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乙女のNintendoDS 漫遊記 Vol.85 DQ9を始めてみました #8

2日間続けてのドラクエ9テキストですが、今回は"9"という部分よりも、9を遊んで感じたドラクエらしさの再確認のお話から始めてみようかと思います。

既に9のシステム云々、バランス云々の完成度が素晴らしいという点には触れてますが、今回書くのは、ストーリーテラーとして堀井雄二を柱として掲げてるドラクエにとっての【らしさ】って何だろうって考えた時、色々な回答が色々な箇所から出てくるとは思うんですが、その内の中で【一人称の押し付けはしない】という点と【死を"死"以上に描かない】という2点が、今回の9をプレイしていてcocさんが改めて感じたところです。

昨今のJRPGというのは、キャラクターゲームと融合しすぎて、そのキャラクターゲームとRPGという割合の配合率においてキャラクターゲームの割合がRPGの割合を凌駕し、RPGの中にキャラクター性を放り込んだゲームではなく、キャラクターゲームにRPG風のシステムを付け加えたというスタイルのタイトルが大半を占めるようになっています。

そこで問題となるのが、RPGと仮にでも詠ってるのに、主人公の性格設定は既に決まっていて、その設定された主人公の視点から世界を捉えた一人称の世界の中で、価値観の基準も主人公の半径1メートルの世界で決まってしまうという、非常に危うく、そして…幼稚臭い思想の押し付けばかりなんです。

やはり物語をロールプレイするなら、世界の成り立ちの大前提、善と悪の明確な境界線はないという当然のルールの下で遊びたいです。

主人公の性格や言動、生い立ちまでハッキリと設定され、その主人公から見る世界の中の善と悪の基準を強制されるのは、困ってしまいます。

更に言うなら、"死"という事象を上述の押し付けられた価値観の基準で、必要以上に芝居掛けて仰々しく表現したりするのも多いです。

殺す正義、殺す悪、殺される正義、殺される悪という、当たり前のようにあるはずの立ち位置の違いによって、違って見える風景などは考慮せずに、こいつは悪だから殺された。こいつは正義だったのに殺されたから、殺した奴が悪なんだ!といった感じの感情扇動を平気で使ってたりするでしょ。

あぁいうの見ると、あぁ下手なんだなぁって感じるんですよ。物語を作る上で"死"はその物語の可能性と世界観を広げる素材として非常に価値のあるプロットなのに、その"死"に1つの固定観念だけを埋め込んで終わらせてしまうというのは、シナリオを作る力の無い人がやる事です。もしくは、手を抜いてるかですね。

そういった意味で、堀井さんは、ドラクエにおいて、主人公に過剰な設定を付けないようにしてきてます。全く設定を付けてこなかったかと言えば、そうではないんですが、主人公の性格にまで踏み込んだ設定は今まで1度も行ってません。

だから、ドラクエで遊ぶと、遊んだ人それぞれが感じた印象がそのまま作品の内容に入り込んでいけるんです。

そして"死"に対しても、"死"を"死"としてか取り扱わず、それに関わった人々も、全員が一様にうな垂れるのでもなく、ほくそ笑むわけでもなく、それぞれがそれぞれにその"死"との距離感が違うし、捉え方も違うという当たり前の光景をキチンと真面目にやってるんです。

で、プレイヤーがどう感じるか。どのNPCの談話に賛同するかで、その"死"に関連するイベントの色合いはプレイヤー毎に違ってみえていくわけです。

そもそも"死"に関して、完全な正義も完全な悪もなく、つまり白黒を付けられない場合が殆どです。だからその判断をプレイヤーに委ねる。そういうスタイルが堀井さんだし、9でもそういった堀井さんらしさ、ドラクエらしさっていうのが序盤から色濃く感じられたのが、この9に惹き込まれていった要因の1つだと思います。

いわば、絵本なんですよね。堀井さんの手法は。絵本を読んで聞かせる事で一番何が重要かと言えば、結論を問う事だと思うんです。どう感じたかな?そういう問いかけを無くしては絵本が絵本である意義がなくなります。

なので、どれだけドラマティックに演出し、プレイヤーに深く印象つけられたとしても、その死を道具にして、一面性の価値観を押し付けるためだけに死を取り扱ってしまうというのは、それがどれだけ悲劇的だったり、感動的だったりしても、ロールプレイングというベースの中では、"死"で悪ふざけしてるだけです。

その点、ドラクエ9は真面目なんです。当たり前のことを当たり前に。そして多角的に描いてる。決してそれは劇的なものとして演出はされてないけど、僅かな行数のテキストから色々な印象を芽生えさせてくれます。

堀井さんが9の開発中に溢された談話の中で「9はドラクエ1を作ってるような気持ちで製作してます」ってのがあるんですけど、その言葉の本質的な意味合いがどこにあるのかはわかりませんが、判らないなりにも納得できてしまうんです。それだけ9がドラクエらしい作りにになってるということなんです。

ところで、まだ9のプレイの真っ最中ですが。早くもwiiで発売される10が気になって仕方ありません。

9ではドラクエ初のマルチプレイが実装されてはいますが、残念なことにワイヤレス通信のみですので、学生とかでないと中々マルチプレイの機会には恵まれません。

しかし、ランダム生成の宝の地図に伴うトレハンプレイとマルチプレイという合わせ技は、RPGの王道な仕組みです。おそらくWiiではWiFiでのマルチプレイが実装されるでしょう。

そうなれば、宝の地図を持ち寄って、トレハンプレイをWiFiで楽しめるのです。そして9のようにキャラのビルドに個人差が出る作りなら、正にそれは…国産仕様としてマイルドに仕上げたDIABLOじゃないですか!w

ま、10の話はさて置くとして、この9についてつくづく思うんですが、9を小学生や中学生で迎えられた子らは本当に幸せだと思いますよ。

こんなのが、自分が子供の頃に登場してたら…遊び狂って死んじゃうと思いますw

とりあえずは命拾いしたぜっ!っと吐き捨てつつ、今回はこれにて終わりとします。

それでは、また次回です。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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