記事一覧

乙女のらぶらぶサッカー Vol.121 日本人で良かった

日本中が歓喜一色となり、歴史的な勝利の余韻が未だに残ってる今日。その勝利は海外メディアの日本代表に対する評価も一変させ、世界中から賞賛を受けることになりました。

ホントにサッカーはわからない。大会前にこんな結果なんて微塵も予想していませんでした。

そして、岡田監督には素直にお詫びしたいです。彼は結果を出した。結果を出せる監督ではないと断言したcocとしては恥かしい限りです。

なにせ、一勝すらその可能性は極めて低いと断言していましたし…。

しかし結果は、2勝1敗、総得点4、総失点2という、想像だにしなかった素晴らしい結果を残して決勝トーナメントに進出。

正直、これは夢なのか?って疑いたくなるような結果です。

この結果の一番の要員はやはり監督の決断によるものが大きいでしょう。

手前みそで甚だ恐縮なのですが、大会前に行われた4試合の強化試合で4連敗を喫した際に、俊輔の故障という現実を受け止めて控えに回し、トップ下に本田、大久保と松井のコンビで2列目、長谷部と遠藤をその後方に並べるという、本田を活かす布陣にするべきだとcocは以前に書きました。

別にその事実が現実とマッチングしたからどうこうというわけではないのです。ただ、cocはそれを書いた時点で、アジアでなく世界と戦う場合において日本の1トップ戦術は通じない。1トップが孤立して、何も出来ないままズルズルと押し込まれるだけになるという、1トップフォーメーションを否定した上で、それでも1トップでやるならばという前提で、しかもその1トップに入るファードに関しては、岡崎では持ち味が出せないからダメ。矢野は召集理由に1トップに入るという点も加味されてはいただろうけど、正直世界で戦えるレベルには達してない。

ならば、玉田か?森本か?っという1トップに入るFWに対しては答えを出さないままの状態ではありましたが、そこにFWの誰かを入れるという前提で、中盤の前列を大久保、本田、松井というシャドーFWとして出て行っても攻撃力が期待でき、さらにプレイスタイルの面でも本田と噛み合うであろう大久保と松井の起用が、俊輔外しを行った場合、最も重要な要素だと書いたのです。

しかし、これはあくまで現実論だったのです。俊輔が万全のコンディションならば、俊輔を使うべきだと主張したでしょうね。ただ、彼の故障は癒えない。ならば冷静に現有戦力で最も現実的なメンバーで組み無そうという、ごく当たり前の考えから書いたのです。

その"俊輔がスタメンで使えない"という現実を岡田さんが、大会直前で冷静に判断し、チームの核だった彼をサブに回すという現実的な路線に変更したところはとても高く評価するべきでしょう。

本田と中村の同時期用も何度も試したけど、一度も上手く行かなかった。そして俊輔が故障となれば、やはりチームは俊輔のチームから、本田のチームへとシフトするのがあの時期としてはベストでした。

ちなみに、個人的な評価として、俊輔に関してはスペインへの移籍という明らかな判断ミス(自信が通用するかの判断が出来ない人にゲームの中で試合を決定付ける判断ができるわけないという意味で)をして以来、cocの中では大きく評価を落としてますが、それでも本田よりかは俊輔に対しての評価のほうが上でした。

ですが、大会前のあの状態では、俊輔を外すというのがベストな選択に思えたし、ならばチームの核を誰にするのかと考えた場合、本田しか居なかったわけです。そういう意味で現実的な提案として書いたわけなんです。

結果として、面子は符合したけど、布陣配置が若干違っていたので、岡田監督と完全に意見が一致したわけではありませんでした。しかし、その時に少し感じてたんです。岡田さんの変化に。

彼は、信念を貫く気質があり、周りがどうこう言おうが、自分の考えに盲進する傾向があります。しかし、年齢を重ねたからか、98年のフランスW杯以降のJリーグで積んだ指導者として経験がそうさせたのか、大会直前に自らの理想を引っ込め、世界と戦う為に、今の日本が取るべき現実的な戦術転換をしました。

これが功を奏した。

デンマーク戦の後、「あのまま(大会前の方針)でやってきても結果は出たかもしれないと思ってはいますが」っと、表現は悪いですが、性懲りも無く自分の理想への未練を溢したりもしてましたが、それもある意味で岡田監督の"らしさ"だなぁった感じました。

そういう信念があるからこそ、そしてその信念を曲げる無念さが選手に伝わったからこそ、こういう結果に結びついたのではないかとも思えるのです。

さて、デンマーク戦を振り返るとしましょう。

あの試合はゲーム開始から17分までの間は完全にデンマークのペースでした。正直日本にとって一番嫌な展開をされていたのです。

日本のディフェンスラインには弱点があり、それは裏に走りこまれた際の対応で1テンポ遅れるというものです。

中澤、闘李王の両CBは世界レベルのFWを止めるにはスピードが不足しています。

この両名の裏のスペースに走りこまれ、そこにスルーパスを出されるのが日本にとって一番マズイ展開です。

デンマークはその弱点を見抜いていたのか、それとも偶然に選択した攻撃の戦術が日本の急所を突く結果になったのかどうかはわかりませんが、ゲーム開始直後からデンマークの前線は激しくポジションチェンジを繰り返し、日本のマークの受け渡しミスでフリーになる選手がでたら、そのフリーの選手がCBの裏のスペースに走りこみ、そこでスルーパスを受けるという攻撃を展開してきました。

マズイ。非常にマズイ…。これは日本の負け試合になる展開だと感じました。

しかし、状況は1本の直接FKで一変しました。大久保がデンマークの中盤の底に切れ味鋭いドリブルで突破を試み、デンマークは堪らずにそれをファールでで防いだ。

そのプレイで得た直接FKを本田が見事にゴールに突き刺し、日本がまさかの先取点を取ってから試合の様子が変わりました。

それまでは、デンマークの攻撃は上述したパターンで、文字通り日本のディフェンスラインを崩しにかかる攻撃をしていて、日本は後手々々に回ったドタバタした守備を強いられてたのですが、本田の先取点で、デンマークの攻めのリズムが変りました。

勝たなければ決勝Tへの望みがなかったデンマークにとって、先取点を奪われたことは相当の焦りを受けたのでしょう。攻めのリズムに溜めがなくなり、フィジカルに物を言わせたような強引な攻め上がりが目立つようになります。

先取点を取るまでの防戦が、一見すれば続いてるようにも見えたかもしれませんが、先取点以前の日本の守備は攻められての守備で崩されかけていましたが、先取点以降の日本の守備は攻めさせながら潰す守備に切り替わりました。

これは、デンマークの攻めに戦術性が薄くなり、ポジションチェンジを多用しなくなったことで、日本の守備陣営はマークがしやすくなり、ボールの出処と入れ処をキチンを予測して応対できるようになっていたからです。

そして、遠藤の直接FKが今大会では稀な美しいカーブを描いた弾道でデンマークゴールに突き刺さると、さらにデンマークの攻めは単純になっていきました。

前半を0-2で折り返したデンマークとしては、まず前半の立ち上がりの攻撃のリズムに戻すのが先決でした。あのやり方に戻せば恐らく日本は幾度も崩され、失点を重ねた可能性は高かったと思います。

しかし、デンマークは後半が始まってすぐにパワープレイに切り替えたのです。

パワープレイとは単純に前線に人を増やし、守備的な選手を攻撃的な選手に交替したり、身長の高い選手を相手の最終ラインに張り付かせたりして、強引に点を取りにいくスタイルをパワープレイといいます。

このパワープレイの選択がデンマークの敗北を決定付けた最大の要因です。

パワープレイとなれば、日本の最終ラインに何人かが張り付き、そこに縦に長いボールを放り込んできて、誰かがポストプレイで競り勝ち、味方の足元にこぼれ玉を供給して、ゴールに繋げるという攻撃パターンになります。

しかし、それは日本にとって更にボールの出処と入れ処がハッキリするので、マークにも突き易いですし、身長で負けていても、浮き球に競り勝つ為に必要なのは身長だけではなく、ポジショニングも重要な要素ですから、良い位置に張らせず、良いタイミングで飛ばさなければ失点には繋がりません。

裏のスペースに走りこまれ続け、スルーパスで切り裂かれ続けるのと比べれば、遥かに守り易いのです。

この時点でデンマークの敗退は決定したようなものです。

残念なことにその後、長谷部のチェックに対して大袈裟に転倒してみせたデンマーク選手の演技巧者ぶりが審判の笛を誘い、PKを謙譲することになってしまい1失点はしてしまいましたが、その跡に、ダメ押しの3点目を日本が入れた時に、完全に試合は決しました。

ですが、見てるこちらとしては、2点差、3点差(デンマークとしては1-3のスコアの時点で決勝Tへ行くには更に3点が必要という意味)というのは安全圏には思えませんし、最後の笛が鳴るまでヒヤヒヤしまくりでした。

何度、ドイツW杯のオーストラリア戦が脳裏を過ぎったかことか…

短時間で一気に3点を奪われたあの悪夢はまだ脳裏に鮮明に残ってます。あの惨劇が繰り返されないなんて保証はどこにもないわけですから、どれほどドキドキしたことか…

そして、結果は皆さんが御存知のとおり、日本が海外開催のW杯で初の決勝T進出をきめたわけです。

この3戦で、日本は【海外開催W杯で初勝利【今大会で初めて直接FKをノーバウンドでゴールしてみせた国】【海外開催W杯での初の決勝T進出】という3つの記録を打ち立てました。

ただのラッキーで得られる結果ではありませんよ。

さて、次は決勝Tです。ベスト8をかけて南米の雄パラグアイと戦います。

勿論、パラグアイが格上ですが、W杯の決勝Tというのは、そこまでいってしまえば、格上も格下も関係ありません。

グループリーグなら3戦を通しての勝ち点獲得を考えた戦い方というものになりますが、決勝Tは今のルールで一発勝負です。

格上、格下、実績、経験。それらは勿論影響はしますが、それよりも大きく影響するのは、試合当日の90分間でお互いに発生する自分たちの流れ。それをどう掴まえるか。それで全てが決まります。そして当日までどれだけコンディションを回復できたかも重要でしょう。

そして、サッカー好きが、あれこれと自論を語り、結果を予想する遊びはグループリーグで終了します。決勝Tともなれば、そういった自論云々なんかは吹き飛び、結局はナショナリズム全快になってしまうものですw

ですので、cocもここまでくれば、あとは日本の勝利だけを願うだけです。

日本の最高成績は自国開催だった2002年の日韓共催でのベスト16がベストリザルトです。

なので、まずはベスト8をなんとしてでも達成してほしいです。

そのチャレンジに挑む決戦の日は6月29日、キックオフは23:00です。

地上波ではTBS系列で22:00から放送が開始されます。サッカーに見識が深い、浅いの差など関係ありません。是非ともLIVEで応援してあげてください。

一人でも多くの人が応援してくれて、その思いが通じる事を願いつつ、ベスト8への進出をひたすら願う次第のcocさんです。

それでは、岡田監督に深く謝罪する気持ちを込めつつ、今回はこれにて終わるとします。


*原文投稿時間不明の為、00時00分として転機しました。

プロフィール

リンク集

過去ログ