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乙女から見る21世紀のコンシュマー産業の行方Vol.23 任天堂、ディアリングサーガに対し訴訟。

今日は、ちと泥臭いお話しです。

任天堂とはインテリジェントシステムズは、
7月25日にエンターブレインと
ティルナノーグが共同開発したタイトル
「ディアリングサーガ」が、任天堂のゲームの
著作権を侵害しているなどとして、両社及び
ティルナノーグ代表取締役社長 加賀昭三氏を
相手取り、このゲームの製造・販売・頒布の
差止めと損害賠償(2億5830万円)の支払いを
求める訴訟を東京地方裁判所に起こしました。

任天堂からのリリースによれば、
「ティルナノーグが開発し、エンターブレインが販売している『ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記』は、,発売の1カ月半前まで、当社(任天堂)らの周知・著名のゲームソフト『ファイアーエンブレム』(FE)シリーズと酷似する『エンブレムサーガ』の名称で宣伝広告・予約販売を行っていた」

「そのゲーム内容はFEシリーズに酷似し、需要者間に、FEシリーズゲームであると誤認混同を生じさせている」

そして、今回の決断に至るまでに、
任天堂とインテリジェントシステムズは、
これまでに数回にわたって両社に対して、
ゲームソフト発売の中止と内容の変更を
申し入れたが聞き入れられず、
今回の提訴に至ったとも、同時に説明。

一方、訴えられた
エンターブレインとティルナノーグ。
ティルナノーグ代表取締役社長 加賀昭三氏。
この3者からの公式なコメントはまだ発表されていません。

さて・・・今回の訴訟・・・。

企業サイドから見た場合は、当然の処置だと
私は思いますが・・・。

今回の訴訟は、根本に泥臭い人間関係が、
大きく影を落としてるように思えます。

元々、
ティルナノーグ代表取締役社長 加賀昭三氏は
インテリジェントシステムズのスタッフであり
独立して、ティルナノーグを設立したわけです

俗っぽく言うと『脱藩者』というわけですが、
肝心なのは、その脱藩の経緯と結末ですね。

そして、もう1つ、重要なのが
ゲームソフトは誰の物か?という問題もあります。

これは、別の事案の「サクラ大戦GB」の
開発発表の時点から、大きく表面化してきた
問題なのですが、ゲームソフトは一体、
誰の物なのか?という問題です。

企画原案者?開発メーカー?販売メーカー?

今までは、このソフトの所有権の比重が
販売メーカーならびに、提供プラットの
ハードメーカーに強い発言力がありましたが、
『サクラ大戦GB』の問題が公になった時点で
ゲームは『プロデュースした人の作品』という
非常に当然な見方がキチンと見直されるように
なりました。

で、今回の訴訟での鍵は・・・
加賀氏がファイヤーエンブレムの商品展開を
独自に展開していくべき人なのか?という
ことです。

発売前から『ディアリングサーガ』は
『ファイアーエンブレム』の亜種であることは
明白な事実でしたし、ゲーム情報誌も軒並み
そのような印象を読者に明確に提示するような
形で紹介を行なっていましたし・・・
事実、『ディアリングサーガ』を購入した
ユーザーの殆どは『ファイアーエンブレム』の
新作と捉え、購入していたのも事実上、確定的
なことだと思われます。

もし、加賀氏がファイヤーエンブレムシリーズ
の展開を自由に決めても良い立場の人なら
『ディアリングサーガ』の販売に至る展開も
問題は無かったでしょう。
(無論、権利問題等の整理は必須ですが)

しかし、加賀氏が、
そういう立場で無い人物の場合・・・。
これは、明らかな造反行為であり、
著作権侵害に至る、盗作まがいの商品に
成り下がります。

損害賠償云々よりも、そこが争点ではないかと
私は思っています。

加賀氏のファイヤーエンブレムなら
彼が、その作品をどう展開しようと
自由ですけど・・・
(前述のように、権利問題等の整理は必須で)

任天堂とはインテリジェントシステムズ
そして、某氏(作者として特定出来る人物)の
ファイヤーエンブレムなら、今回の訴訟にも
非常に納得ができます。

ただ、任天堂側が再三に渡り
ゲームソフト発売の中止と内容の変更を
申し入れたのにも関わらず・・・
強行突破というのは、ちょっと強引すぎましたね。

どう、見ても、ファイヤーエンブレムですもん
(笑)

今後、この問題がどう展開していくか
個人的には、非常に興味があります。

恐らく、ゲーム著作の所有権の所在が
今後、この訴訟での争点となるでしょう。

ということで、今日はこの辺で。
また明日お会い致しましょう。

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