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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 Vol.100 未来予想図 #3



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前回【乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 Vol.99 未来予想図 #2】からの続き、全4回のシリーズコラムの3回目をお送りします。



是非、1回目から通して読んでくださいませ。



それでは本文を開始します。

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今回は【乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 Vol.98 未来予想図 #1】で記した3つ目のキーワード【無料提供の実質的な標準化】についてです。



既にPCのオンラインゲームやスマフォのアプリゲームなどではスタンダード化してる【基本プレイ無料】というビジネスモデルはアイテム課金の問題、重課金者しかタイトル本来の面白さを体験出来ないなどといった弊害を生み、それを非難する声も多く見受けられるのですが、現状ではその声は無視されています。



減るどころか、そういったタイトルは増える一方です。ではなぜ無くならないか?答えは簡単です。儲かるからです。



ただ、いささか破廉恥なビジネスモデルであることは否めません。しかし、重要な点もあるのです。なぜ儲かるのか?という点です。



それは、ゲームを有利に進める上で魅力的なアイテムを販売し、それが売れるから儲かるというのは、結果論であって結論ではありません。



結論は最初期の”無料で始められる”という点に尽きるのです。既存のパッケージソフトは
乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方 Vol.98 未来予想図 #1】で書いた様に30年も前の娯楽を、見栄えだけ今風にして8000円で買ってくださいというのをやってるんです。その横で、それと似たような物が無料で始められますよってやられたら、当然のごとく無料の方に人は手を伸ばします。



既存のクラシカルなスタイルが新しい娯楽を生み出せない以上、今までのような8000円で面白いかどうかもわからないソフトが売れまくる時代なんて二度とやってきません。



ビジネスモデルがそもそも古すぎるのです。もうカビが生えてきてます。



cocの予測上では、今後にはヘッドマウントディスプレイを用いたヴァーチャルリアリティゲームが大きな変革をもたらす時代がやってきます。それと並行して、市場は更に縮小していくパッケージソフト業界が、共存を模索するのであれば、基本的にどのタイトルも無料で遊び始められるようにするべきです。



巨額を投じたプロモーションなんかより、無料で遊び始められるというのは何よりも勝る集客効果があるのです。どんな自信作を作っても遊んでもらわなければ意味がありません。



そして、何処で収益を上げるかは、やりながら模索していくしかないでしょう。それこそ安易にアイテム課金というのもありますが、ステージや章毎の分売、ローカルプレイ部分は無料でオンラインモードは有料など、徴収スタイルはタイトル毎に知恵を絞って探っていくうちに、それなりの標準値というのが浮かび上がってくるはずです。



こういった案を出すと、欲しい人は黙っていても買うんだから、分売とかコンテンツ切り売りとかやめてくれとういう意見が必ず出てきますが、黙っていても買う人が要るということは重要ではないのです。



黙ってたら買わない人に、とにかく遊んでもらえる機会を作る。それこそが大事であって、今後はその傾向が強まっていくでしょう。特にクラウドゲームのスタンダード化が進めば、殆どのタイトルは無料で遊び始められるようになるはずです。



在庫の心配も、追加プレスのタイミングも考える必要はなく、完成した作品をクラウドに上げておけば、長期間集客の機会を得られることになりますし。



確かに、現状のパッケージソフトの販売形態で、無料化は難しいでしょう。しかし不可能ではないはずなんです。3DSソフトのようにマニュアルは電子化で物理的なコストダウンは可能ですし、パッケージそのもの外装なども店頭展示用と商品引き渡し時のパッケージで差を付け、引き渡し時のパッケージは極力簡素化に努め、実質、物理メディアのコストだけに押さえれれば、無料化しても十分利益は見込めるはずなんです。



無論、どういった有料コンテンツを仕込むかが大事になってきますが、店頭で並んでるゲームが無料になったら、とりあえずあれこれ遊んでみようと人は手を伸ばすでしょう。



そうなった際の集客率は8000円で売る時とは比べものにならないはずです。



30年前のビジネスモデルに固執し、時代のニーズとかけ離れてる現実から目を反らした上で、30年前の遊びと根本は大きく変わらない遊びしか仕込めてないパッケージソフトを8000円で売り出しては、売れないと嘆いてる。そんなことを続けていて、その先に救いはあるのか?



つまり、どう考えても、無料化の流れはやってくるし、その流れを実現しなければ、パッケージソフトが生き残る道はありません。必然なわけです。



ただ、ここまで巨大化した業界では、どうしてもコンサバティな形に固執しがちで、なかなかそういった動きに現実感が宿るには時間がかかるでしょう。その動きの予兆はやはりヴァーチャルリアリティゲームの台頭が始まるであろう2020年以降になるのではないかと考えてます。



さて、以上が最初に上げた3つのキーワードに関しての予測です。それらを踏まえた上で、2020年~2025年辺りのゲーム業界全体像を次回では書き進めて参ります。



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これで第1目で提示した3つのキーワードについての予測を書き終えたことになります。



そして、それらの予測をベースに近い将来のゲーム業界がどうなっていくのか?ちょっとおバカに、ちょっと真剣に、でも結局は熱く書いてみた最終回の次回も是非読んでくださいませ。


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