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乙女のアニメ独り言 Vol.93 サマーウォーズ

ネットでそこそこ評判が良かった【サマーウォーズ】を遅れ馳せながらようやく見ました。

で、感想ですが、なんとも微妙というか、どこを評価するかで全体的な評価は随分と変わる作品だなぁって印象を受けました。

作品の設定の大筋、セカンドライフのような仮想経済社会が確立した中で、そのシステムがハッキングされる。そのハッキングとの戦いに挑むのが、数学の得意な少年と、ネットワークワールドとは縁遠い旧家の家族達。そこに淡い純情恋物語を混ぜ込みましたって感じです。

気弱な青年が奮起していく過程に、家族の愛情を織り交ぜていくベースはありがちながら、キチンと脚本として消化できていたし、そこは評価できるんです。

問題は、セカンドライフをベースに世界観設定です。

アニメだし、ファンタジーだし、独自の世界観設定だと押し通せなくもないんだけど、サーバーを介したネットワークコンピューターを題材に取り上げてる以上、現実のネットワークコンピューターの仕組みに準拠した物語を作って欲しかったなぁって感じました。

仮想経済社会がハッキングAIに乗っ取られ、それを倒していくという過程が無茶苦茶すぎるんですよね。

サーバーというホストコンピューターの中で起こっていることなのに、それに対抗する為にスパコンを用意したりするという意味の無い無駄な展開が、この手のことに疎い観客を勢いだけで煙にまいてしまおうという子供騙しな展開が途中からやけに多くなってきて、近未来をトレースしてるようで、実は論理破綻しまくりですから、興醒めしてしまいました。

しかも、主人公が数学オリンピックの日本代表に成り損ねた青年という設定なのですが、その数学が得意というキャラ設定が活かしきれてません。シナリオの中ではパスワードを解析するくらいしか役に立ってないし、最後の展開なんて、取って付けた様に彼に無理やり出番を作って、なんとか主役の存在感を出そうとしたって感じでしたし。

そもそも、数学の得意な青年という設定だけで話を構築していくだけで良かったと思います。そこにセカンドライフをベースとした仮想経済社会にネットワークハッキングを混ぜたことで作品のテーマが濁ってしまいましたね。

そして、ネットではある程度評判は良かったけど、リアルでは全くこの作品のタイトル名が話題に上ってる場面に遭遇したことがありません。

やっぱね。あぁいうネットワーク云々を物語のど真中に入れてしまうと、一般の人はそれだけで拒絶反応出ちゃうんですよねぇ。なのに、メインターゲットをその一般層に狙いを付けて公開された映画でしょ。明らかにミステイクですよねぇ。

つまり、一般向けのアニメ映画として製作されてるのに、題材がアニオタ向き、けど題材の取り扱い方の完成度が低く論理破綻してるから、アニオタには苦笑されてしまう。しかも、ファンタジーとして割り切るには余りにも現実世界をありのまま落とし込んでるので、非常に歪な作品になってしまってるんです。

作画に関しても、これといって特筆すべきシーンはありません。アニメ映画でいえば、上の並程度の作画レベルでまとまってます。なので、毒気も味もありません。

一応、興行的には120万人を動員したらしく、成功を収めたと言えるんですが、正直言いまして、それだけの動員を稼げたというのが信じられません。

アニオタ向けアニメの題材に、ジブリアニメの日本の原風景をテーマにした作風を混ぜ込んで味付けしたような作品ですから、何故にそれだけの動員を稼げたのか謎です。

つーことで、ネットの評判というのはアテになんないなぁっと実感させられたcocさんなのでした。

それではまた次回です。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

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