして狂い死んでいく…。なら
ば、今ならば…まだ英雄アグナロックのままで居られる今なら、そ
の誇り高き生で、誇り高き死を自ら選べる」っと力強い口調で語り
だした。

「さぁ、殺してくれ。お前は私も認めるチャンプだ。お前に殺され
て生を閉じることは誉れに価する。そしてお前は偉大なチャンプを
倒した英雄として民から崇拝されるだろう。今の私にはまだその価
値がある」そう続けたアグナロックに心の底から怒りが湧きあがっ
てきた。

「誇りとか価値とか英雄とか…、そんなもの死んでしまえば何の意
味もないじゃないか!!」「名誉の死より、汚名を背負う生の方が
尊い!なぜそれがわからない!!」そう怒鳴った私の声は観衆の声
に掻き消されそうだったが、アグナロックだけには間違いない届い
た。

「わかるよ…。レディ。お前がいう事は正しい。しかし…、しかし
なんだ。私にはその正しさを正しきことだと感じて生きていける時
間が残されていないんだ!」そう叫び返したアグナロックの怒号に
体が震え、そして途方も無い絶望が襲ってきた。

そうだ、そうなんだ。この男は近い将来に狂う。ヴァンパイアとし
てその血に犯され我を失い、正しきことも悪しきことも区別が付か
なくなり、ただ快楽と殺戮の中で彷徨う生きた骸と化してしまうの
だ。大衆はそんな彼を放ってはおかないだろう。無敵のチャンピン
という経歴から考えれば軍が派遣されてもおかしくない。国家主導
で隠蔽されてきた悪しき事実を国家主導で葬る。判りやすい筋書き
だ。

しかし、だからといって…私に何が…

「悪しき魔物アグナロック。そう仇名される前に、無敵のチャンピ
ンとして死なせてくれ。お前にしか頼めない。そしてお前だからそ
れが出来る!」再び握ったハンマーを抱え上げ、構えの体勢を取る
アグナロック。

「いやだ。いやだ…、そんなのいやだ…」そう何度も呟く私を見る
アグナロックの目にはもう涙はなく、そこには優しさに満ちた男性
の、いや父親のような暖かい温もりが浮かんでいた。

その優しき視線に吸い込まれそうになった瞬間、瞬時にその目は戦
士の目へと変わり、間髪入れずアグナロックが猛突進してきた。

「我に誇り高き生をー!」

>>続く

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◆あとがき(解説や注釈等など)

主人公アンナにとって、アグナロックとは一体どういう存在なので
しょう?

勿論、その定義はキチンと存在するのですが、物語の中で明確にそ
れを示唆し特定するような事はあえてしないようにしてます。

父親、兄、恋人、師、親友、戦友、同士。色々な解釈ができます。
そして向けていた感情も、尊敬、敬愛、親愛、恋心、羨望と如何様
に解釈できそうです。

しかし、そこをハッキリさせないほうが、主人公のイメージを固定
させないという意味において得策だろうと思うのです。

どういった存在でどういった想いを傾けていたかは別にして、とに
かく彼女にとって彼は重要な存在であったし、今後も重要な人物で
有り続けます。

極端に言えば、今までの物語、そして今後の物語の点を線で結んで
いけば、結局アグナロックに辿り着く。そういった感じでこの物語
は閉じていこうと考えています。

それでは、今回はこれにて。また次回お付き合い下さいませ。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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