記事一覧

乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 Vol.98 未来予想図 #1



スマフォゲームの台頭などで、家庭用ゲーム機市場がドタバタし始めて久しい昨今、今後の業界がどのように変貌していくのか?今回はそういったテーマでcocの個人的な未来予想図を書いてみたいと思います。



ただ、この場合の”未来”というのは具体的にどの程度の未来かということですが、向こう10年前後を予測して書いてます。



cocはこの10年でゲーム業界はかつて無いほど大きな変革に晒される10年ではないかと予測しています。



その変革において、重要なキーワードは3つ。【VR技術】【クラウド】【無料提供の実質的な標準化】であると、ここでは提言させて頂きます。





では、1つ目のキーワード【VR技術】から話を進めていきます。



”VR”すなわち、ヴァーチャルリアリティを指しており、cocが10年ほど前から提唱している、家庭用ゲーム機という枠組みの中での新たなコンソールとして次代のスタンダードに成るべき存在がヘッドマウントディスプレイを介したヴァーチャルリアリティゲームであるという持論の実現に向けた動きが、昨年一気に具体性を伴い市場に登場し始めました。



しかし、数社が発表したそれらのコンソールは、贔屓目に見ても実験機というレベルでしかなく、ヴァーチャルリアリティを宣言するにはまだまだ課題は山積みで、今年や来年という短いスパンで大きなエポックに拡大していくのは難しいでしょう。



しかし、それが一過性のムーブメントとして消えていくということは無いとcocは断言します。



その理由は同カテゴリーの中で繰り返し書いてきたことですが、今一度簡単にここで述べておきます。



認知性という意味でビデオゲームの祖はファミコンであり、ビデオゲームという遊び道具の中で実現できる娯楽のアイディアの殆どは、すでにファミコン時代に出尽くしました。



そしてテクノロジーの進化で3Dゲームが容易に開発出来るようになった時代で、ファミコン時代では実現出来なかった僅かなアイディア、つまり空間を利用した娯楽の実現も可能になり、そこでビデオゲームは有る意味で終焉を迎えたのです。



現に現状のゲームの娯楽性の根本、遊びの仕組みは全てが8bit機、32bit機の時代で発掘された物を流用し、グラフィック面を最新のテクノロジーで美麗に盛りつけてるだけです。言い方を変えれば、既存の平面なモニターにゲーム機を繋ぎ(携帯機も同様
の仕組みで繋いでる)、そのモニターを外部から覗き込んで遊ぶスタイルは、今後何年経っても新しい遊びという意味での大きな変化はおきません。PS10が出れば、PS10が処理できるレベルのグラフィックが今のゲームに被せられるだけです。



TVを視るものでなく、表示された記号を操作して遊ぶ物体に変化させた8bit機。3D描画によってモニターの中に立体的な疑似空間を表現し、空間を利用したジオラマチックな遊びを実現した32bit機。ここで打ち止めなんですよ。もうこのスタイルでは新しい変革は起こせません。



そして、30年近くそんな同じ遊びを提供し続けてるのがゲーム業界の実情で、それに6000円出してくれ、8000円出してくれと言い続けた結果、ビジネスモデルそのものが崩壊しかけているのです。



既存のスタイルのまま、幾ら知恵を絞って、利益を出そうと試みても、根本の娯楽という点で進化出来なければ、未来などありません。



現状、各ゲームメーカーが、パッケージソフトが売れないからと、スマフォゲームに注力していますが、それもすぐに行き詰まります。娯楽の根本を進化させるどころか、退化させて提供してるんですから、そんなものに輝かしい未来があるわけないのです。



ビデオゲームがビデオゲームとしての存在を誇示するには、もう新しい娯楽を生む可能性が極めて低い既存のコンソールモデルは捨て、次のステージに行かなければならないはずです。



その次のステージがヘッドマウントディスプレイを用いたヴァーチャルリアリティゲームであるとcocは昔から提唱してきました。



このシステムを用いれば、ゲームタイトルは全てアトラクションに進化します。単純なベルトスクロールのジャンプアクションゲームですら、その基本コンセプトを軸にヴァーチャル3Dアクション化し、主観スタイルにするだけで、強烈な刺激をプレイヤーに提供出来るでしょう。



覗き込んで遊ぶ、つまり俯瞰的に遊んできたゲームが、完全な主観視点に切り替わるだけで、全く別の娯楽に変化します。既存のスタイルで3Dゲームをどれほど緻密に描画したところで、プレイヤーとモニターの間には日常というリアルな空間が存在し、感覚神経的に完全に没頭することは不可能です。



しかし、ヘッドマウントディスプレイならば、日常の空間を完全に遮蔽することが可能で、コンソール自体に精度の高い視線追随機能とジャイロセンサーが搭載されてれば、主観視点のゲーム空間は正にヴァーチャルリアリティとなるでしょう。



この技術は、広義的に言えば既に実現しました。しかし先に書いたように、それらのコンソールの完成度はまだまだ発展の途上にあります。ですが、これらの技術が近い将来必ずビデオゲーム業界のスタンダードになります。



周辺機器としてではなく、第3のメインコンソールとして登場するはずです。そうならなければビデオゲーム業界は先細っていくだけです。それこそPS10などという悪い冗談みたいなことが実現してしまうだけです。



その変革が起きる具体的な時期は、恐らく2020年~2022年辺りだと予測しています。



では、既存のスタイルのゲームコンソールやパッケージタイトルは消えるのか?という問題が出てきます。それについては次回で。



==================================



今回の【乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 未来予想図】は全4回に分割して掲載します。



原則、連日アップしますので、4日間で全て掲載することになりますが、その間、なにかしらの時事ネタを取り上げたテキストを急遽アップするかもしれませんが、その際はご容赦願います。



それでは、次回も是非読んでくださいませ。

==================================

プロフィール

リンク集

過去ログ